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今まで作った本のこと(2023-2024)

こちらは初心者二次創作サークル『初花社』が発行した本の、制作や装丁の仕様などなどについての記録です。
同人誌制作1年生のできごとを、忘れないうちに書き留めておきます。
※ 本はすべて小説本です


■ 1冊め A5 中綴じミシン製本

初めて書いた二次創作の作品をかたちにしたくて作った同人誌でした。

▲ 印刷全体にツヤプリ加工してるので、さわると気持ちいい

中身はこんな感じです↓ ツリーに目次なんかも載せてます。

本の概要と仕様

  • 発行日: 2023年7月16日(ラヴコレ 2023 in Summer)

  • 印刷: レトロ印刷

  • A5 中綴じミシン製本(のり無し)

  • 表紙

    • 紙: [厚紙] クーヘン

    • インク: 黒、蛍光レッド

  • 本文

    • 紙: [中厚紙] スクレ

    • インク: 黒、もも

  • 加工: ツヤプリ(表紙)

  • ミシン糸: 13ばら

紙は、ざっくりあたりをつけていたものをそのまま使いました。表紙の「クーヘン」は、適度な厚みと画用紙のような質感が気持ちよくて気に入っています。本文の「スクレ」は、表紙よりも薄くて、子供の頃に使っていたおえかき帳のような印象。
ワークショップのときに、表紙には「デュプレ」なんかもおすすめしていただいたのですがツヤプリができず断念。本文は、富士わら紙やわら半紙も試してみました。この本では使わなかったけれど、いつかわら半紙は使ってみたい。記憶の中のわら半紙より、ずっとかわいいのです!

本文レイアウト

もともと文庫ページメーカーの文字中(36字×15行)の設定で発表していたので、そのレイアウトを崩さないようにかなり悩んだ覚えがあります。
そもそもが文庫の設定なので、A5に配置したときでも文字のエリアにはある程度密度は保ちつつ、かつ絵本や国語の教科書のようなゆったりした余白のある紙面にしたかった、という意図でなんとか落ち着いたのがこの設定です。悪くなかったな!

  • 文字数: 36字×15行

  • フォント: 筑紫明朝 Pr6N

  • 文字設定

    • フォントサイズ: 13Q(9.21Pt)

    • 行間: 9.75H(6.91Pt)

  • マージン

    • 天: 46.5mm

    • 地: 46:5mm

    • ノド: 15mm

    • 小口: 50.125mm(ページ番号までは8mm)

印刷所選びの決め手

装丁やレイアウトの構想を練っていたときに、noteのレポートで見かけてひとめぼれ。
レトロ印刷さんで作ることを前提に本作りを始めました。
サイトのコラム印刷見本を熟読し、試し刷りワークショップに行き、猛勉強して臨みました。

頒布

同じ世界線のふたりの短編を書き下ろして、小冊子とポストカードを作って、まとめて新刊セットとしてお渡ししました。
(作りすぎた無配冊子、ようやく2024年5月に全部配り終えました)

▲ ラッピングこんな感じでした

がんばったこと

  • 面付け(地獄)

▲ 何度も手元で印刷してなんとか作った入稿データ
  • 文字組みアキ量設定(迷宮)

▲ 設定名「七ツ森本」いまでも更新しつつ使ってる

■ 2冊め A6 文庫 再録本

初めての作品を発表してから、いつかそれを全部まとめた文庫本を作りたいなと思っていたので、原作の卒業シーズンにあわせて制作しました。
届いたときのツイート↓、あまりにうれしい仕上がりに大興奮していますね。
華やかさはないけれど、期待通りの本ができました。

本の概要と仕様

本文レイアウト

文字数多い方のレイアウトはこんな感じです。

  • 文字数: 39字×16行

  • フォント: 筑紫明朝 Pr6 (LB)

  • 文字設定

    • フォントサイズ: 12.5Q(8.86Pt)

    • 行間: 7H(4.96Pt)

  • マージン

    • 天: 14mm

    • 地: 12.125mm

    • ノド: 17.75mm

    • 小口: 11mm

印刷所選びの決め手

  • スピンしおり付きの文庫本作れる

    • カバーなんぞいらぬスピンがあればよい

  • 表紙に羊皮紙が使える

    • 傷みやすいと注意書きがあったけれど、いっぱい読んでぼろぼろにしてほしいという願いをこめて

ということで、ほぼBRO'Sさん一択でした。
とにかく本屋さんに並んでるような文庫本が作りたかった。
カラー表紙もカバーもいらない、ベージュの表紙があればいい……

頒布

手描きのイラストを入れた帯をつくって、ノベルティの栞と一緒に詰めました。(どちらも印刷はレトロ印刷さん)

▲ これにロゴ入りのシール貼って完成

ノベルティの栞は、今回の表紙イラストのものと、テキスト入りので計3種類。文庫と同じフォントサイズでツヤプリ印刷してもらって、そこからいきなりキスに持っていったりヒーローに返信したりできるような数行のテキスト入りのものを作ってもらいました。
特に反応なかったけどw、個人的には結構気に入っています。

▲ 通頒ページ掲載用の紹介画像つくった

心残りがあるとすれば、本屋さんで巻いてもらうブックカバーみたいなのを作ってみたかった……レーベル名の「初花文庫」ってロゴ入れてさ……
今回のコンセプトは本屋さんだったので、おとりおきの方にはクラフトの袋でそれっぽくお渡ししてみたりして。

がんばったこと

途中で文庫メーカーの設定を文字中(36字×15行)から文字小(39字×16行)に変えたので、どちらの組み方でも不自然にならないようなレイアウトを考えるのに少し時間がかかりました。
あと、Indesignの「ブック」機能を覚えました。レベルが1上がりました。
表紙はとにかくシンプルに、でもコンセプトを反映したものにしたくてイラスト描きました。
題字はほんとは手描きか作字したかった…が、なかなかうまくいかず断念しました。

前回キイイイとなりながら作った入稿データ、今回はこちらです

▲ 本文、表紙、以上!

