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大人の男が美しい マザコンたちのスキンシップ編

いつものバーにいる。今日は特別な夜。私は27年物のラムを舐めている。アルコールの中にラムの甘い香り。舐めるように飲むんだよ、というのは最近の兄たちの教えだ。最初は慣れず口に含みすぎて焼けそうだった。舐めるように飲む、は目下勉強中。大人の真似をするのが楽しい。

風が強く横殴りの雨が降ったり止んだりしている。それを眺めながら私たちはあれこれ途方もない話を繰り広げる。空を抱きしめたいという話しから、自分は自分を諦めることが出来なかったなどマスターはエッジの効いたお酒を飲みながら話してくれる。気持ちよく酔っているのだろう。人見知りの彼がいつになく笑顔、そして饒舌だ。

そして話題は男性と女性についてになった。

「男はほぼ100%がマザコンなんだよ。何故って男の対極にあるのが母親だから。程度はあれみんなマザコンだ。むしろ、かあちゃんを大切にしない男は尊敬に値しない。まぁ、しばらく会っていないけれど。男は女に勝てないのさ。腕力はあれど、女の強さには勝てない。出産の痛みを男に与えたらショック死すると言うだろう。生みの苦しみを乗り越えたかあちゃんはすごい。誕生日なんてのはさ、みんなおめでとうって言うけれど母ちゃんに感謝する日なんだよ。メールでもいい。ありがとうって」

確かに。この人は自分のことを糞ガキで魔王なんていうけれど、やはり根っからの真面目なのだなぁとまたラムを舐める。

男性のマザコン気質。なるほど。納得しながらも自分に置き換えてみる。母性は分からないけれど、私に言わせると男性はみんな甘えん坊だ。女性の方がスキンシップを求めたり甘えたりするイメージがあるけれど、それに輪をかけて男性の方が甘えん坊だ。男性は虚栄心が強い。けれど一度相手に心を許すととことん甘えん坊になる。すぐに触れてくるし、「おいで」と言いながら抱き締められたいのは自分なのだ。幼子に戻るのだろうか。可愛いな、おい。

君は私には勝てない。君の顔、キスしたいのがバレバレだね。いいよ。抱き締めてあげるからここにおいで。

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