宝の山よ~ 10月1日
福島に住んでいるなら一度は登った方がいいと言われる磐梯山。
確かに。
遠くから眺めることは何度もあったというのに、
これまで登る機会がなかったとは。
自分にその気持ちさえあれば、案外と機会はめぐってくるというもので。
先日の日曜日。お店を臨時休業してまで…という
後ろめたさが無くもなかったが、
「エイッ!」という勢いも必要かなと自分に言い聞かせ、
夫とともにKUU先生が誘って下さった町のトレッキング教室に
参加することにした。
これでも東京に住んでいた頃は、よく山へ行っていた。
というか、大変お世話になっていた会社の社長が、
ワンゲル(ワンダーフォーゲル)部と称して
登山へ誘って下さっていたのだ。
かれこれ10年ほど前のこと。
登山靴から、バーナーなどの道具に至るまで
ある程度のものはその頃にひと通り揃えたというのに、
山の近くで暮らすようになったら満足してしまったのか、
すっかり登山から遠ざかってしまっていた。
今回の登山のために高機能パーカーとストックを新調。
行動食は何がいいだろうかと、お菓子やらバナナやらを。
子どもの頃の遠足前夜のようなソワソワとした気持ちは、
50歳をとうに超えた今でも変わらないものなんだな。
当日は早起きをして炊き立ての玄米でおむすびを。
(土井善晴先生のおむすびのにぎり方が
めっぽうおいしくて最近はまっている)
町営グラウンドまでは各自で集合し、そこからは
大型バスで八方台登山口へ向けて出発。
登りはじめは霧が立ち込めていたものの、
見晴らしがいい場所に出ると、まるで山に歓迎されている
かのように霧が晴れて檜原湖を遠くに望むことができた。
のん気に会話をしながら登ることができていたのも途中まで。
山頂直前の急な岩場ではゼーゼーと呼吸が荒くなり、
足元しか見る余裕がなかったが無事に到着。
山頂1816m!
眼下は霧で真っ白だったのは残念だったが、それでも頂上で頬張る
おむすびやお味噌汁の美味しさがご褒美。
あつあつのコーヒーはこれまた格別で、心地よく疲れた体に
じんわりと沁み渡っていく。
町内から参加された約30名の方々は、はじめてお会いする方ばかり。
それでもこうしてたまたまご一緒して、同じ山を登っている不思議。
人知れず咲く山野草や、少しずつ色づき始めた木々の葉、山の色、
香り、風がそよぐ音など無意識のうちに五感がフル稼働。
それ以外はとにかくケガをしないように踏み出す一歩に
集中していると、頭に浮かぶ余計なことはゼーハー上がる息や
汗と共に流れ出ていくようだった。
あぁ。
この心地良さをしばらく忘れていたのか。
帰りに温泉へ寄って体をほぐし、ゆるんだ体と頭で
一日を反芻していると、なんだか夢の中の
出来事のような気がしてしまった。
が、すでにアイタタタッとあちこち筋肉痛になっているお陰で
これは夢ではないのだと思い知る。
そして湯船に浸かりながら頭の中では
「♪~ハァ~会津磐梯山は~宝~の山よぉ~♪」と、こぶしを効かせて
歌い上げるのであった。