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喜茂別の歴史を見てきた邸宅を地域交流拠点 兼 一棟貸し宿泊施設に改装します。

こんにちは。HATCHの代表理事の加藤です。
今日は、これから始まるHATCHにとっては非常に大きな意味のあるプロジェクトをご紹介しようと思います。

喜茂別の歴史を支えた方の元邸宅が舞台。

喜茂別町は「日本で初めてアスパラガスの大規模生産を成功させた町」として、かつては8,000人もの人口がいた町(いまは1,900人程度です)でした。そんな町の経済・文化を支えたのが「クレードル興農」という農産物加工会社です。昭和7年に創業し、当時にしては珍しい6次化にいち早く取り組んできた会社でした。

40年前の缶詰。モダンなデザインは今もほぼ変わらず。

今回のプロジェクトの舞台は、そのクレードル興農の創業者・丸子斉氏の元邸宅です。昭和25年に建てられた建物の一部(僕らは「はなれ」と呼んでいます)は、宮大工が釘を一本も使わずに建てた純日本家屋。雪の多い北海道では非常に珍しい建物です。

そして、この「はなれ」は、昭和20年代に宮さまも滞在されたことのある場所。その後も、ビジネス上の要人たちをもてなす場所として利用されていたとのこと。

外観。
応接スペース。
客間。

喜茂別の歴史・文化の象徴として後世に残したい

僕たちがこの場所を取得・活用することになるまでにもさまざまなドラマがありました。僕らのもとに喜茂別町長から「丸子さんが物件を手放したいそうだから、活用プランを考えてくれないか?」という話が来たのが2021年でした。丸子斉氏のご家族が最後ひとりで住まわれていたのですが、高齢により、管理も大変になってきたので喜茂別町に取得・管理をお願いしたいという話でした。そのなかで「ただ管理するのではなく、おもしろい活用をしたい」という相談で、HATCHとして活用プランを考え始めました。

僕らがまず考えたことは、「たとえ喜茂別町が基礎自治体として消滅してしまっても、ここにあった文化を残し続けたい。丸子氏の邸宅は、その象徴として存在していたい」ということでした。

その時に参考にしたのが、エンジョイワークスさんが運営している神奈川県の葉山にある平野邸でした。

建物の構造も似ていたことはもちろん、地域内外の人たちが交わる仕掛けがたくさん施されており、まさにHATCHとして喜茂別で実現させたいことができるものでした。

そんなプランを考えているなかで、さまざまな事情があり、町としては購入することが難しいと判断され、僕たちHATCHで購入することとなりました。

目の前からは羊蹄山が一望できる。

地域の交流拠点 兼 一棟貸しの宿泊施設「まるこ邸」へ

僕らはこの場所を丸子さんの家だったということで「まるこ邸」と名付けました。現在の活用プランは、「地域交流拠点」と「一棟貸しの宿泊施設」です。宿泊者限定で利用できるスペースと、地域住民をはじめどんな方でも立ち寄れるスペースを共存させます。

まるこ邸の平面プラン

インバウンド向けに日本文化を体験できる宿泊施設

「一棟貸しの宿泊施設」のメインターゲットは、ニセコやルスツにくるインバウンド観光客です。ニセコなどの高級なリゾートホテルとは一線を画す、日本文化を体験できるアクティビティと一緒に提供したいと考えています。

その運営に大切になってくるのが地元住民のみなさんです。地域には、実はセンセイがたくさんいます。喜茂別は世界チャンピオンを輩出したこともあるくらい剣道が盛んな町です。また雄大な自然を知り尽くした人たちもたくさんいます。そのようなスキル・経験をもったセンセイたちに協力をしてもらいながら、訪れた観光客をおもてなしすることができればいいなと考えています。

ルールは子どもたちが自分で決める地域交流拠点

地域全体でおもてなしするためには、地域の方たちに関わってもらわないといけません。そして、文化として長い時間をかけて根付かせていくためには、地域の子どもたちの関わりしろを作る必要があります。そこで、僕らは地域交流拠点としての場の運営ルールは地域の子どもたちにも決めてもらう予定です。

実際に年始には学童保育代わりとして、3日間だけ開放したところ、保育園児から中学生まで、たくさんの子どもたちが遊びにきてくれました。

「宿題をしたらゲームができる」というルールを自分たちで決め、楽しんでいました。
まるこ邸の広い庭で雪遊びをする子たちも。

多くの方たちに関わってもらいたい…という想いでクラウドファンディングをします。

まるこ邸を地域交流拠点 兼 宿泊施設にしていくための改修資金は、クラウドファンディングで集めていきます。今回の対象は「宿泊施設のみ」です。

そして今回利用するのはエンジョイワークスさんのハローリノベーション( https://hello-renovation.jp/ )という不動産投資型クラウドファンディング。平野邸を参考にしていたこともあり、プロジェクト立ち上げ前から丁寧にサポートいただいています。

僕らは今回のプロジェクトを通じて、これまで「通過する町」としてされてきた喜茂別を「目的地の町」としていくことを目指しています。そして、観光客と地域住民が交流することで、地域の子どもたちが多様な価値観に触れてもらえたらいいなと考えています。