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【#シロクマ文芸部】骨皮筋衛門と「踊る阿呆に見る阿呆」
ガラスの手を使った怪盗を追うのは我らが敏腕捜査官、骨皮筋衛門。
怪盗は、犯行を予告し警察をあざ笑うかのように財宝を持ち去る。小賢しいことに必ず予告状を送り付け盗みを働く。指紋がないため、証拠を残すことなく目的の物をさらっていく。
鮮やかな手口に我らが骨皮筋衛門は何度も煮え湯を飲まされた。
とうとう筋衛門は得意の潜入捜査で、地下に潜ることを決意する。
「後はよろしく頼む」
筋衛門が地下に潜りしばらくすると、次の犯行予告が来た。
今回狙われたのは、令和の最高傑作と謳われる絵画、
踊る阿呆に見る阿呆
この絵画を見た誰もが踊り出すという、妖しい魅力にあふれた芸術作品だ。今回、ルーヴル美術館に引き取られるとのニュースが流れ、怪盗に目をつけられてしまったのだ。
予告状には、ルーヴルに送られる直前に空港から持ち去ると書かれていた。
犯行当日、空港はアリの子一匹逃さないよう警官が配置された。しかし、その中に骨皮筋衛門の姿はない。
絵画を飛行機に運び込もうとした瞬間、
学芸員が騒いだ。
「待ってください!その梱包は美術館でされたものと違います!」
慌てた警官が包みをほどく。
し、しまった!
その場にいた全ての警官が「踊る阿呆に見る阿呆」の魔力により踊り出した。
叫んだ学芸員が高らかに笑う。
「あっはっはっは。警察なんてちょろいもんさ」
学芸員に扮した怪盗は、踊ることなく絵画をつかみ颯爽と空港を出る。ガラスの手だけでなくガラスのブーツも履いていたため、踊ることなく絵画を盗めたのだ。
「踊る阿呆に見る阿呆」の魔力をガラスは跳ね返してしまうらしい。
しかし、高慢な怪盗の前に立ちはだかる影が現れた。
「ほ、骨皮筋衛門!」
筋衛門は密かに空港の清掃員に変装していたのだ。犯行現場にいなかったため、筋衛門は魔の踊りから逃れることができた。
なんという危機察知能力!
さすが我らの骨川筋右衛門!
「現行犯逮捕だ!」
体型からは想像できない素早さで絵画の裏にまわり、怪盗から絵画だけでなく、ガラスの手とブーツも奪い取った。
骨川筋右衛門が絵画を怪盗の前に突き出した瞬間、怪盗は踊り出す。
「く、くそう!」
踊り狂う怪盗は、いとも簡単に骨皮筋衛門に捕まってしまった。
奪ったガラスの手とブーツをつけた骨皮筋衛門は、丁寧に絵画を梱包し直した。
「踊る阿呆に見る阿呆」は無事飛行機へと詰め込まれた。
ルーヴルの職員が踊らなくて済むよう、ガラスの手とブーツも添えるのも忘れなかった。
毎週ショートショートnoteの「名を自動転売鬼」で無理矢理ひねり出した骨皮筋衛門さんが、意外に好評なので、シロクマ文芸部でも活躍させてしまいました。
どうしてもロマンティック路線が思いつかず、笑いの方向へ舵を切るしかなかったのです。
小牧幸助部長、楽しい創作の時間を与えてくださりありがとうございます😊
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