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ケンブリッジ大学 学寮選び

ケンブリッジだけではなく、オックスフォードにも多く当てはまるかもしれない。サムネイルはStuart Dunkelの"Mouse Lifting a Raspberry"。

注記:この記事は実際に英国に渡る前に調べて書いたものである。渡英以降印象が変わったところや、間違いが判明した点については随時わかるように示して加筆することとする。

こちらの学寮選びの記事も参照。https://note.com/hasumitohko/n/naa0690fd41f3#7fcc5d02-e01d-4af2-bb0b-72f5fb33e232

ケンブリッジ大学は学寮制をとっている大学である。学生は公立の組織である大学に所属すると同時に、私立で独自で予算を取っている学寮にも合わせて所属する。専門分野の授業は学部"Department"で受け、少人数体制での個別指導は学寮"College"の"Supervision"を受けることで理解を補う。また、学寮はその訳語の通り、もともとは学生と教員が寄宿する場所でもあり、現在においても多くの学生と独身の教員は所属する学寮の提供する住居で共同生活を行う(なお、バストイレは共有のことはあってもほぼ確実に一人一室である)。学寮内に食堂や正装をして参加する晩餐会の会場、さらには寮によってはスポーツジムや趣味の同好会もあり、生活や友人作りの基盤ともなるのである。ハリーポッターシリーズの愛読者は、早い話が4の学寮がさらに独自予算と独自の城を持ったものと思えば良い。

ケンブリッジの場合、学寮は31あって、学部生はその中から一つ選んで面接試験を受ける。大学院生は面接まで学部が担当するが、出願の際に希望学寮を上位2位まで選んで書くことができる。


学寮選びは重要ではないけれど人生を左右する

大前提として、学寮選びはさほど重要ではない。どこもケンブリッジの学寮であり、予算体制や伝統によって確立された優位性、スケールメリットに「多少の」差こそあれ、いずれ外から見ればケンブリッジ大学なのは同じだし、また相互の差異よりも互いの共通点のほうが遥かに多いのである。どこの学寮だったから後悔した、という話は私は一切聞いたことがない。皆、志望学寮から選ばれず別の学寮に"pool"されようが、なんだろうが、長く学寮にいるほどに学寮愛が深まってradical学寮patriotと化すのである。入ってしまえばどこも最高の学寮なのである。

しかして、学寮選びの重要性は、日本の大学で言う研究室選びの30%程度には人生を左右すると思ってよい。これ次第で、研究補助資金の潤沢さ、奨学金の幅、および日ごろ一番接する面子や親しく話すことができる他分野・近接分野の研究者の顔ぶれがその程度決してしまうのである。入ってみればどこもいい寮だからと言って、志望学寮を白紙で出すのはもったいない。せっかくだから、自分が重視するポイントに絞っても優位性がある学寮を目指すべきだろう。31もあってよくわからない?それはそう。これはそう言った向きのための調べる援けとして書いている。情報は2024年現在である。

大まかな分類を知り、イメージを持つ

古い学寮と新しい学寮

31の学寮はまとめてできたのではなく、時代に応じて増えたり減ったり習合されたりして今に至っている。このなかで、200年ほどの期間あらたな学寮ができない断絶した期間があることから、その前後で"古い"学寮と、"新しい"学寮を分けることが行われている。といっても1800年以降は全部新しい学寮であるので、ここで言う「新しい」は京都人の感覚とほぼ同等である。

傾向としては、古い学寮は確立されたブランドや資産を持っていることから裕福であったり、学生から人気がある傾向が高い。また、設立時代に応じた建築様式の古めかしい石造りの建物が残っている学寮が多数である。
新しい学寮ほど特色や売りを持っていたり、また伝統(晩餐会での正装や着席区域の指定等)を廃している傾向が強い。これは、多くの新しい学寮が当初は女子学生のような、大学内でのプレセンスが低い学生を大学に受け入れるために生まれた歴史のためである。建築物は、「古い」学寮と比較すると赤レンガやコンクリートとガラスが目立つ傾向にある。これ以降の区分方法"Mature" "Women only" "Postgrad only"に分類される学寮はいずれも"新しい"学寮に該当する。

