3/17~3/19 京都旅行備忘録

3/17

京都には朝の8:00に着いた。お腹がペコペコだったので、駅併設施設で開店していたPASTAMOREに行った。京都の物価高いな、と思いながら大盛りのパスタを食べた。ナポリタンと最後まで迷いつつ和風パスタを選んだので、東京に戻ったら近い内にパンチョでナポリタンに染まりたい。味は普通だった。

今回は京都を自転車で回ってみたかったので、食べ終わった後レンタルサイクルショップに行く。調べてみて分かったけど、京都にはレンタルサイクルショップが意外と多い。自転車は1番安い電動アシスト無しの自転車をレンタルした。事前にクーポンを取得しておいたのに、使うのを忘れてしまった。たかだか100円の差だけど、凄く勿体ないことをしてしまった気分だ。少し走り始めて分かったけど、京都には緩やかな坂が沢山あって、電動無しだと意外に辛い。だからレンタルサイクルショップがの人は電動を推してたわけだ。

東大路通と二条通を通り、まず最初に銀閣寺に向かう。哲学の道が少し気になったので向かうと、若王子神社手前でえげつない坂を登るはめになった。何故自分は京都まで来てヒルクライムをしているのだろうか。苦労して登りきった坂の上にあったあった哲学の道は、自転車じゃ少しばかり走りづらかった。来週か再来週に来ていれば、桜が満開になっていてそれはもう素敵な景色だったのだろうと思う。桜も咲いてないし舟人もいないし隅田川ですらないのに、何故か頭の中では滝廉太郎の"花"が永遠に流れていた。早すぎる桜の開花宣言が出たとはいえ、流石に期待しすぎてしまったようだ。



銀閣寺付近の駐車場に自転車を停めて、またもや坂を少しだけ登る。清水寺に行く際に通る坂ほどではないけど、お店が沢山ある。おにぎりの店が気になっていたのに、我慢してしまったことはずっと後悔している。やはり食べたくなったものは食べたくなったときに食べなくてはダメだ。道中の土産屋の1つで、UNISON SQUARE GARDENの"オリオンをなぞる"が流れていた。京都の景観と曲が合わなさが丁度良くて逆に凄く良かった。京都ももっと俗にまみれた方が可愛げが出るような気がする。そんな京都が見たいかどうかは別だけど。

初めて観た銀閣寺は最初こそ地味だと感じたものの、呆けながら見とれることのできる不思議な魅力に溢れていた。わびさびを理解してしまったかもしれない。どうでもいいけど、キン肉マンでザ・ニンジャvsカラスマンが戦ったときにブロッケン達はどこに座っていたのだろう。Lの陣形を作れるほど広いスペースが全く見当たらない。


銀閣寺は銀閣寺だけでなく、周囲の庭園も凄く綺麗だった。綺麗な庭園を観ていると、これは枯山水だと高得点だな、とか考えてしまう。僕には常に雑念に取りつかれている。銀閣寺をゆっくり巡っていると、山の方で木を切っているの方々が見えた。初めて生で見る林業の危険に対する緊張感に思わず見とれてしまう。そういえば、佐久間さんのANN0でよく話題に上がる"WOOD JOB!"をまだ観たことがないので観てみようかな。原作の続編も確か未読だったしこの際読んでみようかな、なんて気持ちにもなる。僕と同じように、銀閣寺を巡っていた外国の方も林業に見とれていた。因みにその人が来ていた上着には「極度乾燥」と書かれていた。思わず2度見してしまった。このセンスありまくりな上着はいったいどこで買ったのだろうか。気になる。



銀閣寺を一通り観た後、自転車を停めた駐車場の近くにあった「京やさい和らーめん いたや」で昼御飯を食べた。京野菜カレーラーメンという字面に完全に負けてしまった。京都に来たら絶対に食べたいと思っていたものを1度で満たしてくれた、凄く美味しい昼御飯だった。勿論値段は高かった。



昼御飯を食べ終えた後、白川通と北山通を通りながら京都府立植物園に向かった。ラジオを聞く時間を作りたかったのと、桜が咲いていることを期待して行った。北山通では道も広く風もあまり吹いていなかったので、とても気持ちよく走れた。植物園では"霜降り明星のだましうち!"を聞いた。ANN0よりローカル感の強いラジオだった。肝心の植物園は温室が開いて無いのに加えてバラ園に咲いてるバラが1本も無かったけれど、1部の桜が咲いていた。咲いている桜が見たくて来ただけに、相当な喜びで満たされた。1人で来ていなかったら、確実にこの場所で記念写真を撮っていたと思う。流石に自撮りをするのは恥ずかしいので、桜のソロショットで留めた。


