臨時休校の知らせ

関東地方に、台風が近づいている。
子どもたちの通う小学校も、明日は臨時休校になった。

学校関係の職場なので、保護者向けのメール連絡をスマホで見るよりも早く、休校の決定を仕事中に知った。
困る親御さんも多いとは思うが、無理に登校させて「今から一斉下校させるので、可能な限り迎えをお願いします」なんて急に言われるよりはマシだと考えるしか無い。

私はというと、その知らせを聞いた時、とても複雑な気持ちになった。
なぜなら明日は仕事の希望休みを取っていて、2ヶ月半ぶりに亮太(と彼女)と会う、約束の日だったから。

さすがに台風の荒天の中、臨時休校で自宅待機している子どもたちを家に置いて、止まるかもしれない電車に乗って、セックスしには出かけられない。

「ドタキャンするの、申し訳ないなぁ」

暗い気持ちで昼休みにスマホを開くと、亮太からラインが来ていた。
数日前から体調不良で、明日の約束を延期してもらえないだろうか、という内容だった。

これはもう、どうやっても明日は会えない。
だけど、がっかりしたのが半分で、ほっとしたのが半分。
亮太に会いに行くのを「めんどくさい」と思い始めている自分がいるからだった。

3Pでのセックスに飽きてきているのと。
カップル＋1だから、寂しい気持ちになるのが辛いのと。
鶯谷という集合場所が、やっぱり遠く感じるのと。

だけど一番は、亮太よりも、もっと会いたいと思う人が現れたからかもしれない。
一度会っただけだけど、いつか愛してしまうのかもしれない、と感じられる人だった。

でもこうして、そんな甘い未来を語りながらも、日曜日には亮太でもその人でもない初対面の男性と会ってセックスをする。
私の心は、もう治らないくらいに歪んで、壊れてしまっているのかもしれないな。