森保ジャパンの試合を見ていて思ったこと

親善試合コロンビア戦を見ていて1つ思ったことがある。

ハリルホジッチも森保一もそうだが、対戦相手のスカウティングに力を入れるタイプの監督は、本気で対策するものではない(そもそも相手も色々試行錯誤してくる)親善試合が苦手なのではというものだ。

詳しく書く前に、昔懐かしい話へ飛ぶ。

かつて親善試合で圧倒的な輝きを放ち、大一番で苦しんだザックジャパンを思い出してほしい。あのチームは、自分たちの戦い方を構築することに力を入れていた。監督のザッケローニがそのつもりだったのかはさておき、「対戦相手の研究」よりも、「自分たちがどんなサッカーをするか」ばかり見ていたように思える。

先週、同じようなことを岩政大樹氏が記事にしている。https://www.footballchannel.jp/2019/03/18/post313483/
暗にザックジャパンを批判しているように思えたのは僕だけだろうか。

何はともあれ、ザッケローニのような監督は、親善試合でこそ輝ける。なぜなら全ての試合は「自分たちのサッカーを披露する場」であり、相手が本気で対策してこない親善試合は都合が良いからだ。

さて、ではなぜ、ハリルホジッチや森保一のようなタイプは親善試合で苦しむのか。

1、彼らが「対戦相手の研究を第一に考えるタイプ」だから。親善試合では、対戦相手がどのようなサッカーをしてくるか、全くわからない。コロンビアのように監督が代わったばかりだったり、新しい戦術を試してきたりする。聞いたこともない謎選手を投入してくることも多い。それが親善試合の目的なのだから仕方ない。
このような試合で、「対戦相手のスカウティング」も何もない。森保一はいわば「コールセンターに配属されたエンジニア」みたいなものだ。自分の持ち味を発揮しようがない。

2.選手を何人も試さなければならないから。
ハリルも森保も、将来代表の主力になりそうな選手を少しずつ馴染ませるために、若手を何人も呼んでいる。これは、「自分たちのサッカー」時代にはあまり見られなかったことだ。自分たちのサッカーが第一にあると、それを構成する選手を変えづらくなる。コロコロ変えると自分たちのサッカーを出来なくなってしまうからだ。(ちなみにカタール代表がやってるのはこれ)
一方でハリルホジッチや森保一の採用しているリアクションサッカーでは、対戦相手に合わせてスタメンを変える。対戦相手を最も苦しめる人選をするのだ。それ故に、メンバーを色々試しておく必要がある。選手の特徴を掴んでおかなければ、対戦相手を苦しめる人選など出来ないからだ。
なので、親善試合では、初めて会ったようなメンバーで即席チームを組み、スタメン出場させることも多い。2017年のE-1杯はまさにそうだった。勝つことなど目的ではない。日本国内にどんな選手が眠っているか、彼らが外国相手にどのやうなプレーをするのかを見ることが目的だったのだ。(なのにあの大会の出来でギャーギャー騒いでいる人がいたのは悪夢だった。日本は3軍、韓国は1.5軍で戦った日韓戦でぼろ負けした時なんか酷かったもんな。笑ったよ。二度とサッカー日本代表の試合を観ないでほしい。まあどうせ日韓戦とW杯しか見ないんだろうけど笑)
鬱積が長くなった。失礼。ところで、2014年W杯でそれをやってのけたハリルはヤバイとして、森保一も親善試合ではそれくらいよくやる。親善試合に全てベストメンバーで臨んだりしない。ベストメンバーで臨んでも途中でコロコロ変えるのは、コロンビア戦を見ればわかるはずだ。あれが正しい親善試合の利用法である。

3、そもそも親善試合で対戦相手の研究をガチで行う国など無いから。
これは気持ちの問題でもある。流石に親善試合の対戦相手をじっくりチェックする事はないだろう。面倒くさいし、時間と労力の無駄。もっと大事な、対戦相手を研究しなければならない大会はこれからいくらでもある。(コパアメリカやW杯予選)
それに、前述したようにじっくりチェックしてもあまり意味がない。相手も色々試してくるんだから。聞いたこともない選手なんて、どうやって研究するんだよ。

さて、僕が「対戦相手の研究・対策を得意とする監督は、親善試合で持ち味を発揮できないのではないか」と思うのは、こんなわけだ。

別にハリルホジッチや森保一を擁護しているわけではない。ザックジャパンの自分たちのサッカーは嫌いだが、だからといって真反対を行くようなやり方もどうかとは思う。特にこれから日本代表にはボールを保持できるクオリティを持った選手がバンバン入ってくる。東京世代もその下も、かつてないほどハイレベルだ。このメンバーが近いうち台頭してくるのだから、もう少しザック寄りでも良いのでは?と思う。せっかく東京五輪監督と兼任しているのだし。

ただハッキリと言えるのは、ハリルのようなタイプ(言い換えれば、"親善試合=選手の選考の場であって、本気を出す必要などない"と考えるタイプ)が、本当に真剣勝負で強いのかどうか、見たかったということ。
「それじゃW杯で惨敗していた!」というのは浅い感情論に過ぎない。根拠に欠けるし、どちらかといえば間違っているとさえ言えるだろう。なぜならハリルホジッチはアジア最終予選で(リオ世代の突き上げが浅野と久保くらいしか無く、主力は衰えが顕著な中で)結果を残したし、何よりアルジェリア代表時代には真剣勝負での大化けを成功させている監督だ。ハリルのまま挑むべきだったと思う。

とまあ色々書いてきたが、結局僕が何が言いたいかというと、ロシアW杯直前にハリルを切ったのは最悪だったということだ。

2014年W杯で失敗した日本代表のスタイルを維持するべきなのか変えるべきなのかを考える上で格好の判断材料だったし、判断できれば今後の日本サッカーの方向性も決められた。

あのタイミングでハリルを切ったせいで、方向性が定まらず、結果「日本人らしさ」「ジャパンウェイ」「オールジャパン」と言った時代遅れな感情論に収まったというわけだ。

いくら現場が頑張っても、上が無能じゃどうしようもない。上の無能をカバーするのはいつも現場だ。まさに日本企業って感じ。

お金に余裕のある方はもし良かったら。本の購入に充てます。