京都府立植物園に来たついでに、京都府立陶板名画の庭にも行った。ミケランジェロ作"最後の審判"原寸大が想像以上に大きすぎて、不思議な笑いが込み上げてきた。正直この狭い空間に全くそぐわない大きさだった。

植物園を出た後、恵文社に行こうと思っていたことを思い出す。来た道を戻るような無駄な労力を払うことになってしまうけど、本屋の魅力には勝てず自転車を漕いだ。初めて行った恵文社は、大好きになる以外選択肢が残されていない魅力的すぎる本屋だった。気づいたら6冊も本を買ってしまっていた。読むのが楽しみだ。また京都に来る機会があれば必ず行く。



恵文社でたんまり本を買い込んで荷物を増やしてしまった後、金閣寺に向かった。北大路通を通って金閣寺に向かっている途中は、やけに緩やかな坂が多い。徐々に体力が削られていって、金閣寺につく頃にはかなり疲れてしまっていた。それにしもとにかく本が邪魔だ。完全に買うタイミングを間違えてしまったようだ。
中学の修学旅行振りに行った金閣寺は、派手すぎて何だかあまり美しいと感じられなかった。銀閣寺と比べて人が多いのも関係しているのかもしれない。金閣寺では銀閣寺では全く見なかった、カップルの姿を沢山見た。皆それぞれに記念撮影を楽しんでいる。僕も中学生の頃は女の子と写真を撮ったような覚えがある。懐かしい思い出だ。そういえば、僕の家に修学旅行時の写真のフィルムがあった。自分の班だけじゃなくて、何故かクラス全員分の。果たしてあのフィルムを現像する日は来るのだろうか。そして何故僕がフィルムを持っているのだろうか。見つけてからずっと謎のままだ。何かの折りに全部現像してみるのも面白いかもしれないな。そういえばフィルムってどこで現像すればいいのだろうか。写真館だろうか。カメラに一切興味を持たずにここまで生きてきたから何も分からない。気が向いたら調べてみよう。



そんなに響かなかった金閣寺を早々に切り上げて、近場の龍安寺に行く。金閣寺から龍安寺までのきぬかけの路は、中学の修学旅行でも通った道だ。7年前の時は、この通りで蕎麦(だった気がする)を食べて団扇を買った。確かに般若の面が描かれた団扇だった。あの頃はまだ般若とかドラゴンを本気でカッコいいと思っていたような覚えがある。因みに僕が中学生の頃使っていた裁縫セットのケースは、白地に青いサイバードラゴンが描かれていました。まだ家にありますが、発見する度あまりのダサさに笑ってしまいます。道は7年前とは似ても似つかないくらいその姿を変えていた。記憶は場所に宿る。去年のNEWTOWNの時にそうロロの三浦さんは言っていた。道を自転車で走りながら、何だか記憶を失ってしまった気がして寂しくなった。
龍安寺は7年前から変わってなくて良かった。変わった景色を見て記憶を失ったと感じたからこそ、変わらない景色に宿った記憶を呼び戻すことができて嬉しかった。7年前は確かあの辺の場所に座ったよな、と思いながら別の場所に座って石庭を眺める。また1つ新しい記憶を龍安寺に埋めてしまった。次に来たときは7年前とこの日の間に座ろうと思う。



龍安寺を出た後、今出川通と川端通、五条通を通って清水寺に向かう。何だかこの日だけで京都を1周している気がする。"余裕"なんて言葉が全く似合わないくらいガンガンに自転車を漕ぎまくっていたので、外から見たら観光客には見えなかったと思う。それにしても京都には美味しそうなパン屋が沢山あった。少しは立ち寄ってみればよかったと今後悔している。
川端通を走っている時、京都の景観を損ねないよう配慮されたバニラトラックに出会えた。柄だけでなく、音量にも配慮が行き届いていて面白かった。自転車に乗っていたので、写真を撮れなかったのが残念だ。
清水寺までの五条坂は、想像を遥かに越える馬鹿坂だった。坂がキツイのに加えて、後ろから車がプレッシャーをかけてくる。そんな状況だったから、学生時代以来の全力のヒルクライムをしてしまった。何故電動自転車にしてこなかったのだろう。あまりの辛さに心が折れかけた。でも五条坂の駐輪場まで止まらず登りきったので、その点については自分を褒めてあげたい。よく頑張った。

