【ショートショート】ホテル屋サカキの命令違反「熱気球マフィア」
「とびきりのケバブを食わせてやる」
セールスマネージャーの誘いはいつも強引だった。素直に従う義理はないのだが、断ると面倒だということを知っているため、坂木道夫が首を横に振ることはない。
「明朝六時。第三ターミナル南」
行きつけの店にでも連れていかれるのかと思いきや、蓋を開けてみれば、それは海外出張だった。
寝不足による負債を仮眠でちまちまと返済しながら、機内で13時間を過ごす。
そして、いざ現地に着いてみると、ホテルの部屋は坂木の分しか予約されていなかった。
「おまえ