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ジャパンカップ 2023 回顧

★注意
6着以下の馬で一部の馬の個別回顧は見送りました。
(勝ち馬との着差が大きかった為、または外国馬、地方馬で今後に繋がる要素が低いと判断した為です)


【レース展開】

H(ハイ)前半型 SP持続・失速型 57.6-60.7
12.7-11.3-11.5-11.0-11.1-11.5-12.0-12.1-12.1-12.4-12.4-11.7

HペースのSP持続力勝負で直線は失速していくラップ推移。ただ最後1Fを除くと大逃げとなったパンサラッサが刻んだラップであり、2番手以降で団子状態の集団2秒近く遅い59秒台後半から60秒台くらいの流れと推定。その中で後半のSP持続力という印象。

イクイノックス 1着

【決め手】好位追走から直線楽に抜け出して圧勝・他馬と地力の違いを見せ

発馬五分からある程度前目を伺って1角までに楽に好位内目を確保。向こう正面からは2番手追走のタイトルホルダー(5着)の直後を取ってスムーズに追走のまま、3~4角を回って4角の出口から直線入口にかけてジワッと動き出して直線へ。直線序盤で馬なりで2番手(タイトルホルダー)に並びかけに行って、半ばで交わして2番手に浮上。ここでようやく追い出されてグンと加速。最後1Fを前にして逃げたパンサラッサを楽々と交わして先頭に躍り出ると、最後1F地点ですでに後続に4.5馬身の差をつける独走態勢。そのままゴールまで伸び続けてゴール前で後続馬を目視確認してから流し気味でゴール。2着との差は4馬身で今回も見事なまでの圧勝となった。

つけ入る隙が無い競馬で他馬を圧倒。パンサラッサが大逃げする中で2番手以降の集団のペースが落ち着いた形になった為に、僅かに付け入隙があるかも…と見ていたが後半要素で全く綻びを見せずの内容で、上り33.5秒は後方待機に徹した馬よりも上だった。直線半ばの加速力の差で作ったリードが最後まで詰まっていない(G前で流したので僅かに詰まった感じはあるが)という面もあり、加速と持続力の両面で他馬を圧倒した形。しかもタイムも2.21.8であり、これを好位追走から楽々と抜け出して…という形だから恐れ入る内容。今更この馬に対してあれこれと語ることは無い…という感覚である。

【レース関係者コメント】

(C.ルメール騎手)
「この馬の走りは信じられません。ペースが速かったけど、直線はすぐに反応して、自分でもびっくりした。アクセレーション(加速)がすごかったです。1番枠にリバティアイランドがいての2番枠。タイトルホルダーとパンサラッサの後ろにつけたかったけど、イクイノックスはいいスタートを切りました。後ろにつけて、そこから勝つ自信がありました。イメージ通りです。スーパーホースですね。彼の上では自信をたくさん持ちます。賢い馬で乗りやすい。おとなしい。ポニーみたい。誰でも乗れますよ(笑い)。イクイノックスは改めてすごかった。すごくいい競馬をしてくれたことを、うれしく思います」

(木村哲也調教師)
「今日は健康状態を保って、競馬場に来られたと思います。スタートからアグレッシブな気持ちで出て行ってくれました。(道中は)イクイノックス自身のフットワークが安定していると思いました。(ゴールの時は)いろいろな感情が入り混じっていましたが、解放されたな、というのが正直な気持ちかなと思います。(GI連勝が続いて)重圧、プレッシャーは一戦ごとに強くなっていましたが、今回はここまでくるか、というくらい、個人的にはプレッシャーを感じていました。(インタビューで)ルメールさんが仰った乗りやすさ、という部分で言うならば、非常にフットワークのバランスが良いのだと思います。イクイノックス自身が生まれ持っている体格、爪の形、骨格、すべてがパーフェクトバランスの馬だと思っています。それと生まれ持っている筋肉の奇跡的な組み合わせが、彼の優れたバランスを生んでいて、厩舎としてはそのバランスを整えることを重視しています。そういう意味では、厩舎で取り組んでいること、イクイノックスが生まれ持っているものが、手前味噌もありますが、それらが組み合わされてルメールさんにとっての乗りやすさを生んでいると思います。今日もファンの皆さんに応援していただいて、こうやって勝利することができました。月並みな言い方になるかもしれませんが、ファンの皆さんの声援がイクイノックスの背中を押し、私やスタッフを前向きな気持ちにさせてくれる、勇気を与えてくれていると思います。本当にありがとうございました」

リバティアイランド 2着

【決め手】直線勝ち馬の加速の違いで突き放される・内枠、斤量生かし切る

まずまずの好発から早々に外目と張るようにして包まれないよにして、1角までに好位内目を確保。道中は前にイクイノックス(1着)を見るような感じで好位内目(中団前目のイン)を追走も、終始外からスターズオンアースを被される様な感じ。そのまま3~4角を中団馬群の前目のインに閉じ込められるような格好から4角出口で動き出して直線へ。直線も勝ち馬の直後を取って追いかけるような感じで伸びを見せるが若干ジリっぽい感じを見せ、その間に勝ち馬に突き放される様な形。それでも半ば以降でエンジンが掛かってグイっと伸びると外にいたスターズオンアース(3着)を振り切り、更に内にたタイトルホルダー(5着)を交わして3番手浮上。更に最後1F地点で大逃げのパンサラッサを捉えて2番手浮上。その後も先に抜け出した勝ち馬を追いかけたものの、差は殆ど縮まらない感じで結局4馬身差の2着まで。

