【読書感想文】重力ピエロ
新潮文庫より、伊坂幸太郎氏の「重力ピエロ」の読書感想文です。
前回の「死神の精度」に引き続き友人に勧められて読みました。
伊坂幸太郎氏の作品の中でもかなり有名なこちら。
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。
本を読む人からしたら当たり前のことなのですが、小説には、大きいものから小さいものまで伏線が散りばめられています。
読み進めるにつれ、少しずつ真実が明らかになっていくパターンと、最期の最後に全てが繋がるパターンと様々ですが、「あれが伏線になっていたのか!」と分かると面白いです。
普段は積読を消化するため一度読んだ本は本棚に並べて、積読がなくなった時にお気に入りの作品を読み返したりするのですが、この作品はそのまま二周目を読んでしまいました。
登場人物たちのテンポの良い掛け合いの中で何気なく出てきたセリフや、話の間の描写にリアリティを持たせるためのような細かい仕草、主人公:泉水が読者を置いてけぼりにして急にとる行動の意味。
物語を読み終えて、全てが分かってから読み返すとそういった細かい小さい伏線がいくつも存在していたことに気づかされます。
内容は、レイプや放火などドキリとするワードがぽんぽん出てくるし、決してハッピーエンドではない重たい話ではあるのですが、非情に良い読後感に浸れました。
一番最後の一文がめちゃくちゃかっこいいから、というのも大きな理由だと思います。
すごい当たり前のことを言いますが、有名な著者の作品って面白いですね。
以前別の作家さんで、メディアミックスもされてすごい話題になった作品をワクワクしながら読んだら全然刺さらなかった思い出があり、人気なんてあてにならないのかも…とちょっとマイナスなイメージを抱いてしまっていたのですが、こういうパターンもあるんですね。
好みは人それぞれです。
どれだけ悪い口コミがついても私は面白いけどなあと思うことがあれば、多くの人が絶賛する作品を見ても私には面白さが分からんと思うこともあります。
今年は、趣味は読書です!と胸を張って言えるくらい読みたいなあ。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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