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突き詰めたら、誰でも開眼できる方法がわかりました

※この記事は【事例Ⅰ~Ⅲ】について解説したものです。

「2次試験対策…未だに掴めないんだよな~」

「やってもやっても全く手応えがない…」

「結局、元々文才がある人しか書けない気がする…」

「努力じゃどうしようもできない壁があるような気がしてきた…」

「開眼すれば合格率が跳ね上がるということは知っているけど、どうすれば開眼できるのかわからないし、そもそも開眼が何なのかすらイマイチよくわかってないんだよね…」

このようなお悩みをお持ちの方は結構いるのではないでしょうか?

何を隠そう、私もまさにそうでした!

でもご安心ください!

コチラをお読みいただければ、全て解決します!

「開眼」する方法もわかります!
(なんなら開眼までさせちゃいます!)

これからお伝えすることは、私自身の開眼体験を分析し、それにより導き出した“開眼理論”です。

この記事で皆様が開眼できれば幸いです。


筆者情報(こーちゃん)

年齢:30代半ば
学習スタイル:独学(巷で最近耳にする“孤独学”というやつです)
受験歴:以下のとおり
 2013年 夏、勉強開始
 2014年 1次試験合格、2次試験不合格
 2015年 1次試験パス、2次試験不合格
 2016年 1次試験合格、2次試験不合格
 2017年 1次試験パス、2次試験不合格
 2018年 未受験(仕事の関係により)
 2019年 未受験(〃)
 2020年 1次試験合格、2次試験合格

2次試験4年連続不合格という「大しくじり」から、開眼を経て逆転ゴールを決めた男




開眼とは

一般的に開眼とは「真実の道理や物事の本質を悟る」ことを意味します。

ただし、中小企業診断士2次試験における開眼については明確な定義がないように見受けられます。

何を開眼と捉えるかは人それぞれであり、そもそも「コレだ!」というように一つに定義付けすること自体がナンセンスなのかもしれません。

しかし、それでは話が進まないので、まずはここで私なりに開眼について定義付けします。

私なりの開眼の定義は、

“『解答の正体』がわかること”

です。

ここでいう“解答”とは、ふぞろいの合格解答やA答案※、予備校解答を指します。(※以下「ふぞろい解答」という。)

これらのような、一つの「正解」とされている解答の「正体」がわかること“開眼”です。

これだけではよくわからないと思いますので、次項で詳しく説明します。

開眼 =『解答の正体』がわかること


2次試験対策の現状

知っているようで実は知らない「解答の正体」


皆さんは2次試験のようなタイプの試験を、これまでの人生で経験したことはありますか?

私はこの手のタイプの試験を経験したことは一切ありませんでした。

そのためか、ふぞろい解答や予備校解答を見ても、どのように作ればいいのか全くイメージができませんでした。

例えるなら、
「これまで生きてきた中で出会ったことない海外における未知の料理」を見たときの印象といえば伝わるでしょうか。

「見ただけでスゴイことはなんとなくわかるけど…」
「どんな食材が使われているのかサッパリわからない…」

当然、このような状態では、「同じものを再現しろ」と言われても作りようがないですよね。

何から手を付けていいのかわかりません。まさにお手上げ状態です。ふぞろい解答や予備校解答に対する印象がまさにコレです。

「1次知識を使うのか??」
「文才がないとダメ??」
「センスがないと書けない??」
「国語力??」
などなど…

皆さんも同じような疑問をお持ちではないでしょうか?


モヤモヤしたままの勉強

しかし、2次試験対策における現状はこの疑問に対する明確な回答が無いまま、その疑問をすっ飛ばし、『勉強法』ばかりに焦点が当てられているように思います。

本来であれば「勉強法」云々よりも先に『解答の正体』を突き止めるべきです。

なぜなら『解答の正体』がわからなければ、その攻略に向けた具体的な対策を講じることができないからです。

どんなスポーツだって、対戦相手がわからない状態では対策しようがありませんよね。それと同じです。

「勉強法」について考えるのは『解答の正体』がわかった“後”です!

しかし(繰り返しになりますが)現状は、解答の正体よりも「勉強法」に焦点が当てられています。

だから、2次試験について

「掴めない」

そんな感想を持つ方が多いのです。

実際、解答の正体をわかっていないのですから当然の感想ですよね。

そのような状態のまま2次対策を行うから“間違い(=本質からズレた対策)”をしてしまうのです。

その結果が、私の“4年連続不合格”という「大しくじり」です…

その一方で、がむしゃらに2次対策を行う中で“たまたま”解答の正体を突き止める人もいます。

そのような人は、これまでの点と点が線で全てつながり、「悟り」を拓きます。

これが“開眼”です。

“開眼=『解答の正体』がわかること”

つまり何が言いたいかというと、

「開眼できるかどうかは“運”次第」という認識が一般化している

ということです。


(現状の整理)

  • 「解答の正体」がわからないままでは、再現しようがない

  • 「解答の正体」を掴めないままモヤモヤした気持ちで2次試験対策を行っている

  • だから本質からズレた対策をしてしまう

  • “運”の良い一部の人だけが「解答の正体」に辿り着く(=開眼できるかどうかは“運”次第)


“運”ではない!開眼は再現可能!