好位~中団前目である程度上手く運びながらも、直線では勝ち馬の加速力を含めた後半要素に完敗という2着。ただ発馬直後に外のディープボンドと接触しながらも牽制して好位を確保したり、向こう正面から3~4角にかけてはスターズオンアース(3着)に被され気味の追走になるなど、決してスムーズさあった感じでは無い中で2着に来れたののは評価されていい。馬の適性面で言えば流れる展開(今回はこの馬の位置取り的には平均ややスロー寄りの流れと推定)の中で他馬との違いを作れるタイプなので、2番手が前を追いかける展開の方が向いていたかもしれない。ただどういう形であれ今回は最内枠と54キロの斤量は結構大きく効いたのは事実だろう。まあ勝ち馬(イクイノックス)に対しては4キロもの斤量差がありながらも全く歯が立たなかったが、ドウデュース(4着)、タイトルホルダー(5着)には0.2秒以上の差をつけている事からも、今後も牡馬相手に十分に戦える下地を見せたと思う。

【レース関係者コメント】

(川田将雅騎手)
「全力で挑ませてもらって、素晴らしい走りを見せてくれました。世界一の馬は、さすがに世界一。すごく強かったです。リバティにとって素晴らしい経験ができたので、今後に必ず生きてくると思います」

(中内田充正調教師)
「理想的な流れではありませんでしたが、予想していた展開ではありました。上手に競馬していました。戻ってきて見たら走り切ったという顔をしていました。ほめてあげたいです。イクイノックスはやはり世界一の馬でした。こちらはまだ3歳でこれからです。応援してくださった皆さんに感謝したいと思います」

スターズオンアース 3着

【決め手】大外枠も道中ロスなくスムーズな形・直線で反応の遅れ致命傷

好発から内目の馬の動向を見つつ好位外目を早々に確保。道中は中団前目で内にリバティアイランド(2着)、前にイクイノックス(1着)を見るような格好で追走。3~4角は内にリバティアイランドを閉じ込めるようにして前との差を詰めて、4角の出口で動いて直線へ。直線は前のイクイノックスを目掛けて行くも、加速の違いを作られて逆に突き放されてしまう形に。その間に内に閉じ込めたリバティアイランドにも前にいかれてしまう。それでも半ば以降から伸びを見せ始めると、最後1Fでしぶとく伸びきる形で3番手浮上。ゴール前で外から来たドウデュース(4着)の追撃を振り切ったものの、前の馬を捉えるには至らずに3着まで。

懸念された大外枠も1角までにスムーズに好位を確保できたし、道中ものロスも殆ど無い状態での追走できたのは幸い。向こう正面から3~4角でも人気の一角であったリバティアイランドを内に閉じ込める事に成功するなど、かなり噛み合ったレース運びだったと思う。しかしながら直線で追い出されてからの反応という懸念材料がモロに出る感じで、直線序盤で勝ち馬(イクイノックス)どころか内に閉じ込めることが出来た2着馬(リバティアイランド)にまで抜け出されたのが痛恨。最後も多少詰め寄った感はあるものの、やはり直線半ばでの反応と加速力の差が大きく出た内容になると思う。ただ天皇賞秋の前に一頓挫合った中で仕上げに苦労した感じはあるし、イクイノックスには完敗の内容でも2キロ斤量が軽かったリバティアイランドには0.1秒差(1馬身)だった事を考えると決して悪い内容ではない。イクイノックス以外の牡馬を完全に封じた訳だし、これで戦前は5人気だから評価が低すぎたと見ていいだろう。

【レース関係者コメント】

(W.ビュイック騎手)
「素晴らしい馬です。トレセンで乗った時に強いと思っていました。スタートが良く、スムーズにいい位置で競馬ができて最後も反応してくれました。自分にとってもいい経験になりました」
(高柳瑞樹調教師)
「脚を使っているし伸びてはいるんだけどね。レースの内容としては良かった」

ドウデュース 4着

【決め手】中団待機も道中若干掛かり気味・道中脚を貯め切れずの感?