坂を登りきった後、清水寺を巡った。清水の舞台は人が沢山いたので、結局よく見ずに通りすぎてしまった。旅行に来ている人は皆、京都=清水寺みたいなイメージがあるのかもしれない。僕も例外なくそう感じているし。結局そんな清水寺に用なんてほとんど無いので、すぐに立ち去った。そういえば、修学旅行の時にも行かなかった地主神社はどんな場所なのだろう。気になるけれど、"恋愛成就"の神社に恋もしていないやつが入るのは何だか気が引けてしまう。何より、そんな場所に男1人で入っていく勇気が無い。修学旅行の時イキらずに行っておけばよかった。


清水寺を出た後、さっき登った馬鹿坂(五条坂)を自転車で下る。最高に気持ちいい。もう2年近く乗っていないけれど、ヒルクライムが終わった後下りでアドレナリンが出まくるロードバイクの快感を思い出してしまった。また乗りたいなとは思うものの、何年も乗っていなかったロードバイクに乗るのはちょっとハードルが高い気もしてしまう。因みに馬鹿坂では車の多さとスピードにビビって、ずっとブレーキを握っていました。

レンタルサイクルを返却した後、ようやくこの日泊まるホテルを探し始める。この時点でスマホの充電は20%しか残っていなくて、なかなか焦る。Googleマップを開き、近くの安いホテルを検索する。大きな本棚の写真が気になったので、TUNE STAYに泊まることにした。後々調べて知ったけれど、去年の11月にできたばかりのホヤホヤなホテルだったみたいだ。コロナの影響で旅行客が少ないからか、広めの部屋にグレードアップした。ダブルベッドを1人で使う背徳感がたまらない。


気になった大きな本棚には、京都にまつわる色んな本が置いてあって興味をそそられた。折角来たのだから記念に1冊買おうと思い、「ときめき百人一首 / 小池昌代」を買った。中学生の頃全く楽しめなかった百人一首だけれど、短歌を好きになった今なら楽しめそうな気がする。なんか京都に来てから本ばかり買っている気がする。



ラジオを聞きながら夜ご飯をなか卯で食べていると、後ろの方から突然怒号が聞こえてきた。ラジオを聞いていたので内容は何を言っているかはよく分からないが、客同士が怒鳴りあっている声が聞こえる。状況が気になってきたけれど、ガッツリ後ろを向くのはなんか怖いし憚れるので、少しラジオの音量を小さくした。ちょっと聞こえてきた声からは、金を奪っただの何だのとの情報が得られた。少しだけ情報を得られたものの、やはりもっと知りたくなってきてしまったので、イヤホンをしたままラジオの音声を止めた。雑音を取り払って完璧に聞いた内容は、正直これを書いてる今には忘れてしまうくらいどうでもいいものだった。
話の内容を掴んで興味を無くしたのでようやく目の前の夜ご飯に意識を向けようとすると、店の外にパトカーが何台も停まり始めた。パトカーからは警官がぞろぞろと降りてきて、僕と目が合う。夜ご飯はまだ3割も食べ終えていないのに、いよいよ夜ご飯どころじゃない状況になってきた。警官は僕のことなど気にせず、どんどん店に入ってくる。店の外には野次馬達が徐々に集まり、僕と目が合う。自分が何かしたわけではないのに、悪いことをしている気分になる。これはまずい、急いで食べてここを出なくては。早くこの場所から逃げるために、なか卯の親子丼をかきこむ。かきこんでいると案の定喉に詰まらせたが、水はセルフサービスで真後ろまで取りに行かなければならない。後ろからは先程よりも多くの人の声が聞こえ、気配を感じる。流石にその人混みを中央突破して水を取りに行く勇気も出ず、席でゆっくりと詰まりの苦しみに耐える。詰まりと戦いながら半分まで食べたところで、突然隣の席に警官が座りその隣に容疑者が座り事情聴取を始めた。店内は結構広くお客さんも全然いないのに、何故よりにもよって僕の隣で事情聴取を始めたのだろうか。もっと空いてる席沢山あるじゃんか。こんなときにのうのうと夜ご飯を食べている僕に対する嫌がらせなのだろうか。正直、怒鳴り声が響いて警察が沢山いるなか卯でのうのうと夜ご飯なんて食べれてないけどな。焦りと戸惑いと怒りで感情がグチャグチャになりながら、残りのもう味がしなくなった親子丼を食べ続けた。
ようやく親子丼を食べ終え、皿を持って席から立ち上がる。意を決して後ろを振り向くと、警官が5人もいた。一瞬怯んだものの、強い気持ちで警官の間をオボンを持って突破していく。突破して返却口にお盆を返すとき、パット見同い年くらいの店員と目が合った。お互い珍しすぎる状況に無言で苦笑いし合ってしまった。言葉こそ交わさなかったけれど、「こんな状況ですいませんね」「いやいや、そちらこそ大変ですね。本当にお疲れさまです」「ありがとうございます、気をつけてお帰りください」「ごちそうさまでした」という会話を完全に交わしたような気持ちになる。これは僕だけじゃなくて、あの店員のお兄さんも感じていたと思う。不思議とそんな確信にも近い自信がある。