Wikipediaの学寮創立時系列

”Mature”21歳以上しか受け入れない学寮

Wolfson, St. Edumand's, Hugh's Hallがこれに該当する。一度社会人を経て大学に入り直した学生や、MBAの学生が多い。また、High tableという晩餐会で教員のみが座る席を廃する、誰でも芝生を歩いていいなど、伝統よりも自由と平等を重んじる傾向が強い。家族用宿舎もChurcileと並んで多いようだ。これらはいずれも新しい学寮に当たる。いずれもケンブリッジの古い学寮が居並ぶ中心地から少し外れた立地であり、観光客がうろうろしていないという利点がある。
https://www.undergraduate.study.cam.ac.uk/mature-colleges

大学院生以上しか受け入れない学寮

Clare HallおよびDarwinがこれに該当する。いずれもケンブリッジの中心地にある規模の小さい学寮である。その大きさから、学生同士の顔見知りを作りやすく、馴染みやすいという特色がある。当然ながら、高校でたての18歳の学生というのはいないため、落ち着いた雰囲気である。

女性のみの学寮

Murray Edwards, Newnhamがこれに該当する。これらの学寮を志望して入るのはヒジャブを付けているような信仰を厳しく守るムスリムや、極端な男性嫌いの学生が多いという噂がある。とはいえ、結局学寮の外でもけっこう友達ができるので、学寮に引きこもっていない限りはあまり差異がないとのこと。なお、近年までMatureかつWoman onlyであったLucy Cavendishは、2021年以降は年齢かつ性別による選別を行っていない。この学寮はCoat of Armsがダークファンタジー風味でなかなかかっこいい。

Lucy Cavendishの紋章。どう見ても海と森の鹿神が出てくるダークファンタジー世界である。

分野の偏り

多くの学寮は重点分野を持っている。Churcillは特にSTEM教科に強いし、Dawningはlaw collegeとして、Pembrokeはarchitecture collegeとして認知されている。Trinityと言えば数学だし、Mature collegeといえばMBAである。たいていの分野では、"best Cambridge college for XX"で検索すると、○○学寮が一番強い、という情報が得られる。とはいえ、どこの学寮もこの分野しかとらないということはほぼないし、学部生がsupervisionを他の学寮で受けるのも普通なので、学寮内の交流でどのくらい分野の研究者と知り合えるか、くらいしか差異はない。
注意が必要なのは、特定分野を全くとらない学寮が存在し、その学寮にも普通に出願フォームは提出できてしまうことである。
ある程度学寮を絞りこんだら、分野別の選考統計を見て、自分の分野でのオファーが多いか少ないか(または全くないか)くらいは見てもいいだろう。

おまけの神学

ケンブリッジの31の構成学寮に数えられていないが、ケンブリッジにある学寮が8つある。これらはいずれもCambridge Theological Federationに所属する神学寮である。これらはFederation全体としてCambridgeにaffiliateされているので、一般の学寮ほどではないにせよ大学とも連携しており、交流もある様子である。まあだいたいAnglia Ruskin大学(同じくケンブリッジにある)と同じ扱いであろう。

人気と不人気

これだけ多様なので、より学生から人気がある学寮、そうではない学寮が存在する。Freedom of informationの制度を使って修士課程について、第一志望、第二志望およびそれ以外で入った人の割合を開示請求した記録が公開されていたのでながめてみよう。なお、ここで言うそれ以外はpoolか白紙、または身体障害対応施設の有無やその寮の奨学金の受賞などの格別の理由であろう。

2022/2023のデータをああやってこうやってWikipediaの2019年の学生一人頭の資産と何とかすると…。まあわかりやすい。この図で上にあるほど人気である。右ほど予算が潤沢と思っていい。一人当たり資産がTrinityに次いで多いPeterhouseはデータの欠落のため書けないが、おそらくSt. Johnあたりであろう。

全体像。


左下を拡大。

傾向としては、

  • 生徒一人頭の資産が多いほど人気

  • 古い寮のほうが人気。古い寮の中では、Trinity, King's, St John'sが人気で、新しい寮でもChurchillは大人気(創設時からSTEMに力を入れており、ノーベル賞受賞者も多数、かつWest Siteに近いしね)。

  • St John's, Trinity Hall, Newnhamのような予算の潤沢さの割には競争率が低い学寮はねらい目かも。

  • 新しい寮はどれもドングリの背比べ。

ということが分かる。

日本人学生の多寡

なお、私の知り合いの日本人学生は、PostgradかMature学寮でなければ、HommertonかGirton、Lucy Cavendishにいる方が9割を占める。これらはぶっちゃけ現地学生からは人気がない学寮なので、志望の際に白紙で出したか、戦略的に選ばなかったということであろう。なお、皆自分の学寮こそ最高の学寮だと思って会うたびに主張してくるので、何らデメリットはない模様である。