「解答の正体がわかる」状態が“開眼”であることをお伝えしましたが、「解答の正体」について詳細に分析し、解説しているものを私は見たことがありません。

そのため、開眼は2次試験対策をがむしゃらにやった結果、“たまたま”辿り着く境地という認識が一般化しています。

このように、開眼は“運”要素が強いものと考えられている感じがします。

かくいう私も“たまたま”開眼できたクチです。

しかし、

「知らず知らずのうちに何かしらの開眼条件をクリアしていたのではないか?」
「その条件を満たしたから解答の正体がわかったのではないか?」

と、過去の自分を振り返り、開眼について必死に分析してみました。

その結果、導き出された結論が、

“開眼するためには条件がある!”

ということです。

決して「開眼するかどうかは運次第」ではなかったのです!

例えば、ものが燃えるためには「可燃物」「酸素」「熱」の3要素が必要ですよね。

他にも、例えば光合成の反応には「水」「二酸化炭素」「光」の3要素が必要ですよね。

スーパーサイヤ人になるためには「怒り」が必要ですよね。

これらの要素はどれか一つでも欠けていては、その反応は起きません。

「開眼」もコレと全く同じだったのです。

逆にいえば、しっかりと手順を踏んで、全ての条件を満たしさえすれば、誰でも「解答の正体」がわかるようになるということです!

誰でも開眼できるのです!

その条件が後述する『開眼の4条件』です。

もちろん、この記事を読まなくても、“たまたま”条件を満たして開眼する可能性もありますが、それに期待するのはハイリスクでしかなく、わざわざ“たまたま”に賭ける意味もありませんよね…

私が提唱する開眼条件を一読していただき、試してみてください。

ちなみに、開眼後の成長スピードはエグいです。

つまり、開眼が早ければ早いほど、合格率は飛躍的に向上するということです!


開眼条件

それではさっそく「開眼の4条件」をお教えします。

これらの条件を全て満たせば「解答の正体」がわかり、めでたく“開眼”です。

詳細は次で解説します。


【条件1】「知識」では絶対に書けないことを知っている

1次試験に比べて2次試験はかなり難しい

その主な理由は、

2次対策に関する情報が溢れていて、どんな対策が正解かわからないため

です。

そして、その最大の原因が、

「解答の正体」がわからないため

です。

解答の正体がわからない

だから、どんな対策をしたらよいかわかない(誰もわからない)

だから、人それぞれが思い思いの情報を発信する

結果として様々な情報が溢れてしまっている
(案の定、市販されている過去問集の模範解答を見ても、アプローチ方法は各予備校でまちまちという状況…)

「何を信じればいいのかわからない」

だから、2次試験は難しいんです。

これだけでも悩ましいのに、更に2次試験の難度を上げる要因が

「時間の制限」

です。

1次試験終了後から2次試験までは3か月弱しかありません。

  • 何をしたらいいのかわからない

  • 更に試験日当日まで時間もない

2次試験の難しさの一因です。


「焦り」が思考を鈍らせ「愚かな行動」へと走らせる

上述したとおり、本来であれば「何をしたらいいかわからない」なんて言っている時間的余裕はありません。

「でも、何から着手すべきかわからない…」

そんな状況が「焦り」を生みます。

だから、「勉強した感」が手っ取り早く得られる「とりあえず暗記」という安易な「知識対策」に走る方が多いのです。

かく言う私も知識対策に走って失敗した一人です。

  • 「勉強=覚える」が刷り込まれているため、抵抗なく始められる

  • 「覚えた」という成長を実感しやすい

  • 「とりあえず覚えればいつかは書けるようになるだろう」という、本質を見抜けていないが故の期待感

  • 2次試験本番までの時間的猶予が少なく、「悩むより行動すべき」という焦りからくる浅はかな衝動

etc.

このような理由から、ろくに考えもせずについつい「とりあえず暗記」という愚策に走ってしまいました。

ここで断言しますが、知識対策をいくらやっても絶対に2次試験は突破できません!

