【#創作大賞感想】「夢と鰻とオムライス」日常にひそむファンタジー
感想に入る前に。
花さん……私が一番好きな太宰治作品は「皮膚と心」です!5月の時は太宰が好きな人に久々に会って舞い上がり「人間失格」をあげましたが、あれは山崎富栄で心の平衡を崩してしまったからです。申し訳ありません。「皮膚と心」の主人公のいじらしさに憧れていました。my best 太宰は「皮膚と心」です💕
それでは「夢と鰻とオムライス」の感想に入ります。最後にヌイ仲間の花さんが生み出したキャラ「こうちゃん」にダフやんからメッセージがあります。
ファミリー小説部門があれば「夢と鰻とオムライス」は大賞ではないかとの声がコメント欄にあふれていました。私もそう思います。でも、
「夢と鰻とオムライス」はファンタジー小説
だと最終話まで読み終え確信しました。花さんは日常生活に潜むファンタジーを私達に見せてくれたと感じたからです。
恵梨子さんのおじいさんが夢の中に出てくる設定は確かにファンタジー要素はあると思います。しつこくない程度に語り掛けるおじいさんは孫を心から可愛がる存在として瞬太の理想を表しているのでしょう。
しかし私はそれ以外にも、瞬太の逃げ場である母親とこうちゃんに対して日常生活に潜むファンタジー味を感じてしまいました。
母親は父・兄と瞬太との間で静かに悩んでいたはずです。おおらかに瞬太を迎え入れるこうちゃんは過去を悔いで「覆水盆に返らず」と後悔をかかえています。その現実にいそうな大人達が主人公瞬太の進むべき道を照らしていると感じた時「夢と鰻とオムライス」は苦難の道を切り拓く勇者「瞬太」のファンタジー小説として私の中に入り込んきました。
瞬太は「料理・家事・相手の気持ちを察する」のスキルで夏休みという冒険の旅をクリアしていきます。母親やこうちゃんという存在がいてこそ、勇者瞬太は前に進むことができました。しかし、オムライスが美味いと言った父やプリンを残してくれた兄も勇者瞬太を新たな道へ進む力を与える存在なのです。その姿は敵だと思っていた相手が実は真の味方であったという設定に酷似しています。
誰からも認められ転生したことで無限の力を得、群衆を味方につけるような万能感あふれる展開は現実にはありません。ただ「夢と鰻とオムライス」のように、自信をなくしたり嘆く人に希望や夢を持たせる行動を私達もできると花さんは語りかけているように感じるのです。私達はファンタジー小説における妖精や賢者になる可能性がある、そう思うと心の底がポッと温かくなりました。
誰もがファンタジー小説の登場人物になれる
悩みの渦中にいるならそれは主人公の資格がある
そういう希望を「夢と鰻とオムライス」は与えてくれるのです。
🧸ここからはダフやんのメッセージです🧸
🧸「こうちゃ~ん。ダフやんも去年勝沼に行ったの♪」
🧸「ちょっと大変だけどバスで行ったら運転を気にしないで試飲を楽しめるよ♪」
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