以下は学部生姉妹(Queens'姉とHommerton妹)による独断と偏見に満ちた学寮ランク付けリストだが、ひたすら自分の所属学寮を褒めてて客観性に乏しく、ほほえましい。


優先順位を決める

学寮が31あると、考慮するべき要素も無限にあって、いくら調べても調べきれない。まとまった情報も非常に限られている。なので自分である程度優先順位を決めてから、これはという学寮に絞って調べて、その中から選ぶのが関の山だろう。ここでは、選ぶ際に気にすべき項目についてざっくり浚う。
なお、MBA生向けには学寮の寮の数や図書館の数、晩餐会の価格など、実際的な情報をまとめたCheat sheetが公に出回っている模様。伝手があればそれを頼って最新版を手に入れよう。htに聞いたら2024年版が手に入るかもよ。

奨学金の種類

学寮が持っている奨学金(特に学費のすべてか大部分を支弁するもの)を当てにする場合は、自分が志望する学寮が、応募可能な分野の奨学金を持っていることが最も重要である。大金持ちのTrinityは、自分が採らない学生にも奨学金を出すことがある。
奨学金は無数にあるが、その多くは大学が提供する横断検索エンジンで捕捉可能である。


学寮が支給する補助金

学費は捻出できるにしても財布が厳しく、生活費や出張旅費を節約したい場合は、学寮が持っている個別用途の補助金を当てにすることになる。これは学生一人当たりの資産が多い学寮ほど幅広に持っていると思ってよい。例えば、TrinityはFirst(いい成績という意味で、文字通りの一等である必要はない、上位30%程度が目安である)で卒業する学部生は、大学院にそのまま進学するならその一年の学費を無料にする制度を持っている。多くの学寮は書籍補助費などを持っているが数百万単位の学費をポンと出す話は聞かない。St. John'sは健康志向で非常におしゃれな、かつ学寮所属者が格安で利用できるカフェを持っている。
学生一人頭の学寮の資産は、Wikipediaがまとめている。(公式情報は見つからず)
やはりこの要素が学生の人気を決する割合は高いのか、一人頭の資産が大きい寮ほど、第一、第二志望で入る修士学生が多い。学部はみんなよく調べて、自分の能力に見合った学寮で面接を志望するのでさほどの差がつかない。https://www.undergraduate.study.cam.ac.uk/apply/statistics


学生宿舎の数量と選択方式

ケンブリッジはめちゃくちゃ家賃相場が高い。学寮や学部に通いやすい中心地はなおさらである。さらには、外国人に現地での内覧すらなしで貸す大家は数も限られているため、一年目の現実的な選択肢は学寮が持っている宿舎を利用することである。学寮の持っている宿舎は比較的割安であるうえ、同居する学生たちも同じ学寮のメンバなので、住みながらにして同窓生と交流できるという利点がある。また、多くの宿舎は学寮の敷地内や近隣にあるため、学寮内の格安の食堂や図書館を利用しやすい。城のような建物内に宿舎を置く学寮もある。同じ部屋に住んでいた学生が現在の著名研究者であったり、はたまた教科書に載るレベルの有名人であったりすることもままある。
学生生活の自由に使える時間・予算を大きく左右する要素であるので、宿舎の数や、どのような方式で優先順位を決めているか(たとえばTrinityは成績順だが、Girtonではそうではない)等を調べておいても損はしない。

所属フェローや学問分野での特色

Supervisionや学寮内での交流を重視するなら、これは重要な要素だろう。ChurchillはSTEM教科を重視しており、PeterhouseはCERNと強いつながりがある。ノーベル賞受賞者の所属人数も学寮によって大きくばらつく。また、特定の研究所のフェローが多く所属している学寮もある。とはいえ、学部生は、別の学寮でsupervisionを受けることが普通に行われているので、さほど大きな要素ではない。

学生の優秀さ(または学寮がどの程度学生を厳しく指導するか)

