見出し画像

『メリケン』か『アメリカン』か

「『セーター』を『スウェラー』と表記すべきなのか…」と「『バケツ』か『バケット』か」いうお話をアップしました。

外国語を日本語に取り入れて外来語として扱うためには、日本人が発音できて理解できる必要があり、そのために、外国語の音のシステムをどのように日本語にフィットさせるか、ずっと試行錯誤が続いてきたわけです。

「バケツ」と「バケット」もそうですが、同じ英単語について2つの表記があって両方使われている例に「メリケン」と「アメリカン」があります。

言うまでもなく、元となった英語は"American"です。

発音記号で表すと /əmérɪk(ə)n/ となります。

カタカナで表記した場合の「メ」にアクセントがあり、冒頭の"A"は弱く発音されることが分かります。

このため、幕末〜明治期の日本人の耳には語頭の「ア」が聞き取りにくく、「メリケン」と聞こえたのでしょう。
「メリケン粉」「メリケンパーク」「メリケン波止場」など例はたくさんあります。

幕末を扱ったドラマ(時代劇)で、アメリカという国を「メリケン」と呼ぶのもおなじみですよね。

一方、現代では「アメリカン」が優勢。

「アメリカンコーヒー」や(固有名詞ですが)「アメリカン航空」などなど…。

これは耳で聞いた音声だけでなく、綴りも加味した表記だと思います。

「音声(重視)派」と「綴り(重視)派」は、外国語の受容において、必ず出てくる「二大派閥」ですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?