楽ちん〜最高〜〜

データ作り

興味あると言っていただいたので、データ管理についても。
私の場合は、話数ごとにこのデータを揃えていきました。

  1. テキストデータ

  2. Indesignに流し込んだやつ

  3. 書き出したPDF(校正&あとがき書いてもらうのにお渡しする用)

  4. 画像データ(作品によって)

▲ 作品やイベントごとにこんなフォルダをつくっています

もともと作品ごとにデータは整理してたので、それを集めて校正してテンプレに流し込んでコメントつけたら編集作業は完了。
しょっちゅうあっちこっち行ったり来たりして見返すので、今回についてはこのくらいの粗めのフォルダ分け→ファイルにナンバリングするのがちょうどよかったです。
収録する作品やその情報(初出の日付とか企画とか媒体とか)はもともとスプレッドシートで管理してました。

■ 3冊め A5 ザ・普通の同人誌

前回が最後のイベント参加……と思っていたら、誘っていただいてイベントに出ることになり、テーマを合わせてお話つくって、さらに素敵な表紙を描いていただいた!というちょっと思い入れが深い一冊です。
表紙のイラストの表情が内容と合っているとよく言っていただきました。私のエモとかせつなさとかの概念を全部ぶち込んだ、やりたいこと全部やってやれ本です。
そしてなぜか5月にバレンタイン話でした。(書き始めてからそうなった)(本当になぜ)

↑これが入稿ハイです

本の概要と仕様

本文レイアウト

  • 文字数: 26字×22行 2段組

  • フォント: 筑紫明朝 Pr6 LB

  • 文字設定

    • フォントサイズ: 12.5Q(8.86Pt)

    • 行間: 9H(6.38Pt)

  • マージン

    • 天: 21mm

    • 地: 20.5mm

    • ノド: 20mm

    • 小口: 12mm

印刷所選びの決め手

前回・前々回のようにこれ!といったやりたい仕様もなく一般的な同人誌の仕様だったので、かえって悩みました。
結局、小説で同人誌書いてるなら一回くらいしまや出版さん使ってみたいよねーという感じで、ふわっと決めました。
入稿したあとは丁寧に電話で内容の確認もしてくれて、気になってたこともやさしく教えてくれたりしてキュンとしました。

頒布

あまり時間がなく、おまけ作れず……
初めて会場に直接搬入してもらいました。
現地で初めて実物見るの、緊張と興奮とでドキドキでした。

がんばったこと

あんまりないかもしれない……
2段組用のIndesignのテンプレートも作ってあったし、入稿データの作り方ももうだいぶ慣れてきたし、特別なことなにもしてないし……
本文については実は結構チャレンジしてましたが、装丁や文章の組み方は、とにかく本文に集中してもらえるような、邪魔しないものを作りました。

■ 番外編 コピー本

無配や印刷費程度で、コピー本(といっても印刷には出すんですけど)をよく作ります。
初めてのイベント参加のときから毎回同じ仕様で同じところに頼んでいるので、それもメモしておきます。

本の仕様

自分でコピーしてもいいのですが、もう小口を裁ち落としてもらわないとうずうずしてしまう身体になってしまって……
↓たとえばこれ、いちばん上だけコンビニプリントなのですが、小口がずれてたり折りもぴしっとしていないし……
他の方のだと全然気にならないのですが、自分のだと許せなくて、いつも印刷を頼んでしまいます。

コンビニやオンデマンドのお店とかでプリントしてもらうのと費用は大きく変わらない、というかずっとお安い場合もありそうな気がします。
私はもう3回同じ仕様で小冊子を作りました。
小説の無配に、ぜひ。

おわりに

素人なりに、それぞれ必死で作ってきましたが、振り返ってみるとそれぞれに違う注力ポイントがあったようで面白かったです。

■ 取り扱い
読んでみたいなと思ってくださった方、もしいらっしゃったらフロマージュさんで取り扱ってもらっているので↓からぜひ。夏くらいまでは置いておく予定です。
https://www.melonbooks.co.jp/fromagee/circle/index.php?circle_id=116407

■ なにかありましたら
コメントやX(TwitterのDM)、Waveboxでどうぞ。

おまけ: 帯値札

ご質問いただいたので(ありがとうございます!)、私の帯値札の作り方です。見様見真似で超適当、超ざっくりで申し訳ないのですが……。
私はイラレ使いましたが、いっそパワポとかの方が楽に作れそうです。
絵があっても目立つしかわいいと思いますが、私はかけないのでとにかく要素がわかりやすいように大きな文字で作っています。

上ふたつは文庫用、下はA5用です

このときは頒布物のサイズが2種類(A5とA6文庫サイズ)あったので、それに合わせて作っています。
・用紙設定はA3
・縦は8cmで共通
・横はA5→約40cm、A6→約33cm
これを画像にして、コンビニプリント→カットしてぐるっと巻けば完成です。

ご参考になれば!!

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