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まっとうな芝居だが、正しいだけではない。人間に焦点があう『Someone Who`ll Watch Over Me〜私を見守ってくれる人〜』の達成

 至極まっとