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【名作椅子】 vol.4 アーガイルチェア

こんにちは、ハスミです。
ドタバタした日が続き、2ヶ月ぶりの投稿になりました。
危うく三日坊主で終わるところでした。
この三日坊主という美しい日本語は、修行に耐えられずに
小坊主が三日で修行から逃げ帰ったことに由来するのだとか。
この由来を知り、「私は修行と思っているから続かないのか」と、
目から鱗が落ちた気分です。楽しんで続けたれたらいいなと思います。
 
今回はアーガイルという椅子をご紹介します。
 
アーガイルチェアは1897年にアーガイル街にある
ティールームの中央に置かれたテーブルのために設計されました。
 
作者のチャールズ・レニー・マッキントッシュは、
19世紀末から20世紀までスコットランドで活躍した建築家です。
 
この椅子の特徴は、スラット伸びた背もたれです。
ここまで背もたれの高い椅子は、そうありません。
他にパッと思いつくのは「ヒルハウス」という椅子です。
(こちらも同じくマッキントッシュによりデザインされた椅子です。)
頭受けの部分には印象的なスリットが入っています。
この切り込みには、当時話題となっていた日本文化の「飛鳥柄」を
取り入れているという一説がありますが、定かではありません。
 
この印象的なハイバックは、単なる意匠を優先したものではありません。
「空間を遮る」という機能をもたせています。
アルネ・ヤコブセンがSASホテルのロビー用にデザインをしたエッグチェアも
同様の目的で設計されています。
しかし、エッグチェアは優しく卵の殻のように包み込むのに対して、
アーガイルチェアの背もたれは、まるで壁のように外界を遮断しています。
違ったアプローチで外部との遮断を目的としたこの二脚は、
作者のものづくりに対する想いが込められています。
 
マッキントッシュもヤコブセンも自分の設計した空間には、
自らの考えた家具や、食器などを置き、統一感のある空間をつくっています。
シンプルに言えば「完璧主義者」ですね。
現代のコーディネーター業は細分化され、その分専門性は深くなっています。
しかし当時の建築家達は、一手にコーディネートを引き受けていたのです。
設計した家には、同じく自分たちの設計した椅子や花瓶に食器、
そして壁に飾る絵まで描いて、納品していたのだとか。
 
マッキントッシュは、そんな当時の建築家を表す言葉を残しています。
「建築はあらゆる美術の総合であり、全ての工芸の集合である。」
 
現代の住宅は品質を均一にするために、規格化された製品が主に使われています。
それは悪いことではありません。膨大な種類が発売しては消えていきます。
それを一つ一つ吟味して、組み合わせていく。
現代は現代でコーディネーターは、大変な仕事をしているとシミジミ思いました。
 
今回は空間に効果を与えるアーガイルチェアのお話でした。
 
では、また。

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