なぜなら2次試験で試されていることは「知識の有無」ではないからです。

知識で解けないのは当たり前です。

何故なら、事例で登場する企業の状況は千差万別で、企業ごとに置かれている状況が全く異なるからです。知識で太刀打ちできるはずがないのです。

大切なのは、その企業の状況をしっかりと把握し、その企業にとってのベストを考えて提案することです。企業に寄り添うことが何よりも大切なのです。

「このパターンが来たらコレ」
「こういうときは一般的にはコレをする」

このような対応はNGです。事例に登場する企業をないがしろにした対応は絶対にしてはいけません!

だから私は強烈に「知識対策」を否定します。
(知識の有無は1次試験で既に確認済みということです。)

「覚える」ことを基本とした2次試験対策を行っている方は、今すぐ止めましょう!


「覚える」という呪縛から抜け出そう!

「覚える」という知識対策を止めることは、実は思っている以上にハードルが高いです。

なぜなら、上述したとおり、これまでの人生において経験してきたであろう試験対策のほとんどが「覚える」だったためです。「覚える」という勉強法が既に脳に刷り込まれています。

それを止めるのは心理的な抵抗がめちゃくちゃあります。

だから、中途半端にならないように、しっかりと意識改革を行ってもらうために、あえて条件化したのがこの「条件1」です。

条件1
▶「知識」では絶対に書けないことを知っている

2次試験対策は「認識を改める」ところから始まるので、1つ目の条件としました。


「収穫アリ!2次試験で問われているのは「知識の有無」ではないんだ!」
「俺も「とりあえず暗記」してた~(^^;)だからいくらやっても書けるようにならないわけだ!」
「確かに「勉強してる感」はあったけど、「どれだけ覚えれば書けるようになるんだ?」って思ってたんだよね…危なッ!」
「でもこれで間違った対策はやらずに済むな!」
「ヨシ、さっそく事例に取りかかってみよう!…あれ!?…書け…ない…??


解答の正体はまだまだわからない

それはそうです。まだ条件1をクリアしたにすぎません。

今はまだ、解答の正体は“知識ではない”ということがわかっただけで、解答の正体はまだ何一つわかっていません。


【条件2】解答は「与件文情報」に基づく必要があることを知っている

大切なのは知識ではなく○○!

条件1で「解答の正体は“知識ではない”」ということをお伝えしました。

つまり、2次試験で試されていることは「知識の有無」ではないということです。

それでは2次試験では何が試されているのでしょうか?

それはズバリ『能力』です。

具体的には「読解力」「思考力」「記述力」の3つの能力です。

事例企業に関する情報は全て「与件文」に記載されています。そして、出題者は必ず、出題者が考える模範解答へ導くための「ヒント」を与件文に盛り込んでいます。その「ヒント」をしっかりと拾う力が「読解力」です。

また、与件文から読み取った情報を論理的に組み立て、因果関係をハッキリさせる力も必要です。それが「思考力」です。

そして最後に、解答内容が採点者に伝わるように、読みやすく、かつ正しい日本語で解答を書くための能力(=記述力)も当然に必要になります。

ここまで説明してきて、察しの良い方は既に気が付いたかもしれません。

そうなんです。

つまり、解答は「与件文が材料」になっているのです!

与件文から必要な情報を拾い、それを組み立てて記述する、それに必要となるのが「読解力」「思考力」「記述力」の3つの能力ということです。

勝手に他の材料を外から持ち込んではいけません。それはルール違反です。(勝手に外から知識を持ち込まないでくださいね!)

与件文として皆さんに平等に与えられた情報「だけ」、与件文から読み取れること「だけ」を使用してください。


「与件文を材料にすればいいのか!」
「これでもう解答の正体はわかった!早速事例に取りかかってみよう!…あれ!?…書け…ない…??


解答の正体はまだわからない

条件2をクリアした段階で、なんとなくぼんやりと解答の正体がわかってきたと思います。

与件文から必要な情報(解答要素)をピックアップさえできれば解答を書けると思ってしまいます。

しかし、いくら解答要素をピックアップできたとしても、それだけでは解答は書けません。

いくら材料を買いそろえても、カレーの作り方がわからなければカレーはできませんよね?それと同じです。「材料」だけでは解答を作成できません。

そこで、条件3の出番です。


【条件3】「課題解決フレームワーク」を使えば論理的な“流れ”を作れることを知っている

「解答をイメージする」ことと「実際に解答を作成する」は難易度が別次元です。

実際に書いてみれば一番わかりますが、おそらく、思っている以上に「書けない」と思います。

様々な理由が考えられますが、最大の原因は「解答構成の難しさ」ではないでしょうか。

例えば、「理由」を問われた場合、2次試験の解答は「○○だから」といった一問一答形式のような単純な解答ではありません。

「○○といった中で、○○を行いつつ、○○をしたことで、○○することができたため」

このような、論理的で流れるような文章なのです。しっかりと「文章」なんです!

