最近の大道芸と中国ライブコマース

温州を旅行中、市中心部の五馬街という繁華街を歩きました。人通りが多い地区ですが何度か道端で歌っている人たちの姿が目に付きました。最も気合が入っているのはこちらのローラースケートを履いて歌を歌っている彼女。証明の設備や録音機材、モニターなども用意されている上スタッフも複数ついて本格的です。

温州の繁華街でのライブ放送の現場

私の名前はよーいーすーすー、フォローしてね、というのが聞こえたので、どうも調べてみると中国版TikTok(抖音)でもライブが見れます。温州の街の人口は約900万に対してフォロワーの数は50万人、大したものです。Tiktokの画像をみるとライブの現場では81.5万のいいねがついています。いいね一つ送るのに1元の十分の1、日本円で1.8円相当送ることになり、うち半分がTiktok側に、残り半分が彼女他グループに支払われることになります。そうするとこの日、日曜日の夕方6時から8時半頃まで歌い続けていたギャラは日本円で 81.5万 x 0.1 x 1/2 = 4万元、日本円にして72万円が彼女+チームに対する収入ですね(違っていたら教えて下さい)。

これ以外にももうひとり男性ラップのコンビ(これもプロのカメラや音響等あり)や交差点で歌を歌っている素人グループ、踊りをビデオクリップを撮っている若い女性2人組など、何箇所かこういったパフォーマンスを目にしました。いずれもTikTokで稼ごうとしているんだと思います。一方、同じ小道に二胡という楽器を弾くおじいさんがいましたがこちらは伝統的な大道芸でオフライン、彼の前には小銭の入った箱がおいてありました。中国ではみんな小銭を持ち歩かないので当然WeChatの決済用のバーコードも置いてあります。

日本ではUUUMという上場会社がYoutuberのプロモートなんかをしているようで、ヒカキンなんかが所属しているようですねYoutubeの方は広告収入やグッズ販売が主でTikTokの方は投げ銭が主、ってことでしょうか。

日本にいるときは趣味でジャグリングや音楽をやっていたこともあり、高円寺や上野など大道芸をよく観に行ってました。彼らは一回の公演で小銭を集めてそれがギャラになります。観客の数やショーの内容にもよりますが1回おそらく数万円、10万円も行かないでしょう。しかも複数人でのパフォーマンスとなるとそれだけで生活するには才能と高度なスキルが要求されるでしょう。スタチュー(生きた銅像)やストリートミュージシャンも稼ぎは限られると思います。

Winner Takes Allというわけではありませんが、動画メディアの投げ銭の仕組みを駆使したほうがボロ儲けできる、というのが今の中国での大道芸かといえるかと思います。一方伝統的な大道芸、例えばアクロバットやジャグリング、手品など、ライブでしか楽しめないのも事実。美女美男が歌を歌うだけ、のエンタメになってしまっては味気ないかもしれません。と思いきや日本以外の国ではBritain’s Got Talent, American Got Talentといった番組が世界中でありますね。こちらも選ばれたパフォーマーにとっては「資本収益性の高いビジネス」といえます。ちなみに同企画、中国や東欧、中等、東南アジアなんかでこの手の番組みかけますが、日本だけ見かけないのはなぜでしょう?ライセンスの問題?それとも仮装大賞と被るから?

ということで私もこの波に遅れては行けないと思い、安徽省のとある街で歌手デビューしました。

とあるライブ設備のあるバーで100元払って歌っただけですが,ここでの映像もライブ放送されています。キロロの「未来へ」の中国版の「后来」を歌ったのですが日本人が一部日本語でピアノを引きながら歌ったことからか14のいいねをもらいました(これでも多い方)。ちゃんと視聴者からの評価がリアルタイムでわかるようになっています。田舎町のライブハウスも生放送を活用できる時代、専門の業者もあるようです。この手の仕組は各種イベントで見たことがありますがWeChatのミニアプリを浸かったゲームやライブアンケートなど多様なサービスがあります。ミニアプリはWeChatの仕様が前提となるので直接日本に導入はできませんが、TikTokの方は日本でも海外版があるため、中国での仕組み・ノウハウをごっそり導入することも可能かもしれません。私が日本にいるときはありませんでしtが、TikTokも2021年から投げ銭の仕組みを導入したようですね。

https://www.somethingfun.co.jp/liver-marketing/liver_column/tiktok-syueki

TikTokの海外版は中国での抖音と別世界。国家による検閲の対象になっているかどうかはわかりませんが、海外版については一時売却の話もあったくらいですからあまり変なことはしていないんじゃないかともいます。他にもYoutubeを使う手もありますね。

ライブコマースについては昨年義烏(イーウー)に行ってきたのですがそこで何度も見かけました。

中国全土でジャパネットたかたが乱立しているかのようで、特に世界の問屋街で知られるこの街では何箇所か通販用の研修をしているところもありました。2020年のはじめにコロナで全国民が自宅待機となったことで大きく需要が伸びたようですが今はそこまでの注目度でないもののそこそこの市場規模はある気がします。先日海寧という街の革関連の問屋街にライブキャスト用の施設を見ましたし、家の近くにもスタジオがありますがいずれも使われておらず空のようです。例えば食品をうるなら在庫がいっぱいあるところでその場で食べてみせる方がインパクト強いわけですし、スタジオを作らなくても機材買えば誰でも(私でも)どこでもできます。これもTikTokやタオバオなどのプラットフォームがあるから成り立つのでしょう。

日本で流行らない理由は文化とか中国は偽物が多いからとか色々ありますが、私は最大の違いはプラットフォーマーがいないこと、流通、金融、申し込み手続き等で取引の各所で間接コストや手間がかかること、かと思います。逆に日本でも顧客集客力とアプリ開発能力(もしくは既存のプラットフォームと提携する能力)があれば流行ってもおかしくないと思います。

では日本から何か商売ができないか、と考えました。中国人もしくは中国語を話す日本人が日本の紹介をして何人かのいわゆる「网红(インフルエンサー)」は既にいます。私は趣味でジャグリングをやりますが一通りのルーティーンでも3分も持たないためライブに不向きです。大道芸でのジャグラーは結構手品やトークで間をもたせますが中国語でないと受けないでしょう。ライブで投げ銭を稼ぐには歌や楽器演奏であれば間も持ちますし中国語のトーク力もそこまで必要ないかもしれません。

まだNoteの使い方理解しきれていませんが、フォローといいねをよろしくお願いします。ツイッター @hashicfa です。

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