⑪「実は日帰り入院の検査を泊りと勘違いして病室に入っていて」と恥ずかしそうに探偵は言った。先生ってどうして仕事以外はポンコツなんだろう、と無言になったが、勘違いのおかげでピリカさんと仲良くなれたのよね、最高の8月だったわねーとなごむ2人を見てたら、助手Cも怒る気が失せてしまった。

②「noteですか」と感心すると「彼女すごい人気noterなの。書くだけでなく様々な企画も打ち出して」とスイーツ探偵が自慢した。「先生が自慢しなくても。ところでお2人はどういったお知り合いで？」と訊ねる。「助手Cは知らなかったのよね」とニッコリと探偵が笑い馴れ初めを説明し始めた。

⑤病院って結構ヒマで余計な考えが浮かぶのと言った時、不安が蘇ったのか先生の友人は黙った。当時の不安が蘇ったのだろう。家族の前では平気な顔をしていたんだけど不安は常にあったから会ったばかりのこの人に、いつの間にか心の内を話し始めて。そこはさすが探偵なんだよなと密かに感心する助手C。

①あるエッセイストからお茶に誘われた。「先生、お知り合いなんですか？」「あら？知らなかった？友達なの」ウキウキと歩きながら話すのはスイーツ探偵。彼女の家に到着すると、2人は少女のように抱き合い喜んだ。「私、こういったサイトでエッセイを書いています」と友人から助手Cへ説明があった。

⑩短期間の入院であんなに笑えたことはなかったわ、と友人は涙を拭いながら話し終えた。「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。でも短期間とはいえ、先生との同室は辛かったですね」と助手Cが言うと「迷惑だなんて。第一彼女ったら、医師に食って掛かったその日のうちに退院したんですから」「え？」

⑨まるで転がるかのような慌てぶりに、医師は目を白黒させている。ここで冷静なのは私だけだ、と思った友人はスイーツ探偵に向かって叫んだ。「あなたカヌレお好き？」ビクッとして「好きよ大好き！」とスイーツ探偵が言うと「お見舞いでいただいたものなの」とカヌレの箱を探偵の目の前に差し出した。

⑧やはり、やらかしていたのかとため息をつく助手C。「だって話を聞いていたら私も不安になって」と弁解するスイーツ探偵に「それにしたって荒ぶりすぎじゃないですか。なにやってるんです」と呆れる助手Cであった。「でもそのお陰で私、冷静になれたの」と友人が助け船を出してくれた。優しい人だ。

⑥当時はまだ会社勤めだったし、ワタクシ事で休んでいるという負い目もあって様々な悩みを語ってしまったの。フンフンって聞いてくれるのが嬉しくてそのまま話をしていたら、看護師さんが「回診で～す」って部屋に入って来たのよ。そうしたら今まで優しく耳を傾けていたこの人がねと肩を震わせ始めた。

④婦人科の検査でちょっと引っかかってね、詳しく検査をする必要ができて、と先生が説明をし始めると、友人がブっと吹き出した。「私は本当に婦人科系で問題があったんだけれど……」耐え切れなくなったのだろう。彼女は目に涙を浮かべ腹を抱えゲラゲラと笑い出した。先生、なにをやらかしたんですか！

③「彼女とは入院先で出会ったの」「え？先生、入院されていたんですか？原因は食べ過ぎ？」という助手Cを「失礼ね」と軽くにらむスイーツ探偵。「あら？あなた今も甘いものが好きなの？」「今もじゃなくて、昔も今もずっとよ」と言い、この人とはスイーツ好きがきっかけで仲良くなれたの、と笑った。

⑦先生！私の本当の病名を教えて！手術でもなんでも受けますが、本当のことを知ってから受けたいんですよっ！先生ぃ先生ったらぁ！って部屋に入って来たお医者さんを捕まえて騒ぐのよぉ、肩を震わせるだけでは足りなくなったのだろう。友人は上を向いてゲラゲラ笑いだした。先生、なにやってるんすか。