学寮の間では、学部生の成績の比較が行われ、毎年の結果がTompkins tableとして公開されている。この表で例年上のほうに来る学寮は、「人気があって優秀な学生が取れる」のでなければ「めっちゃ勉強させる」学寮である。一人当たりの資産額と、こちらの表での順位に乖離がある学寮は、まあつまり後者である。Wikiの五年平均Tompkins table averge placeと第一志望で入る割合を使って可視化しておこう。この図で右下のほうにあるほどよく勉強させる学寮である。
あまり押せ押せで勉強させられたくないなら、Emmanuel、Christ's、Queens'は選ぶべきではないだろうが、熱意のある学生に囲まれて切磋琢磨したいなら積極的に選ぼう。なお、中位層はどれもおっつかっつで年ごとのばらつきも多いので、数年平均の最上位、最下位2-3学寮以外は順位を気にする必要はない。



建築様式と伝統、立地

何を言っているのかと思うかもしれないが、世の中にはホグワーツが好きすぎて、ホグワーツ体験をすることを目的としてケンブリッジ大学を選ぶ学生もいる。そういった向きは、学寮や、晩餐会の正装マナー等の格好良さや、学寮の古さで選ぶのも一興だろう。多くの古い学寮は完全にホグワーツというか、ホグワーツのモデルである。

ただし、それらの古い学寮はその多くがCam川沿いの市の中心部に位置しているため、どこに行くにも観光客を掻き分ける必要がある。下手すると寮の窓から観光客が部屋の中を覗いてくる。人ごみが嫌いなら、King’sとその周辺を選ぶのは得策とはいえない。逆にGirton, Hommertonは非常に市の中心部から離れており、学寮そのものの敷地も、宿舎の潤沢さも群を抜いている。多くの学生は通学に伴う自転車の漕ぎすぎで発達した太ももを持っていることを特徴とし、かつ寮内にある果樹園で林檎の食べ放題ができるなど、ちょっとした英国カントリー生活が楽しめるようだ。蜜蜂の養蜂や農園のallotmentを行っているDarwinと並んで、田舎暮らし憧れ勢にはおすすめである。

以下はGirtonコーラス部による「めっちゃ遠いぞ」の歌へのリンク


戦略的に出願する

学部編

私は学部には出願していないので、調べが甘いかもしれない。学部生は、出願時に所属を志望する学寮を一つ選ぶ。書類審査が足切り基準点を通過できた場合は、志望した学寮に呼ばれて面接を受けることになる。この面接で志望した学寮では採用できなくても、ケンブリッジ大学でやっていける学力を満たせば他の学寮が選んでとれる"pool"に移され、そこから再度学寮側による書類選考を経て、めでたく学寮への受け入れが決まる場合がある。この学力基準はどの学寮でも一律に与えることになっているため、志望する学寮はさほど合否に影響しない。
ただし、第一志望を人気がある学寮にする際には、不人気の学寮にpoolされること、また、面接の許容人数の限界から、学寮による書類面接の足切り水準が高くなることを考慮する必要がある。

修士以上編

修士以上の出願のさいには、学生は2つの学寮を志望順位1位と2位に指名することができる。1位のみ指名することもできるし、open applicationとして指名しないことも可能である。学生の選考はほぼ完全に学部で完結する。学生を学部が採ると決めて、選考書類の真贋判定が通ったら、学寮に受け入れが決まっていようといなかろうと、ほとんど合格と思っていい。

学寮による学生の選考は、学部が学生に与えた順位および、学寮が公表しない様々な要素を考慮して行われる。なお、ここで言う順位は、書類、面接などから総合的に与えられる評価点に基づく。評価点は合否によらず開示請求可能であるとのこと。私は行わなかったが、面接時の教員に、合格通知後に内内に順位を確認することで、志望学寮への合格可能性を探ることもできよう。(なお、学寮からの受け入れ通知が来るまでは、一受験生につき一回のみ志望順位を入れ替えることが可能である)

三大人気学寮は、資金が潤沢なTrinity, St. John'sおよび、ケンブリッジを代表する観光地であるChapelが美しいKing'sである。多くの留学生は白紙提出か、1位と2位にこれらの人気学寮を書くため、人気が一点集中し、結果どちらにも採られずに不人気学寮にpoolされがちである。また、志望する学生の多さから選考もなかなか終わらず、なかなか無条件合格にならずやきもきする。


戦略としては、人気がある学寮を志望するのは一位にして、二位にはほどほどの中層の学寮を名指すことであろう。または、よく事前調査を行って、自分にとって個人的に優位性が高い特徴を持った学寮を指名することだろう。

