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CUBASEのこと

2021年1月、新年早々に「今年はクライアントワークはCubaseでやろう!」と突然思い立ち、あともう少しで半年が経とうとしています。DAWを切り替えつつ(今まで愛用のDAWも併用中)実際に現場に投入するというのは結構リスキーなことでもあり、また強い意志を持たなければすぐに「面倒臭い...」となってしまうもの。それでもそうさせてしまう魅力がCubaseにはありました。

以前も書きましたが私が最初に触ったDAWは今は亡きオプコード社のVision。もはや大昔のことですが個人的には今でも最高に打ち込みしやすいDAWの上位にいますが、残念ながらVisionは呆気なく買収され、あくる日Cubaseに乗り換えませんか?という葉書が届いたのを今でもよく覚えています。その時は妙な反骨精神が心に宿ったのか、もしくはVisionがある日突然Cubaseに飲み込まれた!という光景に思えてしまったのか、素直にCubaseには移行せず私はLogicへと切り替えました。その後2000年代初頭にCubase VSTを使っていた事もありましたが、どうもうまく馴染めず...。Pro ToolsやReason、Abletonに出会ってからはいつの間にか忘却の彼方。それが2019年にどうしてもCubaseのエクスプレッションマップを体感したくなり、約20年ぶりに購入に至ったのです。その機能を使ってみたいという欲求は実は結構大事な事で、それを入口に様々なアイディアや作品が生まれる可能性があります。自分の場合は年齢と共にしんどい事もあるんですが、まだそういう欲があるうちは極力我慢しないことにしています。今現在Cubaseのバージョンは11。私のMac環境では残念ながら安定せず、Win10環境のみで運用しています。今のところ大きなトラブルなくすでにいくつかのクライアントワークを完遂しています。

国内での高いシェア率を誇るCubase(Abletonも頑張って!)。流石ネットには実に多くの情報がありますので使い方などはそれらをご参考にして頂くとして、ここではこれまで使用してきて思った非常に個人的な所感を書いていきます。

・まだ馴染めていない点

最近慣れてはきましたがプロジェクトデータの階層にまだ馴染めないです。これは大前提として馴染めていない自分がまず悪いんですが「Cubaseって何か保存の手間数多くない?」といつも思ってしまいます。新規プロジェクトを始めるにあたりまず作業するフォルダを作り、さらにその中に名前をつけてプロジェクトフォルダを作ると晴れて新規プロジェクトが立ち上がるんですが、何気にその時点ではプロジェクトはまだ名称未設定でして、そこからさらに名前をつけて保存をしないといけないんですね。自分の中では名前をつけてプロジェクトフォルダを作った時点で作業前の新規の保存は終わっていると思い込んでいて、どうもこのひと手間が個人的にはまだ馴染めていない点です(画像参照)。

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すみません分かりにくいですよね。もう少し寄ります。

スクリーンショット (6)

使い始めの頃は緊急案件などでそのことを忘れ途中まで作業して「あ、そういや一旦ここで保存しなきゃ」となった時に新規保存の画面となり「これ、もしもPC落ちてたらデータ全部吹っ飛ぶじゃん。。。」とゾッとした事が何回かありました。それ以来作業の始めにしっかり確認するようにしています。とはいえこれもお作法としてしっかり身につけてしまえば特に問題ない事です。最近はCubaseで作業する場合においては曲を更新する度にフォルダを作る行為はやめて、一切合切をひとつのプロジェクトフォルダにまとめることにしています。結果その方がオーディオデータがどこかのフォルダに置き去りになった!みたいな事態もないですし。ちなみに曲の内容が確定もしくは納品した時点で新しいフォルダを作成した上で「プロジェクトのバックアップ」をしています。そして他のDAWを使う時と同様に、各トラックをバラでWAV書き出ししてテンポや拍子などのメモと共にクラウドと物理ハードディスクにバックアップして万が一に備えます。それでもCubaseにもAbletonのように「全てを集めて保存」という機能があったらもっと快適なのになぁ...と時々思ったり。

・やはり便利だなと思う点

iPadと組み合わせたショートカットが快適すぎる、自分の場合はこれに尽きます。業務用途としては重要な要素です。今現在は使い古しのiPad miniと予備として現役のiPadにショートカットを割り当てています。本当によく使うものだけを厳選していますが、動画読み込みやMIDIからオーディオへのレンダリング、MIDIデータのオーバーラップ解消のショートカットなど1クリックで出来ますから、ちょっとやめられないです。

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先述したエクスプレッションマップも使っています。基本的には現状ではオーケストラ系音源のみに使うという状況ですので頻繁に使うものではないですが、一度設定してしまえばそのキースイッチに何の奏法が入っていたか覚える必要がないのは快適です。最近はLogicやStudioOneにも同じような機能が実装されているので時間が空いた時にコツコツと設定しておくと後々楽になると思います。

スクリーンショット (11)

そして非録音時のMIDIデータ記録もCubaseには実装されています。これも慌ただしく作らなくてはいけない時にも、作曲を意識していないまったりとした時にも本当に便利な機能です。たしかこの機能はAbletonが先頭を走っていたと記憶していますが、他のDAWにも実装されてきたのは嬉しい事です。

そしてタイムワープの快適さは自分の場合クライアントワークで発揮されます。映像に音楽をつける場合、例えばキューポイントが半拍前や後ろにずれてしまう事はよくあります。半拍ならまだしも、どうしても音楽的に割り切れないポイントにずれ込んでしまうことも時にはあります。そうした時に自分の場合はテンポや拍子の変更で何とか乗り切るか、苦肉の策としてオーディオ化してしまってグリッドを無視した位置調整を行う必要がありました。Cubaseの場合はタイプワープでグリッドに囚われる事なく調整する事が出来てしまうので、キュー位置の変更に対する不安がほとんどなくなりました(とはいえそのような事態が頻繫するわけではないですが)。

そしてUI全体の視認性に関しては自分の場合結構時間がかかり目が慣れるまで1年ほどかかってしまいました...。独特のカラーリングにも慣れて今現在は非常に快適です。特に画面右側に位置する大きなレベルメーターは見やすい事この上ない。

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不思議なことなんですが、Cubaseで作業していると極力最後の最後までMIDIで作業したいと思える自分がいる事に気が付きます。何故なんでしょう。それとは対照的にAbletonだとさっさとオーディオ化してそれを加工したい!みたいな衝動に駆られます。不思議です。自分の作品の時はむしろそれでいいのですが、クライアントワークの時にそれをやってはよく失敗していました笑。結局クライアントワークは尺の変更が肝で日常茶飯事ですから極力最終仕上げまではMIDIで作業するに越したことはありません。そういう意味では今現在の自分の業務用途に最適なDAWに出会ったという印象です。もちろんLogicやStudioOne、そしてAbletonも使いますけどね。

ということでCubase。知らないうちに実に様々な進化を遂げてさらに素晴らしいDAWになっていました。買ってよかったです。


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