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鈴虫の声 10月2日

陽が暮れるのが早くなった。辺りが薄暗くなってくると、
夏のセミに代わって今は鈴虫の大合唱。
一体何匹くらいが羽を震わせ、この音をつくり出しているのだろう。
全方位から響くその音にすっぽりと包まれると、
鳥目で視界が効かないからか、
異世界へ連れ去られたような錯覚に陥る。

そういえば、先日の磐梯山では熊鈴をつけている方が
多く、前方から、後方から。はたまた
山道の上の方からは降るように鈴の音が聞こえていた。
そうなると、もうどこで鳴っているのかわからなくなるほど。
熊鈴の響きはどれも違う音なのにやけに耳に残って、
鈴虫の鳴き声とリンクするのだった。

三春が地元の方の話では、昔は秋の虫といえばコオロギで、
飼っている人は別として、三春には鈴虫はいなかったそうだ。
それがここ数年で鈴虫の鳴き声をよく聞くようになって、
今年は特に多い気がするとのこと。
これも気候変動や環境変化の影響か。
三春に鈴虫がいなかっただなんて、全く知らなかった。
私が移住したばかりの頃はどうだったのだろう?
今夜は鈴虫に混じって、遠慮がちに鳴くコオロギの声が聞こえる。