出口の目線・25

時間になると参列者がやってきた。
基本的に親戚の集まりである。そして、通夜・告別式が有る葬儀ではない。

ここに居る人たちは、ご多分から漏れたこのような式を、どう思っているだろうか…そればかりが気になっていた。

母方のいとこのサキちゃんとは このところ頻繁に連絡を取っていたが、今日は久し振りに、父方のいとこ姉妹にも再会した。

『伯父さん思ってたより大変だったんだね。救急車で運ばれ危篤状態って聞いて驚いた!」

「一度は持ち直して2月の終わり頃に退院の話も有ったのだけど、その頃に急変したのよ…」

喧騒の中でしばらく久し振りに会った彼女たちに報告し、子どもの頃 盆暮れ正月に会って色々と遊んだ思い出、私の父がいとこをしつこくからかって怒らせてしまった思い出話などをした。

さほど広くもない場所は、親戚だけの参列者でもすぐに混雑になった。

人混みが以前よりもしんどく、ざわざわとした雰囲気が急に落ち着かなくなっていた私だった。

呼吸が苦しく目線を何処に合わせてよいかわからなくなって、早く次の展開になってくれないかと願ってばかりであった。

【【続く】】

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