警察騒動のなか卯を出てTUNE STAYに戻り、人生で初めてジントニックを飲んだ。初めて飲んだのは宮崎の「HINATA」というクラフトジンだ。お酒のボトル?瓶?の色合いが好きで選んだけれど、結果的に大正解だった。どうやらスパイスが沢山入ってるらしく(店員さんの丁寧な説明を役に立たせられなくてすいません)、鼻から抜けていく香りが堪らなかった。今度からライブハウスやクラブ等でカシスオレンジやスミノフではなく、ジントニックを飲もうと思ってしまうくらいにはジントニックが好きになってしまった。お酒が苦手なのに2杯も飲んでしまった。かなりフラフラしながら布団に入ったのを覚えている。



この日は廊下に置いてあった交換用の枕を何種類も持ってきて、それらを全てベッドに敷き詰めて寝た。同じ階に泊まっていたのは自分だけのようだし、豪遊している気分だ。枕ごときで豪遊した気分になれるなんて、自分はお得な人間だな。


この日の行動
京都駅→レンタルサイクル→銀閣寺→京都府立陶板名画の庭→京都府立植物園→恵文社→金閣寺→龍安寺→清水寺→レンタルサイクル→TUNE STAY




3/18

TUNE STAYで朝御飯にベーグルを食べる。こういう少量でオシャレな朝御飯は久し振り、というかもはや初めてくらいだったけど、めちゃくちゃ美味しかった。量こそ足りないけれど、心がとても満たされる美味しさだった。たった1日なのにTUNE STAYを離れるのが辛い。何から何まで最高のホテルだった。次に京都に来るときがあったら、絶対またここに泊まろうと思う。



美術館や水族館がことごとく臨時休業してしまっているせいで特に行きたい場所が無くなってしまったので、中学の修学旅行でちょっと行きたいと思っていて、好きなアニメの"響けユーフォニアム"の聖地として有名な宇治に行くことした。結果から言うと、宇治は全く楽しくなかった。何の目的も無いのに行ってもそりゃ面白くないよな、と宇治で小一時間過ごした後ようやく気づいた。時間が経つに連れて思い出すのすら難しくなってきた宇治に行ったついでに、平等院鳳凰堂に行った。でも特に何の記憶にも残っていない。多分本物を観たときも"10円だ"くらいの感想しか持たなかったのだと思う。あまりにも記憶が無さすぎて、思い出が推測になってしまった。



宇治ではライブハウス?の間借りのようなところで牛スジカレーを食べた。カレーも美味しかったけれど、前菜の苺入りサラダが美味しかった。


宇治には奈良線で出てきて、京阪宇治線と京阪本線で三条に移動した。移動中はずっとGEZANのライブ映像を観ていたので、外の景色がどんなだったか見ていなかった。今考えると物凄く勿体無いことをしてしまったような気がする。

宇治で少し早い昼御飯を食べたけれど、あまりに量が少なく全然足りなかったので三条周辺で第2昼飯を探すことにした。目的地を三条にしたのは、確か錦市場が近かったからのような気がするが、もう今の記憶では確かじゃない。三条に着いてからお昼御飯を探してフラフラしていると、ボードゲームショップのイエローサブマリンが目に留まった。京都にもあるんだ!と無償に嬉しくなり、昼御飯そっちのけで入ってしまった。店内をグルッと巡ってはみたものの、東京と京都でそこまで違いは無かった。ただ店ごとの特色は出ていて、謎解きキットがかなり多く置いてあった。折角来たのだからと、1個だけ買った。謎解きキットを買うのは初めてなので、やるのが楽しみだ。そういえば、このイエサブは京都なのに"枯山水"が置いてなかった。流石にそれは置いてくれよと思ったけれど、置いていたらノリで買っていた気もするので逆に良かったのかもしれない。

