剣道は観て面白いスポーツなのか?

1953年から始まり、今年で67回を数える全日本剣道選手権の優勝者が先程決定しました。

福岡県の國友錬太朗さん(29歳五段)が優勝です。

今回のnoteでは決勝の内容や剣道が抱える問題について解説します。

決勝は、茨城県の松崎さん(20歳4段)が終始鋭い飛び込み面を仕掛け、國友さんが押されているという内容でした。

「これは松崎さんが勝つだろうな」と何となく感じていたのですが、最後の一本は松崎さんの手元が浮いたところを狙いすました小手。

過去に準優勝2回を経験する國友さんの執念ともいえる有効打突でした。

若い力と円熟した力がぶつかり合った今回の決勝中継はとても見応えがあり、剣道のすごさや楽しさを多くの人にアピールできたと思います。

ところで、皆さんは剣道についてどれくらい知っているでしょうか?

基本のルールを解説します。

剣道は有効打突「面」「小手」「胴」「突き」を決めたことを審判が判定することで勝敗を決めます。

審判3人のうち2人が有効打突だと判断すると「一本」となります。この「一本」を2回決めるか「一本」を決めて試合時間が終了すると勝利となります。

この「一本」は審判の裁量により大きく左右され、誤審が多く生まれます。これは剣道における問題の1つです。

今回の全日本選手権も「今の判定はなぜ?」という場面がいくつか見られました。勿論、審判の方を非難するわけではありません。単純に「どう判定すべきだろう?」という難しい場面があったということです。

サッカー・ラグビー・バスケでいうファールも審判の裁量による部分が多いですが、剣道の場合は審判の判定が勝敗に直結します。

審判の裁量は選手には分かり得ない領域です。審判の年齢、審判の剣道における実力、試合の雰囲気など判定を左右する要因は様々あります。

残念ながら剣道において誤審は日常です。

誤審に関連した話題としては国体における八百長問題があります。これについては先日「月曜から夜ふかし」でも指摘されました。

剣道に携わる1人として、簡単には口にできませんが、国体開催県が剣道で優勝するのは半ば「当たり前」であり、この問題は誰もが知っている事実です。

誤審や八百長はビデオ判定やポイント制の導入、審判養成学校の建設によりある程度減らせますが、剣道はいずれも導入していません。

剣道では各選手が似た格好をしているという点も誤審を誘発します。選手の識別は背中につけた紅白タスキ又は防具についた名前を見ることに限定されます。

剣道には所作や着装が整っていることも求められるので、だれもが似た格好になります。更に面を被るため誰が試合をしているのか、経験者でもよく分からないことが多くあります。

一方で柔道は対照的です。

柔道は国際大会では選手の胴着を色分けしたり、ポイント制・ビデオ判定の導入を進めました。そして競技の違いではありますが、面を被ることもないので、選手の識別は容易です。

剣道が国際的な人気を得られない点は以下の3つとなります。
1.ポイント制・ビデオ判定が導入されていない
2.「一本」が不明確
3.選手の識別が難しい

上記の問題から、未経験者にとっては「勝敗がよく分からない」「対戦する選手が同じ格好をしていてよく分からない」という不満が生じます。

以前テレビ局の方とお話しをした時は「剣道は試合中の表情を全然撮れないからテレビとしては面白くない」ということも聞きました。

私は剣道人の1人として、これらの問題解決に励みたいと考えています。

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