「幻聴」

声が聞こえた。そう思った。目が覚めた。AM4:00。しばらく耳をすます。ふと気がつく。俺は今、1人きりだ。夢だった。誰かの叫び声が着替えた気がした。しかも、声に怒りの色が混じっていたように思う。それはエアコンの作動音だった。

何に怯えているのだろうか。突然、近所の人から、文句を言われることだろうか。何なのだ。また眠りに入っていた。次に起きた時は、AM8:30。1週間以上ぶりの仕事(?)だ。


最初の作業。本館を一通り見て回った。六階建ての旅館ともいえる、この本館の、今後必要な作業を点検した。今日は晴れだ。六階のベランダから見える海が綺麗だった。伊東は今日も、のんびりしている。


幸い、どの部屋も、似たような補修、似たような掃除が必要そうだ。1日1階ずつ、丁寧に見ていけば、思っていたよりも、進めそうだった。電気代がもったいないので、必要な作業が終わると、すぐに、ブレーカーを落とした。


生活をしている、別館に戻る。目の前。茶色いサムシング。G。やつだ。この家にも、奴が現れた。叩き潰せるようなものはない。ほうきを持って、ひとまず窓を開け、人間界から追放する。次の部屋。ここにもいる。ほうき。窓を開ける。追放。ひといき。はぁ。対策を講じねば。

お昼休みを兼ねた買い出しで、G対策もバッチリ備えた。海沿いを歩く。今日は目の前に、伊豆大島が見える。かもめが空を飛んでいる。堤防で寝ている人もいる。平和なものだ。この場所は、活気はない、という一言でまとめようとしたが、のんびりしている、ということなのかもしれない。

朝の幻聴は、何だったのか。途中、作業をしていた時、話し声が聞こえた。耳をすましていたら、話の取り方によっては、僕のことにも思える。これだ。こういうことを気にしていたのか。

小学校の時、引っ越しの関係で、違う学区内の通学路を進みながら、通っていた。違う学校の子たちの話していることが、全て、僕についてなんじゃないか、なんて思ってた。たぶん、1割ぐらいしか、話してなかったんだと思う。10年経た今。似たようなもんじゃないか。少しは気にしない、という力をつけても良いかもしれないと思った、そんな1日になった。

日が落ちるのが、早くなった。

つづく。

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