発馬五分で早々に内に潜り込む形で中団内目を追走も、前半は若干ではあるが掛かり気味。向こう正面で何とか折り合いをつけて中団内目を追走で、3~4角をそのまま内々を回して4角過ぎで動いて直線へ。直線は序盤で外目持ち出して追い出しを開始。半ばでグイっとひと伸びを見せて最後1Fも外から脚を伸ばす形を見せたが、最後は若干脚色も鈍り気味。結局最後は3着馬に少し詰め寄る程度で4着まで。

道中は上手く中団の内目で運ぶという理想の形になったと思うのだが、なにせ今回も若干掛かり気味での追走で後半要素を出し切れたかどうかは微妙なラインになる。レース運び自体はある程度噛み合っているのだが、それにしても最後1Fで伸びあぐねる感じを見せたように道中脚を貯め切れなかったのが影響していると思う。これが展開的な問題なのか、はたまたこの馬自身の位置取りの問題なのか…いずれにせよ現実的な問題として道中力んで走っているのは見えているので、この辺りが影響して脚が貯まり切らなかったような印象を受ける。まぁこの馬の後半要素をフルに発揮したとしても勝ち馬(イクイノックス)を捉えきれたかどうかは懐疑的ではあるが、真面なら2.3着の牝馬を捉えきれてもおかしくは無かったと思う。まあ主戦の武豊が乗れなかったというのは大きな要素なのだろうが、天皇賞秋から何らかの要素が微妙にズレ始めたような気はする。

【レース関係者コメント】

(戸崎圭太騎手)
「前走より気負っていないし、状態は上向いていました。道中もいいポジションを取れたし、改めて力があるなと感じました」
(友道康夫調教師)
「少し噛むところはありましたが、力は見せてくれた」

タイトルホルダー 5着

【決め手】2番手追走もみすみす後半勝負の形を許容?・後半要素で見劣り

若干ではあるが出負け気味の発馬も推して押して前に行く形。しかし外から来たパンサラッサに譲って2番手追走の形を取る。道中は前で飛ばして行くパンサラッサを尻目に自身は離れた2番手で中団馬群を引っ張る形。3~4角でようやくジワッと動き出して行って、直線入口で仕掛けて直線序盤で後続を突き放す得意パターンに持ち込む。しかし直線序盤で勝ち馬(イクイノックス)に喰いつかれ、半ばでアッサリと交わされて3番手後退。それでも直線しぶとく伸び続けたが、半ばで2着馬(リバティアイランド)、最後1F過ぎで3着馬(スターズオンアース)に交わされると自身の脚も流石に鈍り始める感じ。それでも最後までしぶとく粘って掲示板は確保した。

逃げるパンサラッサを離れた2番手で追走の形なのだが、この馬の位置でも前半の通過タイムは推定で59秒半ば台から59秒台後半になると思われる。まぁ例年にジャパンカップと比べても速い流れの部類にはなるが、そこまで目立つ速さでも無い流れ。それでも60秒を切るタイムだったと想定しても平均ペース寄りだった訳で、そうなると当然後半要素の勝負となるからその中でキレ負け、後半要素で見劣りという形になると思う。まぁこの形でも直線序盤の加速で他馬を引き離して…というプランだったと思うが、強敵イクイノックスが直後の3番手追走という形だったのでこの時点で勝機はほぼ無かったと思われる。まあこの形でも2.3着はあると見たのだろうが、高いレベルの後半SP持続力を引き出せたことが無い馬であり、2番手追走でこの展開を許容した時点で終わっていたのかもしれない。

【レース関係者コメント】

(横山和生騎手)
「よく頑張ってくれました。返し馬でもこの馬なりにいい雰囲気が戻ってきて、道中もいいリズムで運べました。最後は瞬発力のある馬にこられましたが、その中でもいい雰囲気に戻ってきていると感じました。今後も期待したいです」

ダノンベルーガ 6着

【決め手】4角で動く、直線大外・直線伸びきれず・後半要素で見劣り
【レース関係者コメント】
(J.モレイラ騎手)

「このレースに参加できて感謝します。想像していたポジションでリズムも良かったですし、最後まで脚をしっかり使ってくれました」

ヴェラアズール 7着

【決め手】後方待機策・直線最内から伸びるも・位置取り後ろ過ぎ?
【レース関係者コメント】
(H.ドイル騎手)

「スタートが遅く後ろからになりましたが、体調が良くて残り800メートルで自分から進んで脚を使ってくれました。ペースが速いとついていくのが大変でしたね。理想は昨年のようなスローで馬群が密集した形だと思います」

スタッドリー 8着

【決め手】中団中目追走・直線中目から伸びるも、最後1F脚止まる・距離?
【レース関係者コメント】
(T.マーカンド騎手)

「すごくよく頑張ってくれたけど、周りの馬があまりに速すぎました。真面目なので距離はあと400メートルくらい短くてもいいと思います」

ディープボンド 10着

【決め手】4角で動く・直線キレ負け・位置取り?加速力で見劣りの感
【レース関係者コメント】
(和田竜二騎手)

「スタートが良かったし、取れるだけの位置は取れました。よどみなく流れたぶん、仕掛けながらの追走になり脚がたまらなかったですね。最後まで脚は使っていますが、分が悪かったです」

パンサラッサ 12着

【決め手】大逃げHペース演出・直線半ば脚止まる・前半で消耗、距離?
【レース関係者コメント】
(吉田豊騎手)

「返し馬はすごく良く、休み明けでフレッシュで馬はやる気満々でした。追わずとも前に行けたし『もう少し折り合えー』と思っていた。向正面で手前を替えたらまたいった。最後も手前をかえたら頑張った。最後の1ハロンは止まったけど、すごい馬」

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