チャンピオンズカップ　2023　回顧

【レース展開】

Ｍ（ミドル）平均型　持続力・瞬発型　48.8-49.7
12.5-11.0-12.9-12.4-12.1-12.4-12.6-12.1-12.6

ハイペースよりの平均ペースでの持続力勝負の展開。12秒台前半から半ばの持続ラップで3～4角で僅かに緩んで、直線序盤から半ばで加速を問われる形。先行馬が多数揃っていたが、結局はほぼ例年通りのラップ推移となった印象。

レモンポップ　1着

【決め手】大外枠も主導権握って自分の形・同型先行馬とは地力の違い見せ

出負け気味も押してハナを取りに行って比較的スムーズに1角までにハナを取り切ることに成功。2角で少しペースを緩めると、そのまま平均持続ラップを演出してレースを引っ張る形。3～4角も少し緩める形で内々を馬なりで回ってきて、直線序盤で仕掛けてると半ばにかけて加速を見せて後続を突き放す形に持ち込む。最後１Ｆもそのまましぶとく伸び続けて、ゴール直前で後方待機の2着馬（ウィルソンテソーロ）に迫られるも、余裕のリードを保っていてこれを1馬身1/4差退けての快勝。

序盤で思い切って出していく事で二の足も効いたし、比較的楽な形でハナを取り切れたのが大きい。大外枠という条件でもあったし、中途半端な位置で回ってくるのを嫌ったと思われるが、この序盤の思い切りの良さで他の先行馬が少し控えた感じ。また主導権を握る事で自分の思い通りのレースを作る事が出来て、最終的には直線の最加速戦に持ち込んで先行機動力型の強みを生かし切れた感じ。もちろん他馬以上に序盤で脚を使う事になっていて、その中で最後まで伸び切れた事で力の違いを見せつけた格好になるし、また懸念された1周コースや1800ｍへの距離にも対応するなど一気に進境を見せた形になる。

【レース関係者コメント】

（坂井瑠星騎手） 「この馬のリズムが大切と考えていました。ゲートが速かったので逃げるという選択をしました。道中は距離ロス無く運んで行きたかったので、ラチ沿いを通りました。なんとか我慢をしてくれました。最後はこの馬としては、止まった感じでした。距離はギリギリでしたが、能力の高さでこなしてくれました。距離、枠、明らかに不利な状況でしたがこの馬には関係ありませんでした。素晴らしい能力を持った馬です。馬が強かった、その一言に尽きます。今回初めてツーターンの競馬、それに1800mをこなしてくれました。今後が楽しみになる内容だったと思います」

ウィルソンテソーロ　2着

【決め手】出負け、後方待機策から直線で猛追・後半型の競馬で開花？

出負けに加えて二の足も効かずで序盤は後方内目からの競馬。道中は終始後方内目を追走して、3～4角も内々を回る形になって4角で内目から動き出して直線入口で外へと誘導。序盤でさらに大外へと持ち出して半ばで追い出しを開始。追い出されてからグンと伸びを見せて最後１Ｆにかけて豪快な伸びを見せて前を猛追。内目で粘り込みを図る先行馬を外から一気に交わし切って、さらに前へと迫るとゴール直前で2着に浮上した。

出負けの要素も大きかったと思うので後方待機策が意図的な物かどうかは分からないが、結果的に道中貯め切る事で後半要素を目一杯引き出す形で2着に好走。展開的やコース取り的にはある程度嵌った感はあるものの、上り３Ｆは36.6秒と破格の時計でもあるし、何と言っても後方で貯めたから…と言っても普通はここまでの末脚を引き出すことは出来ないはず。最後の脚色を見てももう少し噛み合う要素があれば、差し切れたかも？と思えるだけの内容を見せた意味は大きい。ここに来て後半型の競馬で一気に進境を見せた事は確実に今後に繋がると思う。

【レース関係者コメント】

（原優介騎手） 「スタートでの態勢が悪く出遅れてしまい、差すしかないと切り替えました。展開的に馬場傾向と噛み合っていましたが、出して行くのにモタついてしまいました。差せる脚はありましたが、惜しいところで逃げ切られてしまいました」

ドゥラエレーデ　3着

【決め手】好位追走から直線しぶとさ発揮・勝ち馬に完敗もダートにメド

発馬五分から押してある程度前に行く構えを見せつつ好位外目の位置を確保。道中は逃げる勝ち馬（レモンポップ）を見るように2番手を追走して終始スムーズな競馬。3～4角も勝ち馬を見るように進めて、4角でジワッと動き出して行って直線入口で仕掛けつつ直線へ。直線は序盤で追われて前を捉まえに行くが、前の勝ち馬には少し突き放され気味。最後１Ｆでは少し脚色の鈍りが見せたが何としぶとく伸びたが、今度は内からジリっと伸びて来た4着馬（テーオーケインズ）と併せ馬状態に。それでもゴール前で僅かに前に出ることが出来て2着を確保したかに見えたが、今度は外から飛んで来た2着馬（ウィルソンテソーロ）に並ぶ間もなく交わされて3着まで。