つまり、文章を書くためには、解答「要素」だけではなく、解答の「構成(流れ)」も考える必要があるということです。

人が読む文章を書こうと思うと急にハードルが高くなりますよね。

解答要素を箇条書きでメモするのとは比べ物になりません。

与件文を読んで、解答「要素」をピックアップできても、いざ「文章」を書くとなると急に筆が進まなくなるのはこのためです。

だから、「ダナドコ」※といった様々な解答フレームが出回るようになるのです。

ダナドコ
▶「ダ:誰に」、「ナ:何を」、「ド:どのように」、「コ:効果」の頭文字をとったもの。
解答要素をこの順番で書くだけで解答ができてしまうという、超便利なフレームワーク

他にも「解答骨子」や「解答フレーム」で検索すれば山ほど出てきます。

受験生には大変ありがたい反面、ここで一つの問題が生じます。

それが、

「どんな設問要求で、どのフレームワークを使えばいいのかがわからない」

という問題です。

ダナドコだってそうです。全ての設問要求タイプで使えるものではありません。(ダナドコが使えるのは、何らかの取組を「提案」する場合です)

そこで私は様々な過去問に着手し、「設問要求」とそれに対するふぞろい解答や予備校解答の「構成」を分析したところ、ある「法則」を見つけることが出来ました。

それが『課題解決フレームワーク』です。


最強の解答骨子作成ツール『課題フレームワーク』

カッコつけましたが、「当たり前」のことをただ図示しているだけにすぎませんので、使用にあたっての難しさは皆無です。

覚えるほどの負担すらありません。

一度見れば「なんだ、そんなことか」と思えるほど「当たり前」のことです。

おそらく、文章力?がもともとある方は無意識に自然と使えていることなのかもしれません。

しかし、文章力がゼロだった私にとっては、この「課題解決フレームワーク」の発見は、かなりの衝撃でした。

これによって「文章の構成」を、「感覚」的ではなく「理論」的に考えられるようになりました。

このフレームワークの威力は私が保証します。効果はバツグンです!

その課題解決フレームワークは次のとおりです。
(前置きが長くなり申し訳ございません)

課題解決フレームワーク
  1. 現状:企業が現在いる場所(現在の状況、状態)

  2. 環境変化:絶えず起きる経営環境変化(企業に影響を与えます)

  3. あるべき姿:環境変化に対応した「理想の姿」のこと(環境変化によって「理想の姿」も変化します)

  4. 課題:『現状』と『あるべき姿』のギャップのこと(『あるべき姿』へなるために解決すべきこと)

  5. 取組:課題解決のために行う具体的な取組のこと

  6. 効果:取組を実施したことにより生じた効果のこと(『効果』は『課題』の裏返し

詳しくはコチラをご覧ください。


このように「課題解決フレームワーク」を意識するだけで、「どんな設問要求ならどんな解答構成になるのか」をいとも簡単に、「自分」で“導き出せる”ようになります。

だから、いちいち、「この設問要求だったらあのパターンを使う」などと一つ一つ覚える必要は一切ないのです。

「課題解決フレームワーク」を覚えておくだけでOKです!
※繰り返しますが、覚えるほどの難解な理論ではありません(^_^;)

これで解答の構成に迷うことはなくなります。


「解答の構成(流れ)はこう考えれば良かったのか」
「このタイプの設問要求だったら、解答構成はこんな感じだな」
「解答材料もあるし、解答の流れもイメージできるようになった!これでもう合格答案は書けるはず!…あれ!?…書け…ない…??


まだ解答の正体はわからない

実際、私は条件1~3をクリアした段階で

「さすがにもう書けるだろ!」

と完全に思い込んでいました。

解答の正体は「与件文情報」と「解答の流れ」だと完全に思っていました。(開眼条件は3つだと完全に思っていました。)

「知識は持ち込まない!解答材料は与件文の情報!そして、課題解決フレームワークを使って解答構成を組み立てる!ここまでわかっていて書けない理由はない!」

しかし、なぜか解答は思うように書けませんでした。

事実、3つの条件をクリアしただけではふぞろい答案は作成できません。

解答の正体がまだ掴み切れていなかったのです。

「まさか、4つ目の条件があるのか!?」

そこからまたふぞろい解答の研究が始まりました。

その結果わかったのは、「ある部分」が不足しているということです。

ということで、最後の条件である【条件4】へ進みましょう。


(余談)「課題解決フレームワーク」の副次的効果

設問要求を読むだけで解答構成がイメージできるようになれば、「読解力」が劇的に向上します。

例えば、設問要求が「理由」であれば、解答構成は

「こんな経営課題があったから」

ですよね。

このように、ここまでわかれば、

「与件文から事例企業における過去の課題らしきところを探そう」

と狙いが具体的になりますよね。

読みが「鋭くなる」のです。課題らしきものに対する感度が非常に高まるのです!