言うまでもなく、こんな日本語の記事は個人の感想なので、英語でちゃんと調べてサンプル数を増やそう。公式サイトの案内や統計情報は当然見よう。SNSサイトStudent roomのCambridge Postgraduateの出願情報チャネル群には、学生ボランティアと思われる玄人が複数名常駐していて、受験生あるある質問のまとめを作ったり、質問に回答してくれるのでけっこうおすすめだ。ケンブリッジの学生にコンタクトを取ってもいい。宿舎情報など地味に重要な情報についてよいソースとなるが、高い確率で自分が所属する学寮を全推ししてくるので眉に唾を付けて聞こう。
事前に学寮の採用窓口に丁寧にメールして感触を探るのもよい。相手は高い確率で学生思いだが、いかんせん忙しいので丁寧かつ読みやすい文面を心がけよう。htの場合は英国田園生活と25mプールで泳ぎまくる日常に憧れてGirtonに連絡したが、すげない返事であった。その後分野の研究者が密集している某学寮に別途連絡し、色よい返事を得てから志望順位を確定し、めでたくその学寮への受け入れが決まった。某として名指さないのは、極端に日本人が少ない学寮であり、特定しやすいためである(日本人は上記の通り、新しい学寮にpoolされる傾向がある)。


選んでくれた学寮が一番自分にあっている

再三になるが、どの学寮に通っていたかを気にするのは、ケンブリッジ生じゃなければ似たような学寮制をとっているオックスフォードの出身者だけである。学寮への「こんなところ」というイメージは皆持っているが、所詮どこもケンブリッジのうちなので身内意識のほうが強い。身内同士でつまらぬ小競り合いをするほどケンブリッジ生は暇ではないので、カレッジ間の差異の揶揄やrivaltyは対抗心によって団結力と競争力を高めるためのスパイスとしてあるだけのものだ。
それに、学寮が学生を選ぶときには、学生の分野、教育バックグラウンドや、人種、民族、宗教が偏りすぎず、かつ学生が一人だけ「外れ値」にならぬように工夫がされているという。採ってくれたところがきっと、いちばん多様性と帰属意識をバランスよく得ることができる学寮なのである。

いっそ学寮のスカーフの色で選んでもいい。どこを選んでも一生の友と思い出ができ、全く後悔することは無い。Trinity以外の学寮は他の学寮の生徒の立ち入りを快く受け入れているし(観光客は既定の区画以外は立ち入り禁止である)、晩餐会等の内輪のイベントもその学寮のメンバから招待を受ければ参加可能である。

出願時のなんらかの参考になれば幸いである。

リンク集

大学の公式情報

最初に見るべき情報。ただし、大学側はなるべく学生の応募がばらけてほしい立場なので、どこかの学寮の恒常的な優位性につながる情報は意図的に排除していると思ってよい。可能であればVisit dayはオンライン・オンサイトなりで参加してみよう。

Undergrad向け学寮の選び方

Postgrad向け学寮選び

1ページ1学寮のpostgrad向け紹介パンフ

Admissionの統計情報可視化サイト


Wikipedia

あまりお行儀は良くないが、生徒一人当たりの資産やTompkins tableの位置のような重要情報は公式サイトでまとまった情報がないため、Wikipediaも見て損はしない。


MBA向けの学寮選びの基礎資料

彼らは他の学生とは別枠で選考が行われ、学寮選びの実施方法も異なっているらしい。彼ら向けには、学寮の学生の人数や晩餐会の値段、設備情報などが一覧できる便利なエクセルファイルが出回っているため、可能であれば知り合いの伝手で横流ししてもらおう。というか、なんで一般学生には配らないの…?

その他


Student Room Postgrad FAQ: 上から三つ目のCollege Questions (written by @histmphil96)はみんなが気になることが良く網羅されている。Undergradはなさそう…。

この他、Student Roomは常にCambridgeの学生ボランティアと思われる玄人が常駐しているので、精度が高い非公式情報が得られる。

Which Cambridge College:
学寮の基礎情報がまとまっており、自分の重視する要素の有無を確認できるお役立ちサイト。ただし、施設情報は非常に機械的であることに注意。たとえば、学寮が持っている図書館の数が少なくとも、めちゃくちゃ近くに大学全体の図書館があったり、学寮敷地内の住居を提供していなくても、徒歩30秒の場所に瀟洒な18世紀のマンションを持っていたりするのだ。そんな情報はYes/No方式のこのサイトでは取りこぼされている。

Tabsのメリデメ比較記事: 学生が書いているため、実際に所属しないとわからないような情報が満載だが、偏見も多いと思われる。
Student Good Guideのメリデメ比較記事: 同上。

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