出口の目線・24

整った霊園の建物は朝陽を浴びて綺麗に輝いていたのだけは印象として残っている。私たち3人は予想よりも早く到着してしまったようで、寒い中を外で待つことになった。

10分位すると職員が走って正面入り口を開けてくれた。早く来すぎちゃってスミマセンとか言いながら私たちは控え室に荷物を置き、身だしなみを整えて弟たち家族を待つ。

どうも~おはようございます~…葉子さんが先頭でそう言いながら控え室に入ってきた。彼女のパンプスのヒールのコツコツという音と、礼服のフレアスカートのひらひらした様子が印象的だった。

中学生と小学生のふたりの子ども…私からすると姪も、当たり前だが今日は一緒に来ている。

『あんたたち、何?近くまで来てビジネスホテルに泊まったんでしょ?大変だったね~』

『そう。広め一部屋を借りて一泊。ご飯は外で食べれば別に、ひと晩位は大した事無い』

弟との会話はいつも素っ気ない。別に仲が悪いわけではなく、聞いていないことまで喋り返してしまう私とは正反対な性格だ。周りは邦道は男だから…という結論を出すが、男でもうるさいタイプはいる。

逆に葉子さんはハキハキといつも元気なタイプで到着してひと息ついてから、さてそろそろ参列の方々が来るよと言って、礼服なのに腕まくりをしてしまいそうな雰囲気であった。

『ふたりとも今日は学校を休んできてくれてありがとうね。前に病院にも休んで来てくれたことも有ったよね…その時、せっかく来てくれたのに入り口で待つだけだったねゴメンね…』

父が病院に運ばれた次の日に姪もふたりとも見舞いに来てくれたが、当時の父は結核の疑いも有るということで隔離病棟に入っていた。子どもはそこには入れないので、弟と葉子さんだけが父に会いに行き、姪たちは椅子に座って待つだけだった。

弟は当時、お父さんに孫を会わすのはこれが最後かもしれないからと言って一緒に連れてきたが…当時は悔いが残ったけど、その後に一旦、回復したが結局は急変して会うことも無かった。

『うぅん…大丈夫…』

ふたりは私に謝られて、それしか言えなかった。

大丈夫も何も、父の見舞いのあとは家族4人で平日の昼間に公の理由で学校を休めて、デパートのレストランでお昼ご飯を食べたのだから、子ども目線からすればむしろ良かったのであろう。

でも少しは【盆暮れ正月に会うじいちゃんが死んだ】とは認識できる歳である。余計なことは言わずに私もそれ以上の会話は避けた。それに、べらべらと話す気力も無かった。

『ここにテーブルを置いて、列席者から預かった物はここにしまって目を話さないようにして…お茶の用意はここだね…』

弟夫婦は今後の動きを確認している。母は姪っ子ふたりと世間話をしている…あ~そうなんだ!今年は受験生だったね~頑張ろうね~などと穏やかに話す母を横目にしながら私も支度に関わろうとした。しかし頭が働かない…てきぱきと動いている弟夫婦に謝ると…

『良いよ!ねぇちゃんは今までお父さんお母さんについて色々とやってくれたんだから!今日は適当に休んで!』

弟がばしっと言ってきた、後ろで葉子さんも頷いていた。姉弟でもタイプが違うと笑っていたが、根本は私と同じだと知り、ほっとした。

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