見出し画像

ショッピングセンターは変わる?

こんにちは、コーイチです。                       ここ数年、変わったショッピングセンターが出てきたように思います。   ただ、大半の施設のベース部分はあまり変わっていない印象を受けます。

日本ショッピングセンター協会によると2020年の全国のSC総数が、閉鎖数(42)が開業数(40)を上回り3207(速報値)になったと発表がありました。 2年連続の減少となります。
新型コロナの感染が収束しない中、これまで消費の中心だったショッピングモールは転換期を迎えていると言われています。
今回は、SC(ショッピングセンター)業界の状況とこれからのSCについて考えていきたいと思います。                                            
よろしければ最後までご覧ください。

コロナ禍の影響

外出自粛が呼びかけられる中、特に都心部のSCが大きな影響を受けました。
スーパーなどの生活必需品を核としたモールが比較的堅調だったのに比べ、大都市のターミナルに位置する大型ショッピングビルなどは概ね苦戦したようです。
コロナ前に開業した40SC(ショッピングセンター)に関して衣料品比率などの物販比率が減少する一方、飲食比率が上昇する、というこの数年のトレンドが続いているものの、SC協会によると「飲食はコロナの影響を物販以上に強く受けている。物販が2〜3割減だとしたら、飲食は4〜6割減。大変厳しい状況が続いている」と指摘しています。
2020年の既存SC売上高(総合)は前年比▲22.3%と大幅に前年を下回り、テナント(前年比▲24.8%)、キーテナント(同▲12.1%)ともに大幅な落ち込みとなりました。

画像1

                                            (日本ショッピングセンター協会統計などより)

SC業界の業界規模

ショッピングセンター業界の過去の業界規模推移を見ると、2017年に減少を記録し、2018年から2019年は横ばいに推移しています。
国内のショッピングセンターは、「丸井」や「ルミネ」や「アトレ」といった都市型SCの開発から始まり、売上も好調に伸びていきました。
2010~2020年にかけてイオンや三井不動産や三菱地所などが、郊外に数万㎡、200~400店舗という規模の大型ショッピングセンターやアウトレットを次々と開発し、車を持っているファミリー層や20~30代のミレニアム層を取り込むことができました。
このように都市、郊外ともに拡大を続けてきたSC業界ですが、近年は新規出店の余地が限られており、業績は頭打ちとなっています。

FireShot Capture 107 - ショッピングセンター業界の動向や現状、ランキングを研究-業界動向サーチ - gyokai-search.com

                               (出典:業界動向SEARCH.comより)

海外市場に軸足をシフト

こうした国内の動向を受け、SC大手は海外へと軸足をシフトしています。
下の表は2020年以降に新規開業する主なショッピングセンターの一覧です(青色は海外)。業界最大手のイオンモールは成長戦略として今後、中国やベトナム、ミャンマーに注力しています。2025年までに海外70モール体制を目指しています(2021年現在、35店舗)。

三井不動産も2021年から2025年にかけて、2021年4月に上海に開業した「ららぽーと上海金橋」をはじめ、マレーシアや台湾に『ららぽーと』や『三井アウトレットパーク』を展開予定です。

ショッピングセンター業界の動向や現状 - 2

                 (出典:業界動向SEARCH.comより)                 *新たに、ベトナム:イオンモール ホアンマイ、ミャンマー:イオンモール ダゴンセイカンも出店予定となっています。

各社の出店状況を見ると、2020年ごろから軸足を海外へとシフトし、とくに成長著しいアジアへの出店が目立ちます。国内は増床やリニューアルで安定的に収益を確保しつつ、海外へ成長をめざしているのが読み取れます。

これからのショッピングセンター

西山貴仁氏(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)によると
これからのSCは、単にテナントを見つけて誘致することではなく、良い商品やサービスを見抜き、企業を資金面からも支援し、その成長からリターンを得るビジネスに変えないとこの先、テナントリーシングは先細りになることを指摘されています。
SCビジネスが「不動産価値×テナント売上高」で成り立つ限り、この2つのパラメーターを上げるしかないが、人口減少下にあって、掛ける時間とコストを考えるとどれだけ奏功するのか疑問を呈し、SC事業を行う際、発生する事象をどうやってマネタイズするか、そこに着目するしかないのだ。と言われています。

