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S氏への陳謝

今でこそ、いくつかの趣味に没頭し、家で作業をしたり、外に出かけたり、幾分か充実した生活をしている。アクティヴに休日を過ごすことで、仕事とプライベートにメリハリが生じ、精神衛生上とても良い効果が生まれていると思っている。

しかし、自分を振り返ってみると、そんな充実した生活とは無縁な時代がかなり長く続いた。
当時、僕は浪人生から解放され、無事大学生になれた。これから大学生を謳歌できると心待ちにしていたが、それとは裏腹に、受験勉強から解放されたこと、第一志望に合格できなかったことで、やる気がほとんどない状態だった。いわゆる五月病にうっすら罹っていたと思われる。
しかも当時Twitter(現X)に生活を簒奪されており、自分の世界がとても狭隘な空間に閉じ込められていた。
もちろん、Twitterでは友達もでき、遊ぶこともままあった。それはそれでとてもいいことだと思っている。S氏もTwitterで知り合った友人である。

S氏とは、小樽であんかけ焼きそばを食べたり、東京を散歩したり、札幌でカラオケに行ったり、一緒に遊ぶことが多かった。
ある晴れた日、僕がずっと家でごろごろしながらTwitterをしていて、外に出ようとしないのを見かねて、S氏は「家でなにもしてないで、外に出たら?なんか新しい趣味見つけたらいいじゃん?」と言った。
S氏は優しさからのアドバイスで言ったと思うが、僕はそれに激昂してそのままTwitterをブロックしてしまった。今考えても僕の行動は意味不明で、S氏の発言は間違っていない。どうしてこんな行動をとってしまったのか。

当時はやる気を出して何かを始める気力がなかった。そしてTwitterをすることで充実感を得ていた。僕の持論として、だらだらと寝そべりながら暇をつぶす行為でさえ、十分な趣味だと思っている。そこへS氏の発言が来たものだから、僕の信念を否定された気になった。それゆえ、激昂してしまったのだ。

改めて思うと、S氏の発言は僕の無気力さに対する警鐘だったと思う。そんな些細なことで、友情に亀裂が入り、新たな楽しみを増やすチャンスをなくしてしまったと思うと、もったいなく思う。S氏には本当に申し訳ないことをしたと思う。

年月が経ち、次第に関係性も修復してきたと思う。けれど、直接会ってはいないし、当時のことを敢えて振り返ろうともしていない。今度、一緒に遊ぶ予定を立てた。またそのときに直接謝ろうと思う。

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