解答構成をイメージすることで、このような「+α」の効果を享受できるようになります。


【条件4】事例毎の「普遍性」を知っている

最後のピースがこの太字部分です。

理由は①印刷のデジタル化で事務用印刷分野への新規参入が容易になり単価が下がったため。②高品質・高精度な印刷を必要とする美術印刷分野に経営資源を投入し高付加価値化、差別化で競争優位を確保するため。

ふぞろいな合格答案15(令和3年度事例Ⅰ第1問の解答)


地元において高い認知度を有した商標を冠にした社名とした上で、昔ながらの味を追い求めつつ、主力商品だけに絞った商品展開とした。これにより、ブランドイメージを明確化し、消費者に対する浸透力を向上させたこと。

中小企業診断士最速合格のための2次試験過去問題集(平成29年度事例Ⅰ第1問の解答)


与件文を確認しても、このようなフレーズは見当たりません。

「解答のこの部分はどこから出てきた!?与件文にはないぞ!?結局、知識か!?」

そう思って若干絶望しかけましたが、これは決して「知識」や「センス」なんかではなかったのです。

この正体こそが『普遍性』だったのです。

「普遍性」とはつまり、「当たり前のこと」です。

「言わずもがな」のことです。

事例毎の「世界観」とも言えます。

この「普遍性(世界観)」、「当たり前とされていること」は、多くの事例に触れることで自然と見えてくるものです。

ここではほんの一部ですが、私が見つけた「普遍性」を簡単に説明します。


事例Ⅰの『普遍性』

事例Ⅰで意識すべき普遍性は2つあります。

それは「戦略」「組織・人事(+文化)」です。

この2つの切り口がそのままレイヤーとなります。

設問解釈時点において、この2つのレイヤーのうち、どちらに関する設問かを判断します。

レイヤーを細分化している方も散見されますが、私はこの2つのレイヤーを使用しています。

そうする理由は至って単純で、2つの方が「使いやすいから」です。

レイヤーが細分化されていては、「この設問はどのレイヤーだ?ん~…」となり、無駄に時間を浪費し兼ねません。お世辞にも実用的とは言えないのです。

一方、2つのレイヤーであれば、戦略的な大きな話かどうかだけなので迷うことはないでしょう。


<レイヤー①:戦略>

戦略レイヤーであれば、次をイメージしてください。

「戦略とは“戦いの省略”である」

“戦わずして勝つ”ともいえます。

これは言葉の通り「戦わずに、相手に勝つ」という意味です。

経営資源に乏しい中小企業が無駄な消耗戦を行うのは愚の骨頂です。価格競争なんてのはもってのほかです。極力“戦わずして勝つ”方法を考えるべきです。

それでは、戦いを回避するためにはどうしたらよいでしょうか?

それは、

特定の分野において圧倒的な強者になること

です。

特定の分野における強者に真っ向から勝負を挑んでくる企業はいないでしょう。そして、強者になるためには「強み」が必要です。

そこで大切になるのが、

自社の「コア業務」への経営資源の「集中投資」

です。

経営資源に乏しい中小企業が「強み」を形成するためには、コア業務に一点集中しかありません。

僅かな資源を更に分散などしてしまえば、武器となる強みは決して形成できません。それほど簡単に強みは形成できないということです。

もし仮に強みができたとしても、簡単に作れる強みは簡単に真似され、もはや強みとは呼べなくなります。

経営資源に乏しい中小企業が、他社に容易に真似できない強みを構築するためには「集中投資」が必要不可欠なのです。

つまり、一言でいうと「選択と集中」です。

あれもこれもではなく、やるべきことを「選択」し、そこに資源を「集中」させるのです。

この分野だけは絶対に譲らない、これだけは絶対に負けたくない、そのような分野に資源を全集中し、そして、全力で資源を投入するということです。

逆に、ノンコア業務は積極的に外部に委託を検討しましょう。

全てを自社でやろうとしてもダメです。全てが中途半端に終わることは目に見えています。

コア業務に自社資源を集中投下し、コア業務以外は積極的に「外部の専門性」を活用しましょう。

経営資源の乏しい中小企業では特にこの「選択と集中」がとても大事です。

そうすることでようやく「強み」が形成され、そして、その強みを活かすことで、他社と「差別化」できるのです。

差別化できれば「○○といえば、A社」といわれるようになり、認知度やブランド力も向上するかもしれませんね。

その分野で勝負を挑んでくる企業は減ることでしょう。

これが私の考える「戦いの省略」です。

ここまでを簡単にまとめると、

限りある経営資源を特定分野に集中し、その分野における「強み」を形成し、その強みを活かした事業展開差別化高付加価値化等を図る

ということです。

<関連ワード>
・コア業務とノンコア業務の見極め
・内外業務区分
・コア業務への集中投資
・ノンコア業務の外注化
・強みの形成
・強みの活用
・差別化
・高付加価値化
・ブランド力向上
・訴求力向上

