ハードラックとダンシングナウ

 朝起きて、なんとはなしに星占いのアプリを起動する。

 かに座・・・12位。見慣れた光景だ。ため息をつきながらアプリを落とす。今日もなんだか、よくないことが起きそうだ。


 三流のネット小説みたいな出だしになった。しかし、僕は今年本当に不運なのだ。「不運つったって、一過性のものじゃないの?」などと思う人もいるだろうし、僕も当然そう思っていた。だがこの不運、実は2019年の2月くらいから既に続いている。あまりにも不運が過ぎるので逃避を始めようと思う。

 その前に、今年起こっている不運のほんの一部分を紹介しようと思う。因みに以下の文章は全て今年の5月以降に起こっていることだ。

 大学に行けば厄介な勧誘を受ける。何がボランティアだ、僕のやりたい時にさせろってんだ。自動ドアの前に立っても空いてくれない。お手洗いの洗面台で手をかざしても水が出ない。グループワークの面子が使えない人間ばかりだったりする。友人とカードゲーム(デュエル・マスターズとか)をしている時も僕が相手の時だけS・トリガーが4枚入っていたりする。

 バイトに行けば厄介な客と出くわしまくる。クレジットカードのサインを求めたらキレる客とか、ブックカバーの色が気に食わないと言って破り捨ててった客とか。クスリをキメているじゃないかという言動をする客も僕が入っている時に限って来たりするので、パートのおばちゃんには「今日はどんなヤバイお客さんが来たかまた今度教えてな」と言われる始末。


 趣味の野球観戦。僕がバイトの帰りなどに野球速報を開くと、大体そのちょっと後に贔屓チームの選手が失点する。ついこの前も速報を開いて「お、9回の時点で2点リードだ、勝てそうだね」などと思っていたら2点差をひっくり返されてサヨナラ負け、などということがあった。仕方がないので最近はあまり野球速報を開かないようにしている。

 麻雀をすれば7種8牌は当たり前。8種9牌だって当然のように出る。あまりにもその回数が多いものだから、配牌が悪い時は「あ、◯◯(僕の名字)だ」と言えば皆に通じるようになってしまった。しかもそれは周りにも定着して後輩も「あっ◯◯先輩(僕のこと)だ」と言うようになった。正直これに関してはコミュニケーションのキッカケでもあるので役割的にオイシくはあるのだけど、それでもやっぱり不運は辛い。

 そして今日の夜。23時過ぎに家へ向かって歩いていたら、巡回中であろう警察官に声をかけられた。今までにも夜遅くに出歩くことはあったけれど、警官に出くわしても声をかけられることなんて去年はなかったのでとても驚いた。

「失礼。君、今いくつ?」

ぼく「…20です」

「証明できるものは?」

 学生証を見せると、「はいありがとう」と言って解放してくれた。物腰が柔らかい方だったのでこちらも全くイライラしなかったけれど、もしこれがつっけんどんな物言いをする人であったらかなりキレていたと思う。「身長が低くて悪かったな、僕はどうせ160ちょっとしかないですよ」くらいは愚痴ってそうだ。

 どうしていつもこうなんだ。誰か僕に運をくれ、運を。元号が変われば少しはマシになるかも、などという根拠のない望みを抱いていたが現実はもっとヤバかった。令和になってからこの不運、ペースを上げてきている。具体的にはバイト先のやべー客がめちゃくちゃ増えた。

「不運だ」などと叫ぶアニメ(ライトノベル)のキャラクターがいるが、今ここで僕も彼の言葉を借りようと思う。


 不運だーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

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