松村夢舎

お題拝借:② 鍵

親父が一昨日亡くなった。
入院していた病院で、僕は看護師から親父の形見だという鍵を受け取った。
少し小ぶりなので、それはママが遺してくれた鍵付き日記帳の鍵だと
直感した。

病院から帰宅し、ママの日記帳を机の抽斗から、久しぶりに取り出した。
赤い皮の表紙で、厚くてずしりと持ち重りのする、時代がかった日記帳だ。
真ん中より少し下に美しいレリーフの施された金属製の帯がぐるりと
巻かれ右のほうに鍵穴があ

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不思議ゾーンにようこそ!スキありがとうございます💕
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お題拝借:① 工場

前回の投稿から1年近く間が空いてしまいました。
お久しぶりです。

「新・松村塾」というnote内サークルからスピンオフした
サークル「前世物語を作ろう」で、主宰のえりさんからお題を
いただいて作ったショートショートに、加筆修正したものを
こちらへ転載させていただきました。

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修理?
そこに置いといてよ。
どこで俺の工場を知ったの?
大きな工場に集まった人

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あなたの「スキ」にはげまされました💕
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このサークルでやりたいこと。

夢見のお作法(夢の報告)プランでやりたいことは、自分の見た夢を報告する、又は、誰かに読んでもらうことです。

誰でもキョーレツに印象に残る夢を見たことがあると思います。

それは、大好きな芸能人とデートして、とてもとても幸せな気分になるようなものだったり、いきなり家が爆撃されて生き残ったのは自分だけというような、とてもとても恐ろしいものだったり、虫が大量発生するようなおぞましい夢だったり、たくさん

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こんなわたしに、ありがとう。
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はじめましてさんも、おなじみさんも、よろしくお願いします。

昭和の後半、昭和の日の夜中、瀬戸内海近くの片田舎に生まれました。そのためか、書く文章も昭和っぽいとよく言われます。

昔から、暗闇が怖くて田舎の夜道は恐怖以外の何物でもありませんでした。

ハタチまでに幽霊を見なければ、一生見ないらしい。という誰かの言葉を頑なに信じ、怪しい気配は全てなかったことにしてずっと目をつむって生きていた青春期。

めでたく幽霊との遭遇もなく、ハタチを超えてからは都会に出向

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ありがとうございます!吠えないで~!
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異界へようこそースクランブル交差点

地下鉄の表参道駅で電車を乗り換えたら、魔女風に目の周り黒くし、赤い口紅も毒々しく、青白く厚塗りした女が車両に乗ってきた。尖がった黒い帽子、黒マント姿の子どもも連れている。
ひどく禍々しい風体だというのに、乗客は誰も気にしていないといった様子で、知らん顔を決め込んでいる。
(そうか、今日は10月末でハローウィンだったのだ。渋谷は今の時刻から、ああいった連中で混雑するに違いない)
夕方の時間帯に、渋谷

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あなたの「スキ」にはげまされました💕
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異界へようこそー皿の中

職業を問われると、ツトムは「画家」と答えてきた。

美大卒業後、高名な美術評論家に認められ後押しをされかけたが、運悪く評論家が突然亡くなり、画壇デビューの機会を逸した。
その後、銀座の画廊で個展を何度か開いたことがあったが、それは母親が金銭的に援助してくれたからこその話だ。だから社会的には、自称の範囲を越えないのかもしれない。
母親は夫を早くに亡くしたが、地方都市に文房具も扱う書籍の店を構えて手広

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不思議ゾーンにようこそ!スキありがとうございます💕
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