これが「戦略」レイヤー『普遍性』です。

これは企業にとっては「至極当然」のことですよね。「言わずもがな」ですよね。

『普遍的』ですよね!だからいいんです!だからこそ、どの事例でも使うことができ、解答が安定するのです。

例えば、成功要因を問われた場合は上記の流れに沿って解答を組み立ててください。(具体の内容は与件文から拾って肉付けしてください。)

逆に、失敗要因を問われたら、上記の流れのどこかに問題があるはずです。「内外業務区分が明確になっていない」、「経営資源を分散している」、「強みを形成できていない」、「強みを活用できていない」などです。

『普遍性』の威力がお分かりになりましたか?

※その他の普遍性についてはコチラに詳細を掲載していますのでご検討ください。

この「普遍性」こそが『解答の正体』の最後のピースでした。

ここまできたら「絶対に書ける」という自信が湧き、それが「マジで書けた…!」となり、「合格できる!イケる!」へと変わりました。

これが私の「開眼」物語です。


自信が確信に変わった瞬間でした。

繰り返し述べますが、開眼後の成長速度の伸びはエグかったです。
過去問演習をやればやるほど能力に磨きがかかっていきます。

これが『解答の正体』でした!


(余談)「ふぞろい」が好まれやすい理由

「ふぞろい解答」と「TAC解答」にはそれぞれ次のような特徴があります。(予備校解答も複数ありますが、ここではTACを比較材料とします。)

ふぞろい解答は「与件文情報」の割合が大きいということです。

一方、TAC解答は多分に「普遍」的要素が盛り込まれています。

先に述べたとおり、「普遍性」は過去問演習を繰り返し行い、様々な事例に触れる中で“自然に見えてくるもの”です。「普遍性」を理解できていない学習初期段階においては特に、TAC解答について消化不良となり、その結果として「こんなの書けないよ〜」となるのです。TAC解答が“高尚”なものに見えてしまうのはこのためです。

その点、ふぞろい解答は与件文情報がとても多いため、

「与件文をしっかり読めば私も書けそう!」
「TAC解答に比べれば、これならなんとかなりそう」

といった気持ちを起こさせやすいのです。

つまり、両者の違いは

“「与件文情報」と「普遍性」のバランス”

です。

「ふぞろい」は「与件文情報」の割合が高いため、TAC解答に比べてとっつきやすい。

これが私が考える、「ふぞろい」が好まれやすい理由です。


いざ開眼

せっかく「解答の正体」がわかったので、ここからは実際にふぞろい解答を分析して、実際に開眼してもらいたいと思います。

『解答の正体』が本当に「与件文情報」「解答の流れ」「普遍性」で構成されているのかを検証してみましょう!

before:どうやったらこんな解答書けるんだよ!
after   :そうか、解答ってコレでできてるんだ! 

この状態までもっていきたいと思います。

(使用事例)令和3年度事例Ⅰ

(設問文)
第1問

2代目経営者は、なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか、100字以内で述べよ。

(ふぞろい解答)
理由は、技術革新により新規参入増加や低価格競争激化する中で、高精度な印刷を必要とする美術印刷分野に経営資源集中すると共に、顧客の細かいニーズに対応できるよう協力企業とのネットワーク構築し差別化を図る為。

ふぞろいな合格答案15

それでは早速始めましょう!


【分析】「解答の流れ」(条件3)

いきなり条件3からですみません(笑)

実際の解答手順では与件文よりも先に設問文を見ますよね?

オーソドックスな作法は、

①設問文を先に見る
②設問要求を確認し、「課題解決フレームワーク」を使って解答の構成を決める
③与件文読解

という流れです。

だから、「解答の流れ(条件3)」から始めるのです。


第1問
2代目経営者は、なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか、100字以内で述べよ。

問題要求は「理由」ですね。
(※直接的に「理由は?」と問われたわけではありませんが、要求趣旨は「理由」で間違いありません。)

【理由】とは、「なぜそれを行ったの?」という“取組”に対する質問ですよね。

ということは、解答構成は次のようなイメージでしょうか。

【環境変化】○○といった環境変化の中、

あるべき姿】○○になるためには、

【課題】○○を行う必要があったため。
(※順番はアレンジ可)

課題解決フレームワークの要素抽出


それを踏まえた上で、ふぞろい解答を確認してみましょう。

理由は、

【環境変化】
技術革新により新規参入増加や低価格競争激化する中で

【課題】
・高精度な印刷を必要とする美術印刷分野に経営資源集中する
・協力企業とのネットワークを構築する

【あるべき姿】
顧客の細かいニーズに対応し、差別化を図る

ほらね?

