【Valorant】新生FNCに学ぼう part4 vsOGLU map1:Haven【VCT2022 EMEA Challengers2】
まえがき
はじめに断っておきたいのが、Havenはめちゃんこ複雑なマップであるということだ。そのマップ構造の複雑さゆえに、ラウンド中様々なプレーが存在する。デッキの枚数を既定の3倍にして遊ぶカードゲームくらい多様な出来事が発生するので、それらを管理しきることは難しい。
某チームの某コーチはHavenに関して、「自分たちだけでコントロール出来ないと割り切るアプローチの仕方もある」と述べている(※ソース見つからないというかアーカイブないかも+一年ほど前の発言だったはずなので今は違うかも)
ただそれでも、ある程度目指すべきシチュエーションはValorantである以上存在する。攻撃側はスパイクを設置できれば有利だし、防衛側は敵の本命を確定して人数を寄せることで有利を得ることが出来ることはhavenであっても変わらない。
今回はFNCに学ぶというということで、FNCがこの複雑なHavenをどう攻略しようとしているかを見ていく。(つまり他のチームには他のアプローチの仕方があるのでこの記事の内容が目指すべき正解であるとは限らないという事!)
Havenの基本のキ
Havenは複雑とはいえ、今のValorantうまうま人間達の試合を見ると、共通の見解があることが伺える。ここではこれをHavenの前提であるとする。
防衛側はA1で守れている場合、マクロ有利を得る
下に特に凝っていない場合のA2、A1守りの例を示す。
見てほしいのは防衛側B-ガレージ-Cのエリアである。このエリアに3人しかいられないのと4人いるのとではB、Cサイトの防御力が段違いである(*1重要な補足)
ちなみに主にはCサイト守りの防御力が上がる。Bはリテイクの選択肢を取りやすいし、ガレージに人数を寄せるのもなんだかんだ事故ったりもする。とはいえこれらの選択肢を取れるのは明らかにアドである。
だからこそ、攻防ともに開幕Aロビーにスキルを入れるラウンドが多いし、A1が理想だからこそA1じゃなくてA2、A3とかの搦め手が成立する。
ちなみにValorantにおいて同様の(中立なエリアとしての)F字路構造は、splitのA側、FractureのAmainなどが挙げられる
(*1)サイト守りで当たるときに人数が多くなるので強くなるというのは殆どの人に納得してもらえると思うが、では具体的にどれくらい強くなるのかということはわからない。これの問題点は、A1守りを実現するためにどれくらいのリソースを割いても良いかの基準が不明な点である。A2→A1を実現するためのリソース量とA2からA1になったために削減できるBやCセット時の当たりあいやリテイクの際のリソース量の大小関係が分からないのである。
これを分かるためには少なくともA1時とA2時の防衛側のラウンド勝率が必要になると思うが、RIB.gg君にはそんなオプションもないので(というかRIB.gg君は恐らくValorantゲーム内で見られるマッチの概要やらタイムラインやらからデータをもってきているので、そんなオプションは不可能)残された手段は正の字を書いて数えるだけ。
ちなみに攻撃側において防衛側に(大体)A1を許し続けて10-2を決めた例もある
なのでA1でどれくらい得するのかはわからないし、構成やメタ、リージョン毎のプレイヤーの気質によっても変わるだろう。
だが、話を進めるためにA1にできれば得ということをここでは前提としたい。
どのようにA1守りを実現するか、させないか
A1守りを実現する手法の前に、攻撃側がどのようにA1にさせないかを見ていこう。攻撃側が何もしなければ、初動では自動的にA1で守れる。攻撃側目線、防衛側がA1のままBやらCやらに攻めることは避けたい。なので防衛側にA2を強制する必要があるが、これは簡単である。Alongにスタンやらフラッシュやらを投げるたり、スモークを炊いたりしてAshort通過の可能性を生じさせればいい。(下の図はAlongをどかす例だが、構造上AshortからもA1守りが可能である。)
下には加えてスモークの例を挙げておこう。
