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「ガンダムSEED FREEDOM」感想!アコード(水星や鉄血等のSEED以降のガンダムシリーズ)VSコーディネーター(SEED) ネタ消費エンタメ特化の面白さ!


 こんにちは!今回は「ガンダムSEEDFREEDOM」についての感想をネタバレありで話していきたいと思う。2000年代のアナザーガンダムシリーズとして、大ヒットを記録した本作だが、今回約20年振りに映画化され、正直色々な意味で僕の想像を越えた凄い作品になっていた。今作が持つ熱量の正体とは何なのか?それでは始めていこう。


 ○エンタメ特化とネタ消費回路によるSEED独自の強さ! 究極のメガ盛りファンサ映画!

 僕はSEEDを小学生の時に観ていたSEED直撃世代ではあるが、正直今さらSEEDの映画化ってどうなの?というような感じで、そこまで期待していた訳ではなかった。しかし、結論から言ってしまうとめちゃくちゃ面白かったのである。

 なぜこんなに楽しめたのか考えてみたのだが、まず今作は、ある種の横綱相撲である。エンタメに特化し、ファンが喜ぶ展開を躊躇なくぶちこんでおり、そりゃ面白いわ!っていうような作品になっている。それに加えて、SEEDは視聴者に、かなり幅の広い消費のされ方をしている作品であり、それが関係していると感じた。

 SEEDは、美形のキャラが多く女性ファンも多いことで知られキャラ人気も高い。もちろんストーリーが好きな人もいるだろうし、特にモビルスーツの人気はガンダムシリーズでも屈指である。SEED否定派の人でも、モビルスーツのカッコよさでは一目置かれている印象さえあり、SEED系のガンプラの売り上げもその事を証明しているだろう。この事からSEEDはより多くの人が入りやすい、間渕の広い作品であり、多様な消費のされ方をされている作品である事がわかる。

 そして、特に重要なのがネタ消費的な人気である。例えば、ストーリー上のガバさであったり、キラやアスランの私服のダサさや、裏切りまくるアスラン、主人公の座を奪われるシンなど、そういったネタ的な要素や、物語上の歪さも含めて愛されている作品なのだ。そしてこの寛容な作品の受容のされ方が、今作では良い方向に作用している。

 具体的に言うと、例えば今作では、キラとラクスのメロドラマ的なちょっと古くさい展開が多い。それに加えてキラの「僕にはラクスの愛という最強の武器があるんだ(うろ覚え)」など正直クサい台詞も沢山あるし、物語的な荒さもある。

 しかし不思議な事に、本作では、そういった古さや荒さがたいして気にならず、むしろ感動すらしてしまう事が多かった。これは、他の作品にはない、ネタ要素や歪さや荒さも含めて愛されてしまうSEED独自の寛容な消費回路があるからこそ起こる事だと考えられ
る。

○今作のモビルスーツは拡張身体でも無機質な兵器でもない!とにかくかっこよければいいんだよ!!!

  エンタメ性が高くファンサービスを一番に考えて作られた今作だが、モビルスーツの扱いにもそれは表れている。例えばファーストならガンダムとは、アムロの男性的自己実現を叶えるための拡張身体だったし、閃光のハサウェイでは無機質な兵器として描かれ、水星の魔女では医療技術や兵器の間にある中立的なテクノロジーだった。しかし今作におけるモビルスーツは、もうとにかくカッコよければよし!というような描かれ方をしていてむしろ清々しかった。ここまでエンタメ方向に突き抜けてくれると、むしろ感動さえ覚える。複雑なテーマやストーリーを扱うのではなく、楽しませる事を第一に考えてくれた事が、今作の成功の一番の理由であろう。

○アコード(水星や鉄血等のSEED以降のアナザーガンダム)VSコーディネーター(SEEDガンダム)

 そして、比喩的にいうと、キラ達コーディネーターがSEEDで、アコードが鉄血、水星の魔女等のSEED以降のアナザーガンダムシリーズだと思うのだ。コーディネーター(SEED)はアコード(水星のような最新のガンダムシリーズ)に、新しさや現代性では勝てない。それでも今作は、SEED的な2000年代の古くささの遺恨を抱えたまま、SEED以降の新しいガンダムシリーズに対抗できる作品を目指したのではないかと思っている。そして今作は、独特のネタ消費回路とエンタメ特化により、SEED以降の新しいガンダムシリーズに対抗できる作品になったと思う。

  僕なりに考えた、今作の面白さや盛り上がりの要因は以上であるが、一応ストーリーの方にも触れておこう。

○熱すぎる逆襲のストフリとネタのオンパレード! 真の愛で勘違いアコードどもをブチのめせ!

 今作のストーリーはすごく簡単に言うと、アコードというコーディネーター以上の上位種が出てくるが、そいつらは効率や性能にしか価値を見いだすことが出来ない可哀想なやつらである。そいつらが本当の愛を知ったキラとラクス達に否定され、ボコられるという話だ。

  そしてアコードで構成された敵部隊「ブラックナイト」だが、ちゃんと強敵感が出ていてよかった(かませ感もすごいが笑)。アコードの奴らは、相手の思考が読めたり、精神に介入する事が出来るといった、超能力みたいな物も持っている。それに加えて、乗っているモビルスーツの機体性能も、ストフリやディスティニーを旧式機呼ばわりするぐらいだから、そうとう高性能なのだろう。

 それに加えて、ライフリやストフリはどうやら核動力じゃなくなってるらしく、エネルギー切れの描写も多かった。このように、敵と味方の強さのバランスがとられ、緊張感がたもてるようになっていた。そして、アコードが操る高性能機能に対して、キラやシン達は旧式機体だが、かつての相棒であるストフリやディスティニーで挑む所など最高に熱かった。

  他にも、部分的に思考が読めるアコードに対する対策も面白く、アスランのハレンチなカガリ妄想や、特級呪霊とかすシンの中のステラ、カガリの遠隔操作、フリーダムINアスラン、キラとラクスのダブルエントリーなど、こっちが予想もしていない展開の連続で楽しかった。

○SEEDファンの作品愛! 「面白いから愛するのではなく、愛しているから面白いのです」

 他にも語りたい熱いシーンは沢山あるのだが、キリがなくなるのでここまでにしよう。やはり今作は、メガ盛のエンタメ特化ファンサ映画だ。テーマやストーリーにこだわる作品ももちろんいいが、今作のような楽しませる事が第一の作品が出てきてくれる事も嬉しく思う。

 そして何より凄いのがSEEDファン達のこの作品への愛だ。僕は公開日の夜に観たのだが、映画館にはまるで青春時代に戻ったかのような無垢な笑顔を浮かべたおっさん達で溢れており、異常な熱気に包まれていた。SEEDファン達にとって今作は劇場のラクスの言葉を借りて表現するなら、「面白いから愛するのではありません。愛しているから面白いのです。」といった所だろうか。これは能力主義のアコードに対して、キラとラクスが提示した、能力ではなくその人そのものを愛す事と似ている。今作のように、完成度などの正しい尺度で評価された作品だけでなく、好きだから面白いという作品の評価があってもいい。今作はファン達の愛により成立しているのだ。

公開日の劇場の様子!夜なのに大盛況である。

 

 

 


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