これからのSCは、場所(区画)だけ貸すのではなく、開発者として、施設全体を潤すイベントやSCオリジナル商品の展開、施設のDX化を行い、各種データの取得、販売を行うなど新たな収益化を考える必要があるかと思います。

SCブランドのオンライン注文システムを持つプラットフォームになることを目指し、地域のEコマースの物流拠点になることや、新しいブランドへの投資なども行うことも収益化につながることかと思います。

テナント(ブランド)を育てるとともに、従来とは違う店舗構成や短期間での入れ替えによる活性化、販売以外のスペースの確保(体験できる場所)、無料で気軽に使えるサービスやスペースなどの提供などなど。。

建物本体はサスティナビリティを意識し、100%再生可能エネルギー電力供給なども考慮し、従来施設以外に劇場、ホテル、ギャラリー、水族館、コワークオフィス、公園などのショッピングとは違う要素を複合した施設とすることで、持続可能でより生活に密着した施設づくりになるかと思います。
最も大切なのは、特別な場所でなく、特に用がなくても居心地のよい場所をつくることが大切なのではないかと思います。

SCのDX導入事例(参考)

画像4

中国最大規模の新たなショッピングモール「Nanxiang Incity MEGA(南翔印象城 MEGA)」が2020年8月25日、上海市にオープンしました。
同モールには、深圳発のAI企業 Intellifusion (雲点励飛)が開発に着手した「AI Business Brain(智慧的商業大腦)」による顧客のデジタル化に対応しており、注目を集めています。
AI Business Brain は、スマートターミナル、データセンター、ビジネスツールの3層アーキテクチャーで構成され、スマートターミナルで多次元データを収集し、データセンターでデータ処理を行いながら、ショッピングセンターの店員はビジネスツールを用いています。またこの技術を用いることで、顧客の好みを正確に把握でき、パーソナライズされた情報を与えるようにできるようになるとのことです。
 ショッピングモールへの入店、買い物、退店に至るまで顧客の全ての行動をデジタル化して顧客へのサービスを充実させています。

<具体例>                             駐車場に入った際に顧客の顔データを認識し、自動的に車両番号を登録。VIP であれば時間内に対応するサービスや割引を適用したりするそうです。
店舗に入ると、顧客の過去の消費に基づき、パーソナライズされた割引等が提供され、支払い時も顔認証で完了するだけでなく、ポイントを自動的に貯め、ポイント情報を同期させることもできるとのこと。
退店時も顧客はスマートフォンで車の位置を見つけ、素早く駐車代を支払いできるので駐車場の混雑も大幅に緩和されるということです。
(出典:BRIDGE/消費体験を全デジタル化、上海最大ショッピングモール「南翔印象城MEGA」誕生より)

最後に

アメリカに現在約1,100あるショッピングモールのうち、20~25%が2022年までに閉鎖されるであろうという調査結果が、スイスに拠点を持つ世界有数の金融機関であるCredit Suisse社から発表されています。
① ここ数年急速に伸びているオンライン・ショッピングへのシフト
② オフプライス店舗の躍進によるモール離れ
③ アンカーテナント(核テナント)の業績不振
が主な原因ということです。
 日本はアメリカよりSC数も少なく、人口密度なども違うので全く同じようになるとは思いませんが、上記の原因は日本でも考えられることが出来るため、これからのSCは大きく様変わりしていく必要があると思います。 

 今後どんな施設が出来ていくのか、これからのSCの変化を引き続きチェックしていきたいと思います。
出来れば、私もその未来の施設立ち上げには関わりたいものです。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。          
よろしければフォロー、サポートのほどよろしくお願いいたします。

よろしければ、サポートお願いします。サポートされたものは、今後の活動費として活用させていただきます。