ここもある程度前に行く形の競馬だったが、勝ち馬とはちょっと地力の差を感じずにはいられない内容。他の同型との比較で見ても早い段階で好位を確保できた意味は大きかったし、3～4角も内々を回ってコースロスを防ぐ形になったのも効いたと思う。ただ直線は再加速となった地点で勝ち馬（レモンポップ）に引き離されているし、最後も少し甘くなる感じを見せているのでやはり持続力の面でも少し足りなかった形になる。まあこれはあくまでも勝ち馬との比較であり、同型のテーオーケインズ（4着）以下に対しては競り勝った内容になっている点は一定の評価が必要になる。平均ペースの持続ラップの中で先行して厳しいレースになったし、その中で0.3秒差の3着という結果そのものは今後ダート路線でやっていけるメドは十分につけたと見ていいだろう。

【レース関係者コメント】

（Ｂ．ムルザバエフ騎手） 「気性の成長が感じられましたし、以前に乗ったイメージで競馬をしました。最後はテーオーケインズが来てまたファイトしてくれました。ダートは問題ないですし、サウジアラビアやドバイのダートも合うと思います。まだ3歳なので未来がいっぱいあります」

テーオーケインズ　4着

【決め手】終始内々立ち回るも後半要素で若干見劣り・全盛期の勢い無く？

まずまずの好発の部類からスッと前に行って楽に好位内目を確保。道中は終始好位内目を回る形で、3～4角もそのまま内を回って4角でしワッと仕掛けにって直線入口で仕掛けて直線は最内を衝く形。直線序盤から半ばで思ったほどの加速を引き出せずに、前の勝ち馬（レモンポップ）、3着の（ドゥラエレーデ）に対して若干突き放される感じ。それでも最後１Ｆで最内からしぶとく粘りを見せて、一時は3着馬を差し返す勢いで内から挽回を見せたが、ゴール直前で少し甘くなて3着馬に前に出られて結局は4着まで。

序盤の運びもスムーズだったし、3～4角は内々を回ってコースロスの無い形などほぼ理想に近い競馬。しかし直線序盤から半ばで思ったほどの加速を引き出せず、最後１Ｆもゴール前で少し甘くなる感じを見せている。コースロスが殆ど無い状態でこの感じだからちょっと全盛期からは少し落ちているのかな…という感じになってしまうと思う。得意の高速ダートであればもう少し違った内容と結果になった可能性はあるも、現状力の要るダートでは少し割り引きが必要になってくるかもしれない。まああくまでもＧ１などの高いレベルでの話ではあるが…。

【レース関係者コメント】

（松山弘平騎手） 「枠が良かったですし、スタートも上手に出てくれました。勝ち馬の後ろの2列目で、ケインズが得意とするパターンでした。道中の雰囲気も良く、すごく良い形でした。最後は苦しくなりましたが、精一杯走ってくれました。勝てなくて悔しいですが、馬は良い競馬をしてくれました」

メイショウハリオ　5着

【決め手】中団後方から終始内々立ち回ってバテ差しの形・上位馬に完敗

発馬五分から促していくも行き脚がつかずに中団後方の内目の位置取り。道中は中団後方内目の位置を追走だがちょっと常に押っ付け気味。3～4角はそのまま内目を回して4角で動き出して直線も内目を衝く構え。直線は追われてから直線序盤から半ばでの伸びに目立ったものが無かったが、ジリジリながらも確実に伸びる感じで直線半ばで最内から4.5番手の一角に浮上。最後１Ｆも最内からしぶとく伸びたが、前を捉え生きるほどの勢いは無かったものの、中目から追い上げて来た馬の追撃を封じて何とか5着を確保した。

中団後方のインを追走で終始内々を立ち回る形で、直線も最内を通ってジリジリながらも伸びきる事で掲示板を確保できた内容。同じ後方待機でも2着馬（ウィルソンテソーロ）の末脚を引き出せなかったし、平均持続ラップの中で先行馬が苦しくなったバテ差しの形での5着という所。5着と言えど勝ち馬には0.7秒差で3.4着馬に対しても0.4秒差と差をつけられた内容であり、しかも最内を回る形での競馬なのでそこまで高い評価は出来ない感じ。

【レース関係者コメント】

（浜中俊騎手） 「伸びてはいますが、勝った馬の総合力が高かったです。ハリオも年齢的なズブさが出てきています。道中は進まなさすぎました。それでもよく来ています」

ハギノアレグリアス　6着

【決め手】中団外目追走・3～4角外回す・直線ジリ伸び差し届かず
【レース関係者コメント】
（岩田望来騎手） 「しっかりとゲートを出てくれました。そのままのポジションで競馬ができて、クラウンプライドを見ながら進めました。ラストは外を回った分があって、前が有利な展開もありましたが、よく頑張っています」

