第四章
End Of A Century
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※本連載は第24回です。最初から読む方はこちら。
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1996年12月13日金曜日夕刻。
師走。クリスマス・シーズン真っ只中の渋谷に降り立つと、スクランブル交差点から見上げた電飾の街そのものがまるでミュージカルの舞台かのように煌めいていた。人混みがエキストラとするならば、今、僕は初めて「東京」というステージの主役になった、
第四章
End Of A Century
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※本連載は第23回です。最初から読む方はこちら。
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1996年8月10日土曜日午後7時。
林ムネマサの自宅、吉祥寺・大盛寺の庭で下北沢ギター・ポップ・シーンのミュージシャンが大集合した真夏のバーベキュー・パーティ。カズロウが出会い頭に不意に告げた STARWAGON 解散のニュースは、僕の心を大きく引っ掻いた。しかし、
第四章
End Of A Century
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※本連載は第22回です。最初から読む方はこちら。
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1996年8月10日土曜日夕刻。
数日前に公表された国民的人気俳優・渥美清さんの訃報は日本中を悲しみに包み込み、ワイドショーは彼が長きに渡って主演を務めた「男はつらいよ」の名シーンで覆い尽くされた。年号は平成に変わってからすでに8年も経過していたが、多くのコメンテーター
第三章
Distortion And Me
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犬を飼った経験のない僕でも「ドッグ・イヤー」という言葉だけは聞いたことがある。確か、大型犬の1年は人間の約7年だから、5歳だと人間に換算すると7をかけて実際は35歳だとか、そういう話。それで言えば、下北沢に来た1995年の春からの僕は、ひと月に何歳分も経験を重ね、視野を広
第三章
Distortion And Me
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1995年11月25日土曜日、夕刻。
僕は、タワーレコード新宿東口店の試聴機前にいた。大展開されていたのは、サニーデイ・サービスが発売したばかりのシングルEP〈恋におちたら〉。この時期には知り合いや先輩たちの CD がレコードショップに並んでいたとしても驚くことはなく
第三章
Distortion And Me
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結局、マイカとほぼ同時のタイミングで完全に酔っ払った古閑さんが Que にいたはずのカズロウと共に「敦煌」にやってきたことで、僕ら3人の「なんでんかんでん」行きは未遂に終わった。何気なくマイカの表情を見ると、小柄な古閑さんが全身から醸し出すバイタリティと陽気なムードを見て
第三章
Distortion And Me
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『ぶーふーうー』のドリンクはジョッキで提供されるので得した気分になるが、クラッシュアイスがたっぷり入っているせいですぐに薄くなった。深夜2時を過ぎると打ち上げを離脱した劇団員やバンドマン、スタッフ、それぞれのファンが始発まで時間を潰すためにバラバラに集まってくる。ふらっと現
第三章
Distortion And Me
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1995年8月5日土曜日に日付は変わって、深夜1時半。
心配そうにマイカを探し、慌てていた様子のモリヘーだったが、下北沢駅南口のマクドナルド前でしばらく辺りを見回した後、観念したかのように、フーッと大きなため息をついた。
「うーん、ごめんね、ゴータ、急に」
「いや
第三章
Distortion And Me
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1995年8月4日金曜日、深夜。
STARWAGON ファースト・フル・アルバム発売記念ライヴは大盛況のうちに幕を閉じた。先ほどまで熱狂に包まれていた下北沢「CLUB Que」は、いつものように早朝まで続く打ち上げ会場へと変わっている。メジャー、インディ、大小様々なレ
第三章
Distortion And Me
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1995年8月4日金曜日。
東京がこの年の最高気温36.3度まで上昇した灼熱の夜。STARWAGON のファースト・フル・アルバム《DISTORTIONS》の発売記念ライヴが、我らがホームグラウンド・下北沢「CLUB Que」で盛大に行われた。「Distortion