人気の記事一覧

エントロピー

1年前

父からはよく原爆の話を聞く。いくつも山を越えた40〜50キロ離れた山村にもその閃光は届きあたりの影を一瞬のうちに真っ白に消した。子どもだった父はとっさに「セミの祟りだ!」と叫んで採った蝉を全部放ったという。暗い炊事場で竈の火を起こそうと背を向けていた祖母はあまりの光に腰を抜かした

2か月前