課題解決フレームワークで組み立てた「解答の流れ」と一致しますよね?

※解答の中身ではなく、「環境変化」「課題」「あるべき姿」という『解答の流れ(展開)』を今は見ています!

次は、解答の中身について分析してみましょう!


● 『解答の流れ』は「課題解決フレームワーク」で説明できる!「センス」や「感覚」などではない!
● 設問要求を確認し、課題解決フレームワークを使って「解答の流れ」をイメージしよう!


【分析】解答の中身(条件2)

それでは解答の具体的な中身についてみていきましょう。

この設問に関係する与件文は次のとおりです。
(※今回は“開眼”を目的としていますので、「実際に与件文を読んで、設問文と紐づける」というステップは省略します。この「読解力」は、開眼後に過去問演習を繰り返し行って鍛えてほしいと思います。)

(第3段落)
しかしながら1970 年代からオフセット印刷機が普及し始めると、専門化された複数の工程を社内、社外で分業する体制が崩れ始め、それまで印刷職人の手作業によって行われてきた工程が大幅に省略され、大量・安価に印刷が仕上げられるようになった。

(第4段落)
さらに2000 年頃より情報通信技術の進化によって印刷のデジタル化が加速し、版の作成を必要としないオンデマンド機が普及することによって、オフィスや広告需要の多くが、より安価な小ロット印刷のサービスに置き換わっていった。とりわけ一般的な事務用印刷の分野においては、技術革新によって高度な専門的技術や知識が不要となったため、印刷業ではない他分野からの新規参入が容易になり、さらに印刷の単価が下がっていった。

→ここは「環境変化」ですね。


(第5段落)
こうした一連の技術革新に伴う経営環境の変化に直面する中で、多くの印刷会社が新しい印刷機へと設備を刷新してきたのに対して、A 社では、2 代目が社長に就任すると、保有していた印刷機、印刷工場を順次売却し、印刷機を持たない事業へと転換した。

→ここは今回問われている「ファブレス化に関する部分」ですね。


(第5段落)
制作物のデザイン、製版、印刷、製本までの工程を一括受注し、製版や印刷工程を、凸版、凹版、平版などの版式の違いに応じて専門特化された協力企業に依頼することで、外部にサプライチェーンのネットワークを構築し、顧客の細かいニーズに対応できるような分業体制を整えることに注力した。

→ここは「課題」ですね。
(※「外部にサプライチェーンのネットワークを構築し、顧客の細かいニーズに対応できるように分業体制を整えたかった」ということです。そのような『課題』があったから、「専門特化された協力企業に依頼」という『取組』を行って、課題の解決を図ったということです。)


(第5段落)
A 社では、割り付けやデザインと紙やインク、印圧などの仕様を決定して、印刷、製本、加飾などの各工程において協力企業を手配して指示することが主な業務となっていった。当時、新しい技術に置き換わりつつあった事務用印刷などの事業を大幅に縮小し、多工程にわたり高品質、高精度な印刷を必要とする美術印刷の分野にのみ需要を絞ることで、高度で手間のかかる小ロットの印刷、出版における事業を幅広く展開できるようになった。その結果、イベントや展示に用いられる紙媒体の印刷物、見本や写真、図録、画集、アルバムなどの高精度な仕上がりが求められる分野において需要を獲得していった。

→これも「課題」に関する記述ですね。
(※高度で手間のかかる少ロットの印刷、出版における事業を幅広く展開するためには、「美術印刷の分野にのみ需要を絞る」必要があり(←課題)、だから、事務用印刷などの事業を大幅に縮小するという『取組』を行ったということです。)


これがふぞろい解答のこの太字部分です↓

理由は、技術革新により新規参入増加や低価格競争激化する中で、高精度な印刷を必要とする美術印刷分野に経営資源集中すると共に、顧客の細かいニーズに対応できるよう協力企業とのネットワーク構築し差別化を図る為。

ほらね?

与件文情報をふんだんに使用していることがわかりますよね?

解答材料の基本は与件文なんです!与件ファーストです!

