私は、三人兄弟の末っ子です。
上二人とは異母兄弟。

先日、その一番上の兄が亡くなりました。
12歳も歳の離れた兄でした。

私が小さな頃から、彼は心の病いを患い、ほとんど家で過ごす日々でした。

そんな兄の介護に母は心を痛め、苦しい日々を過ごした時期もありました。
大好きだった母を苦しめる存在。私の思いは複雑でもありました。

やがて私は、就職、結婚、移住と家から離れ、日常生活を過ごす分には、全く関わりがなくなってしまいました。

3年前に母を、2年前に父を亡くし、その後は、上二人の兄弟で気ままに暮らしていたようです。
一つ上の兄も仕事を早期退職していたので、毎日、のんびり暮らしており、今回の長兄の突然の死は、そんな穏やかな二人の日に終わりを告げたのでした。

てんかんをもっていた長兄は、風呂の最中に発作を起こし、気を失っているうちに湯船で溺れてしまったそうです。
検死を担当された医師からは、苦しまずには天国に行けたのだろうと言われ、確かに本当に穏やかな顔で亡くなっていたと言います。

特に交流のなかった長兄ですから、兄、私、叔父、叔母、いとこたちと少人数でお別れの会をして、静かに送ってあげることができました。
棺の中を花で埋め尽くし、大好きだったかっぱえびせんと、一つ上の兄の作る天津飯が好きだったそうで、棺の中に、昨日家で作ってきたという天津飯が添えられていました。

享年62歳。平均寿命から比べると本当に短い人生でしたが、彼の人生は病気との戦いの辛いものであり、短い人生の中で精一杯生きていたのだろうと思います。

久しぶりに見た兄は、とても穏やかな顔をしていました。

きっと天国で、大好きだった父や母、そして産みの母に会えていることでしょう。
安らかに眠ってください。


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