鳩子

小説や漫画など、創作したものを置いていってみようと思います。

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最近の記事

文鳥物語 なんにでもかみつく

私は今年7歳になるメスの文鳥。人間で言うと、どのくらいの年齢だろう。美熟女のやっと入り口ってところかな?まだまだ元気いっぱい。ケージの中から飼い主を呼ぶ声は若い時と同じように、ピ!ピ!ピャン!と力強い。 若い時といえば、まだ1歳にもなっていなかったあの頃、何にでも興味があって、何にでも突っかかっていた。最初にマジになった喧嘩相手は飼い主の持つ「ペンタブレット」のペン。先っぽが完全に私に喧嘩を売っている形だったので、キレてかじりまくった。飼い主は「敵じゃないよ!敵じゃないよ!

    • 文鳥物語 ふたりの間にある愛

      私は6歳の文鳥。今年で7歳になる。飼い主は最近、ずっと部屋にいる。以前の飼い主は「会社に行ってくるね!チュッ。かわいいよ……ちゅき!バイバイだよ~。いい子でね」などとうすら寒いたわごとを言い、薄情にも私を置いて部屋から出て行ってしまう毎日だったのだけれど、ある時から「会社」とやらに行くのをやめたみたい。飼い主曰く、私の餌代を稼ぐために会社に行っていたらしいのだけれど……会社に行かなくなってからも餌はちゃんと出てくる。だったら行く意味なかったんじゃないの、会社ってやつ。 そん

      • 文鳥物語 雛の羽からオトナの羽に

        私は文鳥。6年前、雛だった頃から少しずつ雛の羽を脱ぎ捨てて、モノクロの体になっていった時のことを思い出した。 ペットショップで「今は雛なのでまだ茶色っぽいですが、これから換羽をして桜文鳥特有のきれいな模様になりますよ」とスタッフさんに説明を受けた私の飼い主は、毎日ワクワクしながら私の羽の生え変わりを見守っていた。 私はゆっくり換羽するタイプだったみたいで、完全に大人の羽になるまでずいぶん時間がかかった。毎日じろじろ観察されても仕方ないんだけれどな、ごめんね、と思っていた。そ

        • 文鳥物語 飼い主との出会い

          私は文鳥。6歳。メス。一応、桜文鳥ってことになっているけれど、体の模様はあんまりはっきりしていない。お腹の部分はほとんど真っ白で、ところどころにグレーの羽が混ざっている。 飼い主と出会ったのは私が雛だった頃。まだ全身の羽が茶色くって、飼い主はこう思ったみたい。「文鳥ってこんなほうじ茶みたいな色、してたっけ?」 ほうじ茶でもなんでもいいんだけれど、とにかく私、その日もペットショップのケージの中でまったりしていた。飼い主は最初、白文鳥を見ていたのだけれど、その白い子たちは手乗り

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