メイクアリープ　7着

【決め手】中団内目追走・3～4角内通す・直線ジリ伸び差し届かず

ノットゥルノ　8着

【決め手】発馬後躓き、中団後方追走・直線伸びきれず・後半要素に？
【レース関係者コメント】
（松若風馬騎手） 「前で競馬をしたかったのですが、ゲートで滑らせてしまいました。それでも最後まで脚を使って、踏ん張ってくれました」

アーテルアストレア　9着

【決め手】下げて後方待機策・4角外回る・直線伸びきれず、後半要素？
【レース関係者コメント】
（横山武史騎手） 「変にポジションを決めないでリズム重視であのポジションになりました。4コーナーでスムーズに捌けましたし、直線では夢を見ましたが、前が止まりませんでした。それでもよく伸びていました」

セラフィックコール　10着（2人気）

【決め手】出負け、最後方から4角大外ブン回し・前半要素の低さ致命傷

やや出負け気味も序盤は慌てず騒がず最後方からの競馬。道中は最後方の位置から進めて3角手前からジワッと動き出して、外を回す形で進出を開始。3～4角はそのまま外々を回す形で4角で大外をブン回す形で直線も大外へ。直線は序盤で少し伸び掛けたように見えたが、半ば以降の加速で他馬との違いを作り切れずに後方のまま。最後１Ｆも鞍上にしては珍しく最後まで追っていたが終始伸びきれずの感。ゴール前では流石に鞍上も諦めてそのまま10着でゴール。

出負けという要素もあったが初っ端から後方対策を視野に入れていた感じで、序盤で無理をせず後方からの競馬。しかし3～4角を外々を回す形になったししかも4角では大外ブン回しで直線に向いたが加速らしい加速を殆ど引き出せないまま終了。中京コースで3～4角で動いて行くのは流石に無謀に見えたし、それでもそうせざるを得ない位置取りで合ったのも事実。出負けを含む前半要素の低さが致命傷になったと見ていいだろう。

【レース関係者コメント】

（Ｍ．デムーロ騎手） 「スタートはいつも通りゆっくりでした。枠の関係で1、2コーナーでは外を回りましたが向正面では良い感じでした。3、4コーナーでは馬なりで上がって、本当に良い手応えでした。しかし、直線に向いて思ったより伸びませんでした。外を回った分でしょうか」

クラウンプライド　11着（3人気）

【決め手】好位外目追走も外々回る展開で消耗？・夏負けの影響が残る？

発馬五分も序盤で大して前に行く構えを見せずに中団前目の外という位置取り。道中は終始中団前目の外から好位外目の位置を追走して、3～4角も外を回る形になりつつも馬なりの手応えで回って来て直線入口で少し仕掛けて直線は中目へ。直線半ばで満を持して追われるも明らかに伸びを欠く感じで、最後１Ｆ地点からはジリっと後退。最後１Ｆはもう諦めて流すようにしてゴールしており、結局は1.4秒差の11着大敗となった。

終始外々を回る形になって苦しくなったのは分かるが、それにしても直線は伸びどころか粘りすらも発揮できずでズルズル後退して14着大敗。持続力でここまで大きく見劣る形になったのは意外だし、道中の運びもそこまで無理をした感じが無いので普通に前半で消耗しただけの感じとは見受けられない印象。前走後は夏負けもあって放牧していたとの事なので、ちょっと体調面などの問題の可能性も見たいところ。

【レース関係者コメント】

（川田将雅騎手） 「パドックを出てから後ろ向きな瞬間が多かったです。いつもと全く違う競馬になってしまいました。気持ちが入らない中、レースが終わってしまいました」

ケイアイシェルビー　12着

【決め手】押して好位追走・直線半ば一杯、後退・前半で消耗大、時計？
【レース関係者コメント】
（藤懸貴志騎手） 「G1で亀田オーナー、平田調教師の馬で挑めたことがすごく嬉しかったです。調教からしっかりやっていて、出るからには悔いのない競馬をしたいと思いました。思い描いていた競馬ができましたが、同じような位置どりから運んだ馬が頑張っているので力の差は感じました。また改めて力を付けて頑張りたいです」

グロリアムンディ　13着

【決め手】中団外目追走・直線半ばで脚色鈍る、ヤメ・後半要素見劣り
【レース関係者コメント】
（Ｃ．ルメール騎手） 「良いポジションで競馬ができましたが、3、4コーナーでは手応えがありませんでした。バテてしまいました」

アイコンテーラー　14着

【決め手】中団外目追走、前半押っ付け通し・3～4角外回る・直線余力ナシ
【レース関係者コメント】
（Ｊ．モレイラ騎手） 「ダートを使ってから初めて砂を被る経験をして、それに抵抗がありました。ビックリしてリズムが狂ってしまい、やる気がなくなってしまいました。残念ながらベストを出せませんでした」

ジオグリフ　15着

【決め手】好位中目追走・直線半ばで余力ナシ・砂被って？ダート適性に？