でも、まだマーカーが出来ていない箇所がありますので、分析を継続してみましょう。


【分析】解答の中身(条件4)

再度、設問文を見てみましょう。

第1問
2代目経営者は、なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか、100字以内で延べよ。

ファブレス化を行うというのは企業にとっては大きな経営判断です。

よって、レイヤーは「戦略」レイヤーだと簡単に判断できますね。

そして、「戦略」レイヤーの基本は“戦いの省略”でしたね。

つまり、

限りある経営資源特定分野に集中し、その分野における「強み」を形成し、その強みを活かした事業展開差別化高付加価値化等を図る。

ということです。

「選択と集中」のイメージです。

この「普遍性」がふぞろい解答のこの太字部分です↓

理由は、技術革新により新規参入増加や低価格競争激化する中で、高精度な印刷を必要とする美術印刷分野に経営資源集中すると共に、顧客の細かいニーズに対応できるよう協力企業とのネットワーク構築し差別化を図る為。

ほらね?

いつの時代のどのような企業でも「差別化」したいですよね?

まさに「言わずもがな」のことですよね?

これらは与件文に記載されているわけではありませんが、当然のように使用してOKです。

だって、「言わずもがな」のことだから!

いかがでしょうか。

『解答の正体』「与件文情報」「解答の流れ」「普遍性」でできていることをご理解いただけましたでしょうか?

与件文とは関係の無い「知識」を頭の中から無理やり引っ張り出してきて、勝手に使っているわけではありませんよね?(条件1)


解答の正体(私がこの記事で最も言いたいこと)

課題解決フレームワークを使って解答の流れを考えて、与件文情報に基づいて解答を組み立て、最後のトッピング程度に普遍性を加味すれば、ふぞろい答案は“再現”できるのです!

● 解答は持って生まれた才能やセンスは不要!
● 感覚で書くものでもない!
● 解答の中身は「与件文情報」と少しの「普遍性」なんです!
● 「解答の流れ」は「課題解決フレームワーク」でイッパツ!

これが『解答の正体』だったのです!

決して「一部の限られた人だけしか書けないもの」ではないのです!

誰でも書けるのです!

※間違っても勝手に知識を持ち込んで書かないでください!知識が入り込む余地はゼロです!

「解答の正体」がわかれば、2次試験の本質を掴めた感じがしませんか?

正体がわかれば、モヤモヤした霧が晴れてスッキリしますよね!

急に合格への道が拓けたと思います!

それが私が体験した“開眼”です。


開眼後にやること

「開眼=合格」ではありません。

開眼は「解答の正体」が“わかる”状態に過ぎません。

いくら解答の作成方法がわかっても、80分という限られた時間内に書ききれないとアウトです。

つまり、試験当日までに「わかる」→「できる」状態にする必要があるということです。

「できる」状態にするためには、ひたすら「過去問演習」しかありません。

具体的には“本番を想定した「80分の時間制限を設けた過去問演習」”です!

これを繰り返して「読解力」「思考力」「記述力」“精度”“スピード感”を高めましょう!

何度も述べてきたとおり、2次試験の攻略法は暗記ではありません!

「鍛える」

です!

本番を想定した過去問演習を行えば、きっと、多くの「課題」が見つかると思います。

80分という時間の短さに衝撃を受けるかもしれません。

でも本番の試験が80分なので、遅かれ早かれ乗り越えなくてはいけない壁です。

「課題」が見つかるということは、「あるべき姿」をしっかりとイメージできている証拠でもあります!

(課題解決フレームワーク)※「課題」に焦点を当てている


開眼しないままではいつまでたっても本質を見抜けず、あるべき姿もイメージできなかったことでしょう。当然、何が課題かもわからない状態だったと思います。

「課題」が見つかることは大変良いことなのです!

確実に合格に近づいている証拠です!

80分の時間制限を設けた過去問演習はめちゃくちゃ脳が疲労しますが、頑張って「慣れ」ましょう!繰り返し過去問演習トレーニングを行うことで、身体が“順応”します!これこそが2次試験の攻略法です!


まとめ

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最後に、私が提唱する2次試験対策理論における本記事の位置付けを確認してみます。

こちらは、

  • 「過去問演習」により「能力」が鍛えられ、

  • 「良質な解答」が作成できるようになり、

  • それが「2次試験突破」につながる

ということを表現したものです。

このうち、本記事はこの『良質な解答』に主に焦点を当てています。

「解答の正体は何か?」という切り口で開眼について解説してきました。


また、『良質な解答』を含め、『過去問演習』と『能力強化』にも焦点を当てたものがコチラになります。

この記事には、

● 「覚える」という試験対策の認識を改めること
● 2次試験で問われている能力とその鍛え方
● 課題解決フレームワークの具体的な説明
● 事例毎の普遍性の詳細な解説

を事細かに記載しています。(開眼の4条件を全て網羅しています。)

私の集大成ともいえる代物です。想いが前面にですぎてしまい、少しボリューミーですがご了承ください。私のように大しくじりを経験しないためにも、是非ご検討ください。

以上です。

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