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おもらし とは

用語について確認しましょう。起きている間、下着や衣服が濡れていることを「昼間尿失禁」と医学的に定義します。私の本では、これを「おもらし」としました。

夜、寝ている間におもらしが起こることは「夜尿」といいます。これが、5歳以上になっても続くと病気の範疇にはいるため、「夜尿症」と呼ばれています。

おねしょが病気だなんて、屈辱ですよね。

いつか治るとばかり思っていたのに、5歳を過ぎると病気だったなんて。

私は、病気でないと思っていましたので、自分の外来は「夜尿症外来」でなく「夜尿外来」で通してきました。
正しかったと思います。
なぜなら、濡れない状態で日々を過ごせるようになることは、畜尿・排尿の能力が開発されたということです。
できる人からみたら、当たり前のように思うかもしれません。

実はすごく難しいことをこなして初めて出来るようになるのです。

6歳で初めて受診した男の子が、9歳を迎えたばかりの外来で、、

母 「なぜか濡れなくなってきたんです。実感としてよくなったなと思います。」
本人「もう、もらさない男だ!自分で自分のからだをコントロールするの、むずかしかったけど、まあまあできるようになった。」
母「いつもなら、漏らしちゃってたのになと思っても濡れてない。公園で遊んだ後も濡れていたんですが、いまはドライなんです。」
本人「わかってきたような気がする。だいたいできた感じかな。」

良くなった理由がわからないというお母さんの問いかけに、

「どのくらいまでは余裕で漏らさずにすんで、どこがギリギリ漏らしそうか、どの程度のタイミングにおしっこしたらいいか、判断できるようになったからですよ。」

と答えると、本人は「うん、そうそう」と納得の様子でした。

そして、3年前はお母さんべったりで不安そうに座っていた子が、すっかり思春期の準備ができた少年になり変わっていました。

あせらない、怒らない

おもらしはこんな風にいつか治っていくのです。




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