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時給14ドルのハンバーガー店であなたは経営できるか?

  @hasegawa

米ベイエリアの生活費が高騰している。筆者が昼間、高級ワインを飲んで、かつ、一ダースも購入してしまったので、夜は節約と思って地元で評判のハンバーガー店で食事をした。19時過ぎに店に着くと日曜日の夕食時ともあって、店の外までの行列であった。注文する顧客と出来上がりを待つ顧客で店はごった返していた。

ハンバーガーは通常のもので$2.45(日本円で約270円)、ダブルチーズバーガーでも$3.95(同約430円)と至ってリーズナブルだ。地域のマクドナルドのビッグバーガーが$3.99(同約434円)なので、標準的な値段であろう。実際に食べてみるとボリュームもあり、また、野菜もたっぷりと入っていて美味しかった。

 注文を待っている間に厨房を覗くと、目視しただけでも17人は店員がいた。「顧客が多いが、やけに店員が多い店だな。本当にこれだけの人数が必要なのかな」と思っていた。現に店内で食べている間には、一人も注文の人がいない時間帯もあった。週末のゴールデンタイムですらこれであるので、顧客の来店には波がありそうである。

食事を終えて店を出ようとして、外に貼ってあった看板を見て驚愕した。なんと店員の募集広告で時給は$14.00(同約1,520円)と書いてある。これはハンバーガー代金の5.7倍である。店員が多いのは忙しいというより、高給につられて人が応募しているのが本質のようである。販売価格は周辺のレストランモールとの競争で値上げできない一方で、人件費は高騰しているのである。この様子では店の経営者はキャッシュフローにハラハラしていることであろう。

折しもハイテク従事者のための求職プラットフォームを提供しているHired社が、サンフランシスコ在住のソフトウェア技術者の収入が、米国の他の都市や世界のそれに比べて高いにも関わらず、生活が段々苦しくなっていることを最近発表した。それによると、ベイエリアのソフトウェア技術者の平均年収は、13万4000ドル(同約1,450万円)であると算出した。これは国内のどの地域よりも高額である。これがどのレベルのエンジニアなのかは不明だが、実際にベイエリアのベンチャー経営者に話を聞くと、そこそこの技術者でも2000万円を超えるという。これだけの給料を払わなければならない経営者は頭が痛い。

しかし、これだけの年収をもらっても決して生活は楽でないそうだ。夫婦共稼ぎを余儀なくされる家庭も多い。驚くべき家賃と高騰する生活費が家計を圧迫している。冒頭の混雑するハンバーガー店は、少しでも節約したいエンジニア達、出稼ぎで海外からきた人達、お腹一杯食べたい育ち盛りの子供達が気軽に来れる一方で、コスト高騰に頭を抱える経営者が透けて見えたベイエリアの縮図であった。

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