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喧嘩はスパイス、仲直りのキスの味

ついに立冬を迎えた。私たちは新しい冬を迎えたのだ。窓を開けると空気が一層ひんやりしている。気持ちのいい快晴だ。今日は何をしよう、どこへ行こう。そしてふと思い出す。明け方何度も目が覚めた時に見た夢のこと。昔の恋、喧嘩をした時のこと。これは忘れたくないことなので少し綴ろう。

恋愛をしていて思うのは、いつ別れが訪れるかということ。そして未だ一緒にいたての時期は、いつ私たちは初めての喧嘩をするのだろうということだ。

静かな夜だった。オリオン座のそばに月が輝いていた。オリオンと月の女神アルテミスは恋人同士だったという。そんなことを話しながら、私たちは静かに寄り添っていた。

彼は朝まで一緒にいられると思っていたようだけれど、私は諸事情で帰らなければならなかった。私も帰りたくはなかったけれどそういう時もある。彼、本当に帰るとは思っていなかったようで、「残念」というメールを2度寄越した。2度寄越すほどには不貞腐れ拗ねたのだろう。

喧嘩というのはお互いの気持ちをよく知らないから発生するのだろう。自分勝手な時も発生する。その他には遠慮して言えなかったり気を遣いすぎたり、遠回しの気持ちが招くものなのだろう。その夜、私は彼からの連絡を待ち、彼は私が戻ることを待っていた。すれ違い。お互いに悲しい気持ちになってしまった。私は素敵な人をがっかりさせてしまった。私も悲しかった。

けれど翌朝、彼は「今宵は、がっかりだ」と素直に言ってくれた。これは一つ進歩だと気付いた。お互い誤魔化さず、言い躊躇わず、我慢せず。遠慮して表面ばかりで一緒にいたいのか、心に触れるような関係でいたいのか。そのためには時には喧嘩も必要だ。お互いを知るために、寄り添うために。

その後、不貞腐れた彼を励ましたくすぐに会えるように時間を作った。人は幾つになっても好きな人のことで一喜一憂するらしい。そして何より、仲直りのキスは最高だった。これならたまの喧嘩も悪くないかな、なんて。

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