【メモ】"Cookie"ってなんの話?
最近、サイトを訪れるたびに「Cookieについて許可しますか?」とか、「より良いサイト運営のためにCookieについてご協力をお願いします!」みたいな通知が突然出てくる。
「あなたの行動記録取りますけど良いですか?」的なことなんだろうなぁとぼんやり思っていたけど、毎回よく知らないまま許可してドキドキするのもストレスになので、1回調べてみた。
※この記事は以下のサイトを参考にしました。
・概要
ざっくり、GAFAをはじめとしたインターネット上のプラットフォーマーのデータ活用と、個人のプライバシーの問題のせめぎあい。ニュースにもなっていたが欧州ではGDPR、米国ではCCPAといったプライバシーを制限する立場を支持する法規制も広まっている。つまり今後インターネットの世界がどのような形で個人に関わるデータを取り扱い発展していくのかという社会的な問題。
これに対し、世界で最も広く利用されているブラウザー「Chrome」では、サードパーティークッキーと呼ぶテキストファイルのサポートを2022年までに廃止すると発表していた。だが2021年6月になり、それを2023年中盤~終盤に延期した。
・Cookieとは
これまで「World Wide Web(WWW)において、誰にリクエストされても同じ内容をブラウザ上で表示する」という画一的だったネットの世界に対して、「ブラウザ側で情報を保存することにより、そのブラウザごとに応じた内容を表示する」という機能をもたらしたのがCookie。
これによりウェブサイトは「ログイン」という機能を手に入れた。「誰が見ても同じ、掲示板のようなウェブ」から「個々人の間だけの情報をやりとりできるウェブ」へと進歩し、現在のECサイトなど多くの商取引が可能になった。なのでインターネットにおいて「個人を特定するためのCookie」は必要不可欠と思われる。
インターネット上に保持される情報が匿名の趣味情報レベルだった20年前では、Cookieが個人を特定することは、「ちょっとした目印」程度の便利機能にしか捉えられなかったかもしれない。しかし銀行口座管理やECサイトでの購買、あらゆるサービスの申込、SNSでの友好関係のつながりなど、社会活動の多くがインターネット上で行われるようになった現在においては、「個人の特定」というCookieの本質が、これまで通りどんどん活用していこうと言うのは難しいだろうと。
「ブラウザ側で保存した情報」をどの範囲で使うのか、を意味するのが「ファーストパーティ」「サードパーティ」の区分である。ファーストパーティCookieは、そのドメインでしか使わないのに対し、問題となっているサードパーティCookieはドメインをまたいで、ブラウザ側に保存された情報を活用する。広告におけるコンバージョンの紐づけやターゲティング、ウェブ解析のトラッキングなどに多く用いられているもので、今まさに活用の範囲について議論されているもの。
・グーグルとアップルの対応の違い
アップルのSafariはITP(サードパーティCookieの用途を機械学習で推定し、機械的に除外する)という形で規制しようとしている。広告ベンダー側は広告効果が立証できないと困るので、なんとかTPをかいくぐる機能アップデートを実施し、Safari ITP側がさらにそれを除外する、といういたちごっこが起こっていたのがここ数年。しかしそもそも、インターネットが無料で誰でも活用できるのは、広告ビジネスが成り立っているためなので、目先の「プライバシー」という問題だけ注視して機械的に排除することが、根本解決にならないことは明らかそう。
一方、グーグルのPrivacy sandboxは、サードパーティCookieそれぞれに対してユーザーが用途を把握し、自らが望む範囲で情報をコントロールできるような仕様を模索している。
もちろん、広告トラッキングは一切拒否するユーザーも一定数いるだろうが、一方として、ユーザーとしても全く興味がない広告ばかり表示されるよりは、自身の興味関心にマッチした広告の方がよく、一定のターゲティングを許容するユーザーは多いのではないかと思われる。
法規制上Cookieでのターゲティングを本人の同意なしにするのが難しいと決まった以上、「すべてのサードパーティCookieが無効」となるのは最悪の着地点である。各個人が許容する範囲でのデータ活用、広告エコシステムはやはり必要であり、それを行うのがPrivacy Sandbox。
・デジタル広告業界とマーケティングの世界で起こること
現在、日本の内閣で話し合われている[デジタル市場競争会議]では、(1)公平性の確保、(2)透明性の確保、それにより(3)⼀般消費者を含めた各市場関係者の「選択の可能性」を確保することが、基本方針として挙げられており、欧州がGAFAのようなプラットフォーマーに対して求めるように、日本もそういった対応を求めることになる可能性があるだろうと。
今回の問題は、法規制への対応に「2年」という明確な期限があるので、各ベンダーや各企業側において、スピード感を持った代替施策への移行が求められるということ。
一番強く影響を受けるのは「メディア」と「広告主」の中間に位置し、自らは顧客データを持たない、アドテク業界だ。サードパーティCookieを用いた高精度ターゲティングの代名詞のCriteoは、サードパーティCookie排除発表の翌日に16%も株価を落とした。SafariのITP以降、サードパーティCookieに頼らずに広告の配信精度を高める手法を模索しているが明確な答えは出ていない。
Privacy Sandboxにより、新しいターゲティングの仕様は何らかの形で維持はされるだろうが、それがサードパーティベンダーが取り入れることができるものになる保証は、今のところない。
メディア側に対しても多少の影響を与えると思われるが、「メディアの広告モデル」はインターネットの生命線といえるため、この形態は維持されるだろう。だが、ターゲティングとトラッキングの精度が一定の割合で下がることを考えると、企業の広告投資に対して多少の影響は出るだろう。
GAFAといった圧倒的なファーストパーティデータを持つプラットフォーマーは、このままだと今後より力を持つこととなりそうだ。また逆説的に彼らにとっては、力を持ちすぎることで独占禁止法の指摘を受けることのないよう、競争市場の中の一企業の立ち位置とプラットフォーマーとしての公共性をどう維持していくのかが議論の的となりそうだ。
広告主側のマーケターにおいても、ターゲティング精度が低下し投資対効果が下がってしまうのは悩みの種だ。短期的には、自社メディア上の行動をベースにターゲティング精度を維持できるGoogleやFacebookへの投資割合がさらに高まることが予想される。
また、ここ数年プライベートDMPやCDPといった個人のデータを元にマーケティング投資を最適化する動きがあるが、これらもデータ活用の承認を取り、限られたデータの中でマーケティング設計をする必要があり、戦略の再設計が必要となるケースも多いとのこと。
短期的なCookieによる個人行動データの紐づけの範囲が狭まったことで、今後は「顧客の購買履歴(CRMやLTV)」などの顧客データ活用についても同意を得た上で「より骨太でより深い」マーケティング投資の最適化の比重が高まるケースも出てくる。
すべての個人データ活用に「顧客の同意」が必須となるということは、逆にこれまで「同意を得た上でデータ提供」される市場として発達してきたアンケート・モニタ型のサービス市場は今後より高まると考えられる。実際すでに、[Brave]のようなプライバシーを管理し、データ提供や広告に対して報酬を得る形のブラウザが誕生しており、この領域は今後活性化する可能性があるらしい。
と言うことらしい。スッキリした。
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