木村浩訳『アンナ・カレーリナ』(新潮文庫)。上中下の三巻。下巻の奥付を確かめたら、平成二十一年、五十三刷とあった。驚異的なロングセラーなんですね。
批評や講義は、こうありたい。ナボコフによるレフ・トルストイ論。「アンナ・カレーリナ」を詳細に分析しています。「二組の時間組(タイム・チーム)の間の同時性の絆となるのは、今や相手を持たぬカレーニンである。つねにだか一人が弾き出され、相手を持たぬ存在となるよう運命づけられている」