TM-2.4.3 (K2)テスト戦略のテスト活動に対する影響を、例を示して説明する。


テスト戦略

テスト戦略は、テスト活動の方向性と範囲を定めるものであり、テスト活動に大きな影響を与えます。テスト戦略の例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 分析的戦略:テスト対象の要件や仕様を分析し、テスト条件を導き出す戦略です。

  • モデルベースド戦略:テスト対象の動作や環境をモデル化し、モデルに基づいてテストを行う戦略です。

  • 方法論的戦略:品質特性やテスト技法に基づいて、テスト条件を決定する戦略です。

  • プロセス準拠戦略:特定のプロセスや規格に準拠したテストを行う戦略です。

  • 対処的戦略:テスト対象の欠陥を検出する際に、対処可能な欠陥に重点的にテストを行う戦略です。

  • コンサルテーションベース戦略:ステークホルダーの意見や要望に基づいて、テスト条件を決定する戦略です。

  • 回帰的テスト戦略:以前に実施したテストで検出された欠陥が再発していないかを確認するために、回帰テストを重点的に行う戦略です。

これらのテスト戦略は、単独で使用される場合もあれば、組み合わせて使用される場合もあります。テスト戦略は、組織のニーズやプロジェクトの特性に合わせて選択する必要があります。

テスト戦略がテスト活動に与える影響

テスト戦略は、以下の要素に影響を与えます。

テスト対象の範囲

テスト戦略によって、テスト対象の範囲が決まります。例えば、分析的戦略では、テスト対象の要件を重点的にテストするため、テスト対象の範囲は要件に限定されます。一方、モデルベースド戦略では、テスト対象の動作をモデル化するため、テスト対象の範囲はモデルに含まれる機能に限定されます。

テストの重点

テスト戦略によって、テストの重点が決まります。例えば、分析的戦略では、テストの重点は重要なテスト条件をカバーすることに置かれます。一方、モデルベースド戦略では、テストの重点はテスト対象の動作を網羅的にテストすることに置かれます。

テストの実施方法

テスト戦略によって、テストの実施方法が決まります。例えば、分析的戦略では、テストケースを事前に作成してテストを実施することが一般的です。一方、モデルベースド戦略では、探索的テストや自動テストを活用することが一般的です。

テストの予算と工数

テスト戦略によって、テストの予算と工数が決まります。例えば、分析的戦略では、テストケースを事前に作成するため、テストの予算と工数は比較的多くなります。一方、モデルベースド戦略では、探索的テストや自動テストを活用するため、テストの予算と工数は比較的少なくて済みます。

テスト戦略の例

分析的戦略の例)

要件ベースドテストでは、テスト分析により要件からテスト条件を導き出し、これらの条件をカバーするようにテストを設計し実装する。

その後、各テストによりカバーする要件の優先度に基づいて、テストを実行する順序を決め、テストを実行する。

テスト結果は、たとえば、要件をテストし合格した、要件をテストし不合格となった、要件をまだ完全にテストしていない、要件のテストがブロックされている、などの要件のステータスに関してレポートする。

モデルベースド戦略の例)

急成長のモバイルデバイスアプリケーションのモデルベースド性能テストでは、現在の使用状況と今後の想定される伸び具合に基づいて、受信と送信のネットワークトラフィック、アクティブユーザと非アクティブユーザ、および結果的に生じる処理負荷の各モデルを開発する。さらに、現在の本番環境のハードウェア、ソフトウェア、データ容量、ネットワーク、およびインフラストラクチャを考慮してモデルを開発する場合がある。また、スループット、応答時間、およびリソース割り当てに関して、理想的なモデル、予想されるモデル、および最小モデルを作成することも可能である。

方法論的戦略の例)

シンプルで安定したe-コマースWeb サイトの保守テストでは、テスト担当者は主要な機能、属性、および各ページに対するリンクを識別するチェックリストを使用する場合がある。テスト担当者は、このサイトに対して変更を行うたびに、このチェックリストの関連する要素をカバーする。

プロセス準拠または規格準拠戦略の例)

スクラムアジャイルマネジメント技法に準拠するシステムでは、テスト担当者は各イテレーションにおいて、特定のフィーチャを説明するユーザストーリーを分析し、そのイテレーションの計画作業プロセスの一環として各フィーチャのテスト工数を見積り、各ユーザストーリーに対するテスト条件(通常、受け入れ基準と呼ばれる)を識別し、これらの条件をカバーするテストを実行して、テスト実行時の各ユーザストーリーのステータス(未テスト、不
合格、または合格)を報告する。

対処的戦略の例)

メニューベースアプリケーションで探索的テストを使用する際は、フィーチャ、メニューの選択、および画面に対応する一連のテストチャータを開発する。各テスト担当者には一連のテストチャータが割り当てられ、それを使用して探索的テストセッションを構築する。テスト担当者はテストセッションの結果を定期的にテストマネージャに報告し、その結果に基づいてテストマネージャはチャータを変更する場合がある。

コンサルテーションベースの戦略の例)

Webベースアプリケーションのアウトソース互換性テストでは、企業はアウトソーステストサービスプロバイダに、評価するアプリケーションの優先度付けしたリストを提供する。このリストには、ブラウザバージョン、マルウェア対策ソフトウェア、オペレーティングシステム、接続の種類、およびその他の構成オプションを含む。テストサービスプロバイダはペアワイズテスト(優先度が高い場合)、同値分割法(優先度が低い場合)などの技法を使用し
て、テストを生成する。

回帰的テスト戦略の例)

Webベースアプリケーションの回帰テストを行う場合、テスト担当者はGUIベースのテスト自動化ツールを使用して、アプリケーションの一般的および例外的なユースケースを自動化する。これらのテストを、アプリケーションの変更時に常に実行する。

練習問題

  • Question #20 (1 Point)

ISTQB® Test Manager Syllabus
Advanced Level
Compatible with Syllabus version 2021
Sample Exam – Questions
Sample Exam set A
Version 1.4

ISTQB® Test Manager Syllabus
Advanced Level
Compatible with Syllabus version 2012
Sample Exam – Answers
Sample Exam set A
Version 1.4

【出典元】

ISTQBテスト技術者資格制度
Advanced Level シラバス日本語版
テストマネージャ
Version2012.J04

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