見出し画像

私が村上龍さんにハマったきっかけ

中学生の頃テレビドラマ必殺仕事人が大好きだった。藤田まこと演じる中村主水が最高だった。あと三田村邦彦演じるかんざし職人の秀にハマった。私は暗い孤独な男が大好物。まさに秀は私の理想像だった。高校生になり一人暮らしを始めても三田村邦彦の大ファンは続いた。そして三田村邦彦主演映画「限りなく透明に近いブルー」という作品を知った。当日はレンタルビデオ屋もなく映画を観ることが出来なかった。そして私は限りなく透明に近いブルーの原作を買った。村上龍が芥川賞を受賞した処女作だ。表紙は三田村邦彦かひとり歩いている姿だった。田舎育ちの私にとってその本の内容は衝撃的だった。繰り返し繰り返し繰り返し読んだ。この本が言いたいことを考えた。主人公の彼が明け方に見る限りなく透明に近いブルーの意味を考えた。もう三田村邦彦とかどうでもよくなっていた。

そしてある日下宿の近所にあった峯岡書店に行った時、村上龍のハードカバー上下巻が本棚に並んでいた。それが「コインロッカーベイビーズ」だった。ハードカバーを2冊買うのは貧乏高校生の私にとって非常に勇気がいることだったが迷わず買った。

それから私は勉強しなくなり映画、漫画、本、ラジオにどっぷりハマってしまった。コインロッカーベイビーズと出会っていなかったら、その前に限りなく透明に近いブルーを読んでいなかったら、今の私は今とは違う人間になっていただろう。そう考えると今は黒歴史になってしまった三田村邦彦のファンだったことも素晴らしい思い出に思える。一応三田村邦彦さんに感謝しておこう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?