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京王杯2歳S 2023 回顧(1~5着まで)


【レース展開】

M(ミドル)平均型 SP持続型 34.2-34.9
12.3-10.6-11.3-11.5-11.6-11.8-11.5

平均ペースのSP持続力の展開。ただ前半は34.2秒とかなり速いがこれは逃げたジャスパーノワールが単騎の形になった為。それでも前目で運んだ馬は平均寄りの流れになっている事が想定され、この流れを中団後方でタメが効いた馬が上位を占めた印象。

コラソンビート 1着

【決め手】直線での加速力で他馬との違いを見せる・後半要素で圧倒した感

発馬自体も甘かったが発馬直後に隣の馬に寄られて序盤は後方からの競馬になるも、すぐにリカバーが効いて中団外目の位置を追走。道中はそのまま中団外目で流れに乗って、4角で外目からジワッと進出の構えを見せつつ直線入口で外へと誘導されて直線に向く。直線序盤で更に外へと誘導しつつ持ったままの手応えでスッと伸びを見せ、半ばでようやく追い出しを開始。追われてからグンと加速を見せて一気に3馬番手付近まで上がってくると、最後1Fで更にグングンと加速してゴール前で先に抜け出していた3着馬(オーキッドロマンス)を捉えきってゴール。勝ち時計は1.20.6のレースレコードだった。

少し出負けもあったし序盤で後手を踏んだ感はあったものの、リカバーが効いたし平均ペースの中でシッカリと脚を貯めて後半要素を引き出してきた感じ。特に直線半ば以降の加速の良さと最後まで伸びきれる持続力を見せていて、後半要素はかなり高いなという印象を受けた。レコードタイムが出たように時計面も優秀だし、戦績を見ても平均からややハイペースよりの流れでもやれている点は大きいと思う。当然マイル路線で有力の一頭になると思うが、後は右回りへの対応とスローの流れでの瞬発力勝負寄りになった時にキレ負けしないかどうかが今後に向けての鍵になりそう。

【レース関係者コメント】
横山武史騎手)
「想像していた以上にいい脚を使ってくれた。思っていた以上にペースも速く、うまく折り合えて、しまいにかけるだけになりました。(過去2戦騎乗の戸崎)圭太さんがこの馬に競馬を教えてくださっていたので、脚を使ってくれると信じていました。前の馬は気にならなかったです。新馬に乗せてもらったけど、そのときから真面目で癖がないですね。距離は1ハロン延びても問題ないと思います」

(加藤士津八調教師)
「強かったですね。ビックリするくらい強い。まだまだ馬は幼いけど、あれだけ動けるし楽しみです。(1週前の追い切りで猛時計だったが)影響なくノーダメージでした。獣医さんに『本当に追い切りやったんですか?』と聞かれるくらいで、この馬やばいなと思いました。1600メートルまでは守備範囲だと思います。次走は多分(阪神)JFになると思います。(自身の重賞初制覇に)1日中、これのことで頭がいっぱいでした。色々、上の空でしたね。直線では調教師になって一番大きな声を出しました。さらにプレッシャーもかかるでしょうが、どれだけ平常心で仕事ができるかが大事になってきます。厩舎のスタッフは何も言わなくても考えてちゃんとやってくれるし、厩舎力が高いです」

ロジリオン 2着

【決め手】直線進路取り噛み合わずもG前猛追見せ・後半要素で違い見せる

好発も序盤から少し控える感じを見せて中団内目の位置取り。3角までにさらに位置取りを下げて中団後方内目で3~4角を回ってきて、直線序盤で仕掛けの態勢に入る。しかし序盤で思うような進路を確保できずに、少し追い出しを待つ形。徐々に外目に誘導するもそこでも前が壁になって、半ばにかけて更に大外へと誘導。半ばを過ぎてようやく追い出しの態勢に入って伸びを見せたものの、すでに最後1F地点を通過。しかしここから大外から一気に伸びを見せて、ゴール前で勝ち馬に肉薄したがクビ差及ばずの2着まで。

直線の仕掛け処と進路取りが噛み合わなかったのが明らかなレース。追い出しの態勢に入って伸びを見せた時点ですでに残り200m地点であり、そこから物凄い脚色で前に迫っていて結果的にクビ差惜敗だから、直線の進路取りであとほんの少し噛み合っていれば…という感じの内容になった。まぁ好発を切りながらも控えて道中しっかりと貯める形で後半要素を引き出したし、前走の感じからは時計面の対応に?がついていたものの、レコードタイムに0.1秒差と時計面での進境を見せるなど、収穫の多い内容になったと思う。ただ今後に向けての視点となると、右回りの対応とスローの流れの加速勝負の中で極端に速いラップに対応できるかがポイントになりそう。

【レース関係者コメント】
(北村宏司騎手)
「あの差(首)だけに悔しいです。よく伸びてくれました。ゲートは落ち着いていたし、しまいに脚を使えてレスポンスが良くなり、少しずつ良くなっています」

