見出し画像

【#シロクマ文芸部】採用理由

「珈琲と雷おこしでいいかしら?」
「いえ、珈琲だけで」
「あら……じゃあ珈琲と栗煎餅だったらいい?」
「本当に珈琲だけで結構です」
「じゃあ珈琲と……」
「本当に本当に珈琲だけで。甘いものに必要性を感じないので」
「はい!採用!」
「え?」

スイーツ探偵でアルバイトの面接を受けた時の会話だ。
楽な事務作業だからと何人か応募者があったらしいのだが、全て断っていたらしい。

不採用の理由は、全員スイーツ好きだったから。
面接のたびに自分のオヤツが減っていくのにハラハラし通しだったそうなのだ。

お菓子のストックが半分になりかかった頃やってきたのが、珈琲しか飲まない人物だったのが採用の決め手となった。

「探偵社のアルバイトならミステリアスな名前がいいわね。そうだ!珈琲が好きということで助手Cにしましょう!」
「え?意味わからないです。本名の……」
「ダメ!助手C!助手C!助手Cぃぃぃぃぃ!!!」
「はい……」

助手Cの呼び名を受け入れた途端、テーブルに菓子がズラリと並べられた。

「採用記念パーティーをしましょう♪」
「え?私、珈琲しか飲みませんよ?」
「知ってる。これは全部私が食べ……」
「先生、食べ過ぎです」

一種類の菓子を残し他は全て片付けた。
これが助手Cとしての初仕事である。

珈琲と、ときたらスイーツ。
スイーツときたらスイーツ探偵。

小牧幸助部長、素敵なお題をありがとうございました。
今週も部活動、楽しかったです🙌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?