イエサブを後にし、本来の目的である第2昼飯を探す。ブラブラと町を歩いていると"土鍋スープカレー"の文字が見えたので、吸い寄せられるようにお店に入ってしまった。店に入ってから、「近江屋清右衛門」というお店の名前知った。近江屋清右衛門で食べたスープカレーは、今まで食べてきたどのスープカレーにも勝るほど美味しかった。濃い出汁の味を基本として、そこにスパイスの香りと風味を足してカレーに仕上げる。今までもこのタイプのスープカレーは食べてきたけれど、レベルが違かった。それだけではなくて、スープカレーと一緒に出てきたキーマカレーとポテトサラダも最高に美味しかった。キーマカレーは肉の粒が粗めで食べ応えがあり、ポテトサラダもいぶりがっこが混ぜてあって食感の全く飽きなかった。また京都に来ることがあったらまた必ず行く。絶対行く。何ならこのカレーのために京都に行っても良いとすら今は思っている。



近江屋清右衛門を出た後、錦市場に行く。中学生の頃修学旅行でも来た思い出の場所だ。あの時は男子3人女子3人の班で行動していたけれど、錦市場に入った瞬間に女子達とはぐれて凄く焦った覚えがある。そんな中でも悠々とお土産の箸を物色して名前まで入れていたのだから、あの頃の自分は相当図太かった。結局同じ班の女子達とは数時間後に最後の目的地として設定していた清水寺で合流した。あの時は確か僕らの方が先に坂の上に到着していて、女子達を待っていた。坂を登ってきた女子達は少し走っていたのかとても暑そうで、自分の持っていた団扇で扇いであげたような覚えがある。僕が団扇で扇いだあの子は今何をしているんだろう。ふとそんなことを思った。そういえば、僕以外にももう1人女子に対して自分の団扇で扇いでいた奴がいた。その2人は別れたばかりだったので、不自然なくらい会話が無かったのを鮮明に覚えている。不自然なくらい会話はしないくせに扇ぐし扇がれるのな、そう強く思っていた。あの日男子3人で行った箸屋は、今はもう無くなっていた。今新しく錦市場にある箸屋の人に聞いたら、この場所はとにかくお店の入れ替りが激しいから仕方のないことだと教えてくれた。店内の内装も、広さも、名前すらも覚えていない。でも忘れていないだけマシなのかもしれない。そして多分この箸屋のことも1年後には忘れてしまっている気がする。因みに、もう今の時点で店の名前は思い出せない。



15時でまだ早かったけれど、この旅行の目的であるHOTEL SHE, KYOTOで開催されている「詩のホテル」に行った。まずロビーに入った瞬間の絶妙なお洒落さに一瞬怯んでしまった。部屋に入ると、向ける視線の全てに詩が入るくらい部屋が詩で満たされていた。写真を何枚も撮ったけれど、テンションが上がりすぎていてかなりブレてしまった。詩は部屋の壁や天井だけでなく、クッションやスリッパの袋、シャンプーボトルに至るまで書いてあって興奮と共に若干の狂気も感じた。



HOTEL SHE, KYOTOではレコードを聴くことができ、最果タヒの「こちら99等星」を聞いた。朗読とレコードの質感との相性に惚れ惚れしながら聴ききってしまった。貸し出しレコードのコーナーにはSpotifyにも無いDRAKEの初期ミックステープが置いてあり、凄く興奮した。詩のホテルに来たはずなのに、朗読レコードよりもDRAKEの初期ミックステープばかり聴いてしまった。



HOTEL SHE, KYOTOで無料券を貰ったので、近くの銭湯に行った。銭湯では初めてちゃんとサウナと水風呂の気持ちよさを味わった。今まではサウナにハマる人達が何故なのか分からなかったけれど、ようやく理解できた気がする。ただ冷たいだけと思っていた水風呂であんなにポカポカを感じるとは。サウナの気持ちよさは理解できたけれど"整う"という感覚は分からなかったので、これからは"整う"を目指していきたいと思います。風呂とサウナの後にはHOTEL SHE, KYOTOのアイスとジントニックを食べた。汗を沢山かいた後のアイスと酒が上手くないわけなんてなく、至福の時間を過ごせた。