ではこれらのスモークやフラッシュ、スタンなどでA2で守らざるを得ないとき、防衛側はどのようにプレイすればA1守りを実現できるだろうか。
これも簡単で、一旦AlongないしAshortをリテイクすればよい。
これでA1守りを復活させることが出来た。
ここから先は攻防各々同様の手順の投げ合いになるが、ラウンドには制限時間もスキル量の限界もあるので、いずれ終わる。ただし、A1にし直した場合、その守り方は少しバリエーションがある。
ここまでがAロビーの取り合いの基本的な流れであるし、Valorantが始まってからアストラ登場あたりはAlongスモークからAshortドローンができるチームがあったりなかったりという感じだった。(曖昧な記憶、そんなはずないと思うけど)
また、Ashort抜けが生じる前にそもそもAロビーに蓋をしてしまおうというアプローチもある。
これならば、とりあえずAshortやAlongをリテイクする必要はなくなる。
さらに発展して、上のセットが飛んでくるのか来ないのかラウンドごとに不定の場合、攻撃側が初動のAロビーコントロールをやめる場合もある。(これはそのラウンド毎で、という話だけでなく、そもそもメタを鑑みてチームとして初動Aロビーコントロールを基本やらないことさえあった。)
その場合、攻撃側は1:10あたりでドローンを入れてたりして先ほどのA1守りがあり得るポジションをクリアしたり(buzz入った直後のVSがやっているのを私が最初に見たので勝手にRbドローンと呼んでいる)、いきなりフラッシュ入れて倒しに行ったりする
上はRbドローンの例、AcendとしてもRbドローンが飛んでくるのはわかってるので、防衛側KJが犬を割りに来ている。
ちなみにおまけ程度だがもう少し発展したものを。2022VCT2では減ってしまったものの、HavenKAY/O採用してこのRbドローンを抑制するムーブがあるけど残念ながらKAY/Ohaven自体が下火、でもRbドローンへの明確なアンチ
後は攻撃側からワープ系ですり抜けるというのもあって、Aロビーの攻防はとにかく大変なのだ
FNCのHaven守り(vs OGLU)
1ラウンド目(FNCのピストルリテイク配置の思想)
じゃあ実際のFNCの試合を見ていこう。一旦Aロビーの話は忘れて、DerkeがC1かつショーティー守りなのは、
でも書いた、Derke1人でBtower守り→逃亡+重要なエリアを4人で守るという構図に似ている。また、アイスボックスにおいても(これはチームの色としてよりエージェント構成に因る意味合いが強いが)両サイトリテイク配置を取るなど、FNCではピストルにおいて何処かを空けて守るべしという思想があるのかも。
ピストルにおいてリテイク配置を取る事はバイラウンドと比べてどのように異なるだろうか。ピストルラウンドは武器のグレードやスキル量がバイラウンドよりも劣っているのはもちろんだが、対戦相手の配置についての情報が全くない。これこそがこのFNCのピストルリテイク配置の根幹であると思う。前提として、Valorantに限らずゲームが壊れていない限りは全ての取り得るスキル合わせや配置やら戦い方にはそのアンチ、カウンターが存在する。(KLM先生のチャンネルの動画見たら複数回そういうニュアンスの言葉が出てくるので、見よう)
リテイク配置に対する攻撃側からのアンチは、基本的には防衛側のリテイク配置を読み切ったうえで、スキルを温存したままスパイクを設置して、防衛側にスキル量負けしない設置後の戦いをすることである。
だが、ピストルラウンドにおいては防衛側の配置がどうなっているか、どういう基準で戦ってくるかなどの情報がないのでそもそも防衛側の配置を読むというのは不可能ということになる。情報がない相手に対してスローで攻めても構わないが、これはギャンブルと変わらない。もちろんプロレベルでは相手の事前の試合動画を見るなどで情報がないわけではないが、FNCとしても相手が自分たちの過去の試合動画を見ていることは承知しているので動きを変えても構わない。ギャンブルするわけにもいかないし、事前の試合動画の解析も意味を成さないとなると、順当にスキルを使いながら攻めることにならざるを得ないが、それに対してリソースを温存するリテイク配置が刺さるはず、というのがFNCの思想(かもしれない)
