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30代最後の日

遂に明日、私は40歳になる。
世間的に見れば立派なおじさんである。

満員電車に揺られ、痴漢に間違われないよう車内で万歳ポーズを決め込み、会社では上司にグチグチと文句を言われ、汗水垂らして働いたお金は妻に吸い取られ、娘からはキモいと罵られ、息子の運動会ではハプニング大賞に出てくるような転け方をし…。
そんな姿を想像していた。だが現実はどうだ?

仕事は基本家でこなし、週一の出勤と、その他はかなりの頻度で日本各地(時には海外まで!)を巡る日々。週末のクラブではVJをしたりフロアでダンスに興じ、バーカウンターで仲間と談笑。自宅では趣味であるレコードコレクションに囲まれ、時にそれらをお披露目するかのようにDJだってする。出会った若者たちに年齢を聞かれ、「エーミエナイー」って呪文のように言われて「そうかな、ありがとう。」とクールに返す。

ちなみに心の声は、「わぁい!そんなこと言ってくれて嬉しいな、おじお酒奮発しちゃうぞぃーーーッ!!!!!」であるが。

まあ色々、想像と違う。
痴漢を疑うOL、嫌味な上司、金蔓としてしか見ない妻、思春期の娘、ヤンチャばかりする息子は想像上の動物だったようだ、本当に良かった。スウィートなワイフがいないのだけは悔しいが、もはや自分に合う女性は絶滅したと思う他ない。悠々自適の独身貴族、別に家に誰もいないし、咳をしても独り。

この文章を全裸で逆立ちしながら書いていることだってバレてないし、天井まで積み上がったエロ本とエロDVDも、部屋中に転がるバラバラ死体の山ももちろんバレないだろう。(まあ全部嘘です)

人生にレールがあると思っていたけどそんなの幻想だった。
多少読んでみたその手の啓発本は、自分と照らし合わせて納得し安心するだけのもの。そのうち無人島に持っていって焚き火で燃やそうと思う、それくらいしか役に立たないから。自分はどちらかというと勉強はできた方だと思うが、専門的に研究した学問などもなく、多少かじってはペッして生きてきた。少し後悔しているが後の祭りだ。ここは来世の課題としよう。


ユング兄やんは、40歳を「人生の正午」と形容した。
他にも「人生の午前の法則を人生の午後に引きずり込む人は、心の損害という代価を支払わなければならない」
「午前から午後へ移行するときは、以前の価値の値踏みの仕直しである」

非常に良いことを言っている兄やんに座布団をあげたい。

その他、ダニエル・レヴィンソンのMidlife crisisやライフサイクル理論についても話したいけどそんな大したことじゃないので割愛。興味あればWikipediaをどうぞ。


話を似非インテリトークから自分に戻そう。むず痒い。

10代から20代は登り階段のように感じた。人生は薔薇色。
その後の20代から30代は下り階段のように感じた。人生は少し色褪せた。30代は何したっけな?○さん失恋?△さん失恋?□さん失恋?人生色ボケ。

とまあ、今までの人生を振り返ってみるとそんな程度である。脳汁を絞ったがこれ以上何もない。思ったより自分は何も変わっていない。

今まで積み上げてきた自身の経験や、確立したと思っていたアイデンティティはさほど大したことがなかったという寂しさはあるが、40代はきっとそれらを黙々と整理し自分なりにリミックスしていく作業に没頭する素晴らしい日々になるのであろう。かなり前向きに捉えている自分がいるのが少々不思議だが、人生はおそらくそんなもんだ。

明日は喜んでるかもしれない、イケおじと言われて。
その次の日は怒ってるかもしれない、酔っ払いに絡まれて。
その次の次の日は泣いてるかもしれない、夏が暑くて。
その次の次の次の日は楽しんでるはず、人生は最高だから。
そんなもんである。


【PR】7/21に自分の誕生日祝いも兼ねつつ、野毛のスイートスポット、宮川町のRotaryにてDJをします。
とにかく音が最高で、空間もとてもオシャレ。メスカルも沢山ありここで知った味が沢山あります。オススメ。
私はジャズ、ソウル、ロック、レゲエ、和物など自分を構成してきた音楽たちをひたすらかけ続けようと思います。何卒☆

もしあなたが来てくれた場合、「ありがとうね。」とそっけない態度をとるかもしれないが、心の中では「わぁい!来てくれて嬉しいな、おじお酒奮発しちゃうぞぃーーーッ!!!!!」状態なので遠慮なくおねだりしてみてください。

H

追記
上の告知、女性がきてくれることを想定して一縷の望みとして書いたのだけれど、マジで男子しか来なかった。
カウンターに音楽好きの漢どもがひしめいてた。最高だぜ!!!

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