TM-6.2.1 (K2)オープンソースツールを選択する場合のマネジメント上の問題点について説明する。


オープンソースツールを選択する場合の問題点

  • オープンソースツールは、初期購入コストが低いが、正式なサポートがほとんどない。

  • オープンソースツールは、機能が限定されている場合がある。

  • オープンソースツールは、カスタマイズや拡張が容易だが、複雑性とオーバーヘッドが増加する可能性がある。

  • オープンソースツールのライセンスには、さまざまな種類があり、注意が必要である。

  • セーフティクリティカルなソフトウェアやミッションクリティカルなソフトウェアを開発する組織は、オープンソースツールの使用に注意する必要がある。

正式なサポートがほとんどない

オープンソースツールは、一般的に初期購入コストが低い反面、正式なサポートがほとんどありません。ただし、多くのオープンソースツールには、熱心なサポータが非公式なサポートを提供している場合もあります。

機能が限定されている


オープンソースツールは、特定の問題を解決したり、単一の問題に対処したりするために作られているものが多く、類似のベンダーツールに比べて機能が限定されている場合があります。そのため、オープンソースツールを選択する前に、テストグループの実際のニーズを入念に分析する必要があります。

カスタマイズや拡張が容易

オープンソースツールは、ユーザがカスタマイズや拡張することができます。テスト組織に専門的な技術がある場合、他ツールと連携するように変更したり、テストチームのニーズに適合するように拡張したりできます。複数ツールを組み合わせて、ベンダーツールで対処できない問題を解決できることもあります。

ただし、使用するツールと適用する変更数が増えるほど、複雑性とオーバーヘッドが増加します。テストマネージャは、他ツールと同様に、チームがオープンソースツールを使用すること自体を目的としないようにし、常にROI がプラスとなるように努める必要があります。

ライセンスに関する考慮事項

オープンソースツールには、さまざまなライセンススキームがあります。特に、GNU GPL ライセンスのツールを使用する場合は、注意が必要です。GNU GPL ライセンスは、ソフトウェア配布を、ソフトウェアを受け取ったと同じ条件下で常に行わなければならないことを指定します。つまり、テストを行いやすくするためにテストチームがツールを変更した場合、それら変更もツールのライセンス下で、ツールを使用するすべてのユーザが利用できるようにする必要があります。テストマネージャは、組織にソフトウェアを再配布することにより生じる法的な問題点を確認する必要があります。

安全性や規制準拠に関する考慮事項

セーフティクリティカルなソフトウェアやミッションクリティカルなソフトウェアを開発する組織、また規制準拠対象となる組織は、オープンソースツールを使用することにより問題が生じる可能性があります。多くのオープンソースツールは非常に高い品質を保持していますが、ほとんどのオープンソースツールでは正確性が保証されていません。ベンダーツールは、多くの場合、正確性と、特定のタスク(たとえばDO-178B など)への適合性を保証しています。オープンソースツールは優れたものである可能性がありますが、正確性を保証するのは使用するグループの責任であり、余分なオーバーヘッドを引き起こす可能性があります。

練習問題

あなたは、通信ネットワーク向けハードウェアとソフトウェアを製造する国際企業に勤務しています。ハードウェアとソフトウェアの開発は別々の部門で行われ、あなたはネットワークルーターソフトウェア製品ラインのテストマネージャーです。

あなたの製品ラインでは、密に統合された製品を漸進的な製品ライフサイクルで作成するという伝統が長く続いています。ハードウェア部門は6ヶ月ごとに新しいバージョンをリリースし、ソフトウェア製品ラインはそれに合わせて新しいバージョンを用意することを目指しています。ソフトウェアは2ヶ月単位で開発が進められ、両部門のスケジュールは設計段階で同期化されています。

あなたのチームは15人のテスターで構成されており、入社2年目ですが、ほとんどはそれ以上の経験を有しています。新しいテストは最も経験豊富なテストアナリストによって社内独自のテストスクリプトとして開発され、そのバリエーションや回帰テストセットは残りのチームメンバーが実行します。

会社経営陣は、重大な欠陥の発見数とテスト実行の状況を記した月次進捗報告を要求しています。また、全部門の人員の効率を測定する取り組みも行われており、会社レベルでCMMIも導入されています。

ハードウェア開発スケジュールに追随することが難しくなっているという問題がありました。当初、会社は通信規格要件をすべて満たすためにシステム上でテストスクリプトを実行するためのインターフェースを構築する必要があったため、社内テスト自動化ツールを開発しました。しかし、この社内ツールの維持管理は次第に非常に高コストになってきています。

オープンソースのツールは、テスト自動化のエキスパートであるあなたたちの時間を空ける可能性があります。しかし、この決断を下す前に、いくつかの要因を考慮する必要があります。

以下の選択肢のうち、当てはまらないものはどれでしょうか?

a) ライセンス条項を理解する必要がある
b) 通信規格への準拠を検討する必要がある
c) オープンソースツールは特定の目的のために作成されている
d) オープンソースツールは適合させるのが難しい








正解:d)

a) ライセンス条項を理解する必要がある
これは、オープンソースかどうかに関わらず、ソフトウェアを使う上で必須です。法的問題や既存のソフトウェア慣行との衝突を避けるため、ライセンスに関連する制限や義務を理解する必要があります。
b) 通信規格への準拠を検討する必要がある
通信ネットワーク機器を扱っているため、関連する規格への準拠は不可欠です。オープンソースツールがそれらの規格を満たしているか、あるいはそれに適合させることができるかどうかを確認する必要があります。
c) オープンソースツールは特定の目的のために作成されている
多くのオープンソースツールは、特定のニーズを念頭に置いて開発されています。オープンソースツールが提供する機能があなたの具体的なテスト要件やワークフローと一致しているかどうかを評価する必要があります。
d) オープンソースツールは適合させるのが難しい
このシナリオでは、あなたの会社はすでにインターフェースの構築やツールを自社のニーズに合わせて調整する経験があることが明示されています。また、テスト自動化の専門知識を持っているため、必要に応じてオープンソースツールを操作し適合させるスキルセットを持っている可能性が高いです。したがって、d) の選択肢は適切ではありません。

【出典元】

ISTQBテスト技術者資格制度
Advanced Level シラバス日本語版
テストマネージャ
Version2012.J04

ISTQB® Test Manager Syllabus
Advanced Level
Compatible with Syllabus version 2021
Sample Exam – Questions
Sample Exam set A
Version 1.4

ISTQB® Test Manager Syllabus
Advanced Level
Compatible with Syllabus version 2012
Sample Exam – Answers
Sample Exam set A
Version 1.4

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