で、ラウンドスタートしてリコン投げて特にリアクションがないのでこの後BoasterがAロビースモークで蓋
このあとOGLUがAロビーの主導権を取るべく(防衛側にA2以上を強制しようとして)AlongフラッシュでAlfajarを落とすも、飛んできたスキル(ショックダーツとアフターショック)でA3であったことが分かり、Bに素早く攻めてB設置。
下はB設置前のOGLUのキルジョイムーブ、ガレージのトレードマークを割って代わりにアラームボットを添えて帰る。
攻撃側は、B設置後に見るべき場所が、両リンク以外にもA、Cプッシュ、ガレージからのピークがあってコントロールし切れない。それを軽減するアラームボット。
管理し切れないので、CプッシュしてきたDerkeに最終的に3人持ってかれてしまう(実はOGLU側のjettがアラームボット置いてあるにもかかわらずガレージピークを見ていたせいという説がある)
2ラウンド目(A1の恩恵)
このラウンドFNCは典型的なA1守りを達成して、OGLUはエコなので取り返すのも難しい(1ラウンド目同様にA3なら他所に攻めてワンチャンスと考えた説もある)
これは下のリンクから実際のDerkeが接敵してからの次のアクションの速さ(Boasterのパラノイアからの二キル)を見てほしい。
Bセットにフェイクスモークが来て、B2を保ったままCにもパラノイアを投げることが出来ている。
3、4ラウンド目(Aロビーで何故戦わなければならないか)
このラウンドは開幕Aロビーに蓋スモーク+フォールトライン+パラノイア+アフターショックのてんこ盛りでMisticとAlfajarが打ち合いに行く計画である。
セットの局面で強いブリーチが良く採用される最近のHavenにおいて、防衛側がやるべきことは、セットに対して真っ向から戦わないことである。具体的には、ピストルのようにリテイクにするか、AロビーからAshortやAlongまでの領域で戦う事が求められる。この傾向は、スカイandソーヴァみたいな構成(エリア取り合って小競り合いしつつラウンドを終わらせに行く構成)が消えてブリーチが増えてきた最近特に顕著だと思う。
5ラウンド目(A3じゃなくてA1)
OGLU「A3ならB走ったらええやん!」
FNC「A1やで(ニッコリ)」
A1高めで守るのに向くエージェントがあるのでそれに触れようと思う
(ex)ジェット、ネオン、チェンバー、ヨル
これらのエージェントは攻撃側のAロビー周りの取返しの際にスキルの出が速くてなんとか5分の勝負に持ち込んだり、逃げたり出来る。それからもう一つ、攻撃側がCセットしてきてCリテイクシチュエーションになった場合、A1高めのプレイヤーはそのまま裏を詰めるかCTベースを通って味方と合流する必要があるが、後者は物理的な移動距離が長いせいでどうしてもリテイク開始時間の遅れを生じさせてしまう。そこでワープや移動速度が速いエージェントもA1守りに向いていると言える。
6ラウンド目(疑似A1)
このラウンドはトレードマークをAshortに置き、Derkeがalongにチェンバーウルトの形である。これならば攻撃側からのAロビーAshort侵入の匂わせがあっても全く無視することが出来る。実際このラウンド、開幕OGLUはCセットのふりをして(リコン、ドローン、ソーヴァウルト、フラッシュ)Aからガレージまでのプッシュがあるかどうか確認している風である。さらにこの間OGLUはAlongスモークもAshortスモークも炊いて揺さぶるもののA側の形を一切変える必要はない。
結局ラウンド終盤で各自が守る場所に1人+αのリソースを割けていたFNCは、OGLUのガレージ進行に対してAlfajarの必然の(?)クソデカ3キルでラウンドを勝ちにした。
ちなみにC守りのBoasterのスモークの炊き方にも注目である。
下の図において①で示したのが所謂耐えモクであって、②で示したのが一般的なC攻めを予期したときのスモークである。
Boasterはこのラウンド、初動のスキルがふんだんに飛んできていた局面で①を、C攻めをやめたっぽいことを察した後に②を投げた。
C攻めのスキルがふんだんに飛んできている状況での②は攻撃側目線抜けやすいし、スキルによって②のスモークをガン見するプレイヤーはもれなく死ぬので無いも同然だが、①のようにサイトのクリアリングの手間を増やされるとまぁまぁウザい。一方で静かな状況下、今回はとくに攻撃側がドローンまで使ってC手前をクリアした後で②を炊かれるとドローンを実質投げ捨てたことになる。こんな感じでスモークを投げ分けられるとクールだ。
7ラウンド目(FNCのやりたい放題チャンネル)
OGLU側のエコラウンドで、攻め側としての意図はFNCのB前-ガレージ前で起こした戦闘に隠れてしまってわからない。
FNCとしては直近2ラウンドで強めのAロビーコントロールがないことを見ているので(?)AロビーはEnzo一人に任せて3人でのMIDプッシュを決行した。MIDの三人が当たっているところにEnzoもソーヴァウルトを合わせてそのままラウンド終了、こういうソーヴァウルトが好きな人は100Tがソーヴァウルト持ってるときのラウンドを見ると幸せになるかもしれない
このラウンドの後OGLUのタイムアウトなんだが、ちょっと意図が分からなかった。TOって大体、
バイラウンド敗北(たまに勝利後)に相手の傾向、例えば〇〇を取った時に××を取り返してくるとか△△のエリアはかなり固く守ってくるとかの情報を整理して次のバイラウンドどうするかとかを話し合う。都合上バイラウンドとエコラウンドの間にTOが挟まる場合が多い。
特定の選手とかチーム全体として調子が悪いので流れを切りたい、VCできてなくて意図していない抜けが発生して複数人持ってかれたから一旦落ち着こうみたいな考えのとき
1なら一つ前でタイムアウトのはずだし、どちらかと言われると2な気がするけど致命的なミスとかはなかった気がするのでよくわかんなかった。でも急にMID出てこられるとメンタルが削られる気持ちもわかる気がする。
8ラウンド目(言うことなし)
6ラウンド目と似た形を目指す過程で、Derkeがファーストブラッド、Clong押したBoasterもなんか1キル取って大体勝ち、しいて言うならBoasterが5vs4からCプッシュするのはなんか意外というか彼にしてはアグレッシブだなという印象がある。でも最近配信見てるとアグレッシブにやろうとしている節があるので(LOLプロがランクでやるところのリミットテスト的な)その表れなのかなとも思う。計算されたアグレッシブさ(直訳)は必要って言ってたし(ソース忘れ)。Boaster大好き♡
9ラウンド目
FNCとしては8ラウンド目と似た形を目指しつつ、オペレーターをAshortから置こうという工夫だったが、OGLUのスキルを目いっぱい使ったAshort取りにDerkeが巻き込まれて倒された後、ブリーチウルトでサイト内の二人も倒され、KJウルトでリテイクも難しくラウンドを落とした。
OGLUが何で今まで特にスキル投げてなかったAshortにスキル投げたのかは分からない。FNCの傾向としてAlongオペで戦果を上げたらAshortみたいな読みか事前の用意があったのかも。わかる人がいたら教えてほしい
10ラウンド目
DerkeがC側に戻って最初の3ラウンドくらいと似た形に。先のラウンドで攻撃側がオペレーター持って帰った可能性が高いラウンドで、OGLUの意図としてはAlongにスタン入れてスコープ外さしてfeqewに先に置かせようというものだが、Misticのスタンの返しで何もできずAlongのAlfajarにしばかれる。このラウンドはDerkeがウルト使ってClong置いているので、OGLUがClongオペと考えてスタンからのオペレーター先置きを狙った世界線ではDerkeがジャッジに持ち替えて逃げてリテイクの流れになっただろう。
11、12ラウンド目
どうやら両チームとも疲れてきたらしく、一人でピークして死んだり倒したりをするラウンドなので、割愛
完
あとがき
実際の試合の例、要る?
あと張り切って記事書きまくってるけどこんなことをしている場合ではないのでペースを落としたい
今回出てきてないヘイヴンの諸々がいっぱいある(ガレージ回りとか拡張版Bセットみたいなの)のでみんなもヘイヴン、やろう!
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