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ビジネスモデル2.0図鑑 序章を読んで新しい価値の生み出し方を考えてみた

ビジネスモデル2.0図鑑」(著 近藤哲朗)という書籍が刊行されています。既にnoteやtwitterでのビジネスモデル図解の発信を重ねておられ、しばしば参考にしていたのだけども、この度は書籍化でまとまったインプットを得ることができるようになり、ありがたい限りです。さらにありがたいことに全文公開チャレンジも敢行してくださっております。

現在、読み進めているところですが、序章にほぼエッセンスがまとまっており、かつ自分にとって重要な気づきを得た状況なので、一旦noteにまとめてみようと思います。エッセンスというとこの一文にまとまるのかなと思います。

「Social(社会性があるか?)」「Business(経済合理性があるか?)」「Creative(創造性があるか?)」の3つの円が重なる真ん中の事例こそ、これからの時代に生き残るビジネスモデルだ。※一部本文の用語を使い編集

レッドオーシャンな市場に向き合っている開発者にとって、こんな風にも読み替えられるのではないか。

Stage.1「Businessだけ」⇒超短期(まぁ3か月くらいで死ぬ)
Stage.2「BusinessとCreativeの両立」⇒短期
(1年~数年くらいは生き残るか?特許戦略等によってはもう少し延命?)
Stage.3「Social、Business、Creativeの三方よし」⇒中長期
(うまくブランディングにつながればロングランできそう)。

それでStage.1~2で各部門がヒィヒィ行っている状況なのだけども。こんな状況だからこそ、Social(社会性は?)と言われてもピンとこないし、更にはせっかくの「Business」を阻害しちゃう(言い換えると、短期的なP/Lにマイナス影響がある)んじゃないのと指摘をくらいがち。

しかし、本書は「Socialやっぱり大事なんですよ」ってことを、しっかり説明してくれています。単純に言うと、「Socialがないと、今後は機関投資家から大口の投資をもらえなくなりますよ」と言う事です。

具体的な例として、国連がSDGs(持続可能な開発目標)を採択し、世界的な課題を解決するために、民間企業にも協力を仰ぎたい意志を示しています。さらに国連は、投資家に対しESG投資(E=環境、S=社会、G=企業統治)を呼びかけており、投資家がこの3つを考慮できている企業に対し積極的に投資していく流れができつつあります。

日本の年金を100兆円規模で運用している機関投資家GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、2017年からESG投資を運用を始めています。しかし、投資家って売れている会社、売れそうな会社に投資して利回りを確保していくものだと思うのだけど、なぜP/Lが悪化しそう(上記に指摘したように)な会社に投資するのだろう?その理由は、100兆円くらいの運用になると、一社一社の株価の上下などどうでもよくて、それよりも日本経済を揺るがすようなリスクの排除に投資する方が経済合理性があるということなんだそう。

ここまで説明してもらえると、企業人にとって「社会性」に取り組み意義が分かりやすくなってくると思う。つまり、「社会性」に取り組むことは、機関投資家から投資を継続してもらうことにつながるということです。これってB/S改善の視点では、新しいプロダクトを創って新しい純利益を得ることと、同じことになると思います。レッドオーション市場を相手にしている方々にとってはプロダクトの利益率が低い分、社会価値の提供⇒投資継続の方が実質的な財務貢献は大きくなるケースもあるのではないでしょうか。

ただしこの場合に注意すべきは、ESG投資に見合う社会価値の提供ってかなりレベルが高いよねということ。包材削減してCO2排出量が~kg減りましたとか、健康志向性の商材を開発しましたでは全然見合わないでしょう。そうではなくて、温暖化の適応策としてどうインパクトがあるか、傷病の予防にどれだけにつながって、社会保障費がそのくらい削減できるか、と言うようなビッグな社会価値が求められるということになると思います。

そうすると、開発者の基本アプローチ(上記Stage.1~3へ順に進める)も変えないと対応できないかも知れない。Stage.2でようやく成立させたビジネスモデルにSocialを検討すると、どうしてもオマケ的なSocialにならざるを得ず、投資の呼び込みにはつながりそうにもないからです。多分ビジネスモデル創出検討の初期段階で、SocialをESG投資に見合うレベルに引き上げておく必要があると思う。

こんな風に民間企業の一開発者として、序章を読んだだけでも、今後の開発方針の指針を得る機会になった。次章以降のビジネスモデル図解でも多くの気づきを得られるだろう(すでに得てたりもする)。書籍版とweb版があるのだが、書籍を一冊購入して通読しておき、必要な情報を取り出したいときにはweb版で検索して取り出すような使い回しがよさそうと思う。

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