この日の夜ごはんは京都駅の中にあるお店でカレーを食べた。高い割にそんなに美味しくなくて凄くがっかりした。ホテルに戻った後は、再度部屋の中に散りばめられた詩を読んだ。言葉がインテリアになるって最高だなー、なんてうっとりしてしまった。その後は寝るまで結局ハピネスチャージプリキュアを観てしまった。何だか京都旅行の記憶がプリキュアばかりになってしまいそうだ。


TUNE STAY→宇治駅→平等院鳳凰堂→三条駅→イエサブ→近江屋清右衛門→錦市場→レボリューションブックス→HOTEL SHE, KYOTO



3/19

HOTEL SHE, KYOTOで、オープンサンドイッチというオシャレな朝御飯を食べた。オープンしているサンドイッチなんて、もはやサンドイッチじゃないじゃないか。サンドイッチもモーニングもオシャレも難しい。というかサンドしている(していないけど)パンがワッフルなので、別の料理じゃないのか?そう思ってサンドイッチをGoogleで調べてみた。あくまでWikipedia先生の情報だけれど、パンに代わる食材で挟んだものやオープンサンドイッチも、総称してサンドイッチと呼ぶようだった。そうか、サンドイッチは総称で親玉だったのか。また1つ賢くなってしまった。



HOTEL SHE, KYOTOをチェックアウトした後、このままだと最終日に何もせずに帰ることになるのでは?と不安になったので、急いで渉成園に行った。朝早かったのと時期だったのも相まって、全然人がいなかった。だからなのか、鳩が無防備に休んでいた。よく鳩は平和の象徴と言われているけど、あの無防備な姿を見たら確かに平和と呼んでも差し支えない思えてくる。渉成園では鳩だけでなく、ビビってしまうくらい大きい鳥が闊歩していた。あまりの大きさに思わず"嘘やん"と声に出てしまった。無意識だったけど、関西弁になっていた。関西に来て関西の空気を吸っていたからだろう。どうやら僕は街の空気にしっかり流される人間のようだ。



帰りの高速バスは、2階の最前列という当たり席だった。ゆりかもめや東京モノレールでもそうだけど、外が見える乗り物の1番前というのはそれだけで心がウキウキしてしまう。



高速バスで移動中あまりにもお腹が空きすぎたので、胃袋に食料を入れる為だけに途中のサービスエリアにあったファミマでサンドイッチを買った。コンビニのサンドイッチなんて、と思っていた自分が恥ずかしくなるくらいファミマのたまごサンドは旨かった。普通に日常のお昼御飯の選択肢に加わってしまいそうだ。

高速バスでは一睡もせずにハピネスチャージプリキュアを観続けた。神奈川県に入った瞬間からは、関西では聞けなかった深夜の馬鹿力を聞き始めた。伊集院光の声を聞いた瞬間、京都旅行が終わった気分になる。久し振りに旅行をしたけれど、結局いつも通りの生活が1番心安らぐ。そういえば、小沢健二は2年前のライブで最後にこう言った。日常に帰ろう。また明日から何でもない普通の日常に戻るんだ。




最後に、今回の京都旅行で気づいた自分のことについて記録しておきたいと思います。


そんなに好きでもなかったこと
・寺等の歴史的建造物
・抹茶
・お菓子
・らーめん
・食べ歩き


本当に好きだったこと
・本
・カレー
・自転車
・石庭
・ボードゲーム
・ラジオ
・音楽


新しく好きになったもの
・ジントニック
・モーニング
・たまごサンド







これを書き終わった今は11月。この旅行の後転職したりコロナが本格化したり、自分にも社会にも色んなことが起こった。色んなことに気移りしながら、気づいたらこの旅行からもう8ヶ月も経ってしまった。この8ヶ月の間に抜け落ちてしまった記憶や感情があるかと思うと、やるせなくなる。原因は全て自分の怠惰さにあるのだけど、反省したところで直るわけでもないからよりやるせない。ただ、8ヶ月間たまにこの旅行のことを思い出して一時だけでも楽しい気分に浸れたことはとても幸福だった。その幸福さこそ、良い旅行だったという何よりもの証拠だと信じていきたい。いつかまたこんな旅行がしたいな。

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