オーキッドロマンス 3着

【決め手】好位追走から直線しぶとく粘り込む・G前で後続馬の強襲に屈す

好発を切ってそのままハナに立つ展開も、外から来たジャスパーノワールに譲って2番手追走の形。3角から前が単騎逃げの格好になって離れた2番手追走のまま3~4角を回って直線へ。直線序盤まで持ったままの手応えでジワッと前との差を詰めてきて、半ばで満を持して追い出しを開始。追われてからスッと伸びを見せて最後1F地点で先頭に立つとそのまま押し切り態勢に入る。しかし残り100mから外から勝ち馬の追撃に遭ってゴール前で2番手に下がるが、同時にさらに外から来た2着馬にも交わされて3着惜敗。

平均ペースを2番手追走の形から直線半ばで一瞬の加速を引き出したものの、最後1Fで後続の追撃を凌ぎ切れず…という形でクビ+ハナ差の3着。展開的には単騎逃げの離れた2番手追走という形だが、この馬の位置でも前半は速い流れになったはずだし、その中で最後までよくしぶとく伸びきった内容。上位2頭相手には後半要素で見劣る形にはなるが、前半要素の強みを生かし切った事と前後半のバランスを上手く取れたのが好走の要因だろう。今回で速い時計にも対応出来るところを見せたし、東京の長い直線でしぶとく脚を使えた意味は今後大きな意味を持つかもしれない。

【レース関係者コメント】
(内田博幸騎手)
「この馬のスピードを生かしながら番手でためて、後ろに脚を使わせるような競馬ができました。1400メートルもこなしてくれたし、今後につながると思います」


バンドシェル 4着

【決め手】好位追走も直線で他馬との違いを作れず・0.6秒差で上位馬に完敗

出負けも行き脚がつく感じでリカバーが効いて好位内目追走の形。3~4角を内々を回って馬なりで直線へ。直線序盤で徐々に中目から外目へと誘導されて、半ばで追い出しを開始。追われてから他馬と明確な違いを作れないものの、ジリジリながらも確実に伸びを見せる。最後1Fもジリジリとした伸び脚は変わらないが、他馬が苦しくなって後退していく中でしぶとく伸びきって4着を確保。

好位追走から直線しぶとく伸びる形だが、上位馬ほどの後半要素を引き出せずに0.6秒差の4着。平均ペースの流れにのって後半要素を引き出せなかった…という見方も出来るし、レコードタイムでの決着の中でスピード面で見劣ったという見方も出来なくもない。ただ現状では0.6秒差は明確に力負けという内容であり、重賞レベルでの戦いとなるとレベルアップが必要になると思う。

【レース関係者コメント】
(菅原明良騎手)
「中間にゲートをしばった効果で落ち着いて出られたのは良かった。ただ、ゲートを出てからハミを取っていったし、イレ込みも激しかった。もう少し落ち着きがほしいですね」


ミルテンベルク 5着

【決め手】道中掛かり気味直線伸びきれず・前半消耗?、距離?、左回り?

発馬五分から他馬の動向を見つつ中団外目を追走も、ちょっと掛かり気味で少し折り合いに苦労した感じでの追走。3~4角は外目を馬なりで回ってくると、直線序盤で外目に出してジワッと前に接近。半ばで追われると一瞬だけ伸び掛けたが、半ば以降の伸びは他馬と同じ脚色に。最後1Fは明確に脚色が鈍って上位馬との差は開く一方になって0.7秒差の5着。

道中は力んでの追走なのでその辺りで結構消耗したかな?というのはあるし、最後1Fで明確に止まっている事からも距離的な要素もあったと思う。また左回りの適性面、時計面での対応などちょっと考えられる敗因は多いかもしれない。ただ0.7秒という差は大きく、この世代の重賞戦線ではそこまで高いレベルには無いのかもしれない。

【レース関係者コメント】
(J.モレイラ騎手)
「まだ馬が若く、テンションが上がったぶん、レース前にエネルギーを使ってしまった。メンタルが幼いが、使っていきながら安定して力を出せるようになれば」

アスクワンタイム 10着(3人気)

【決め手】中団後方追走も後半要素引き出せず・距離?時計面?力負けの感

出負けもあって中団後方を追走。道中は終始中団後方の外を追走の形から、4角過ぎで動いて行って直線序盤で外目へ持ち出して追い出しを開始。しかし追われてからの伸びが平凡で他馬との違いを作れず。最後1Fでは余力が無いのか鞍上も大して追わずでゴール。

出負けという要素はあったが中団後方で脚を貯める形であったが、直線殆ど良い所なしという感じで後半要素を全く引き出せなかった印象。ちょっと外を回る展開になったので距離的な要素もあると思うが、状態面や時計面で厳しかったような感じはする。小倉2歳SではSP持続力の高さを見せる内容だったが、同2着のミルテンベルクも0.7秒差の完敗だったように、ちょっとレースレベルの問題も浮上してきた形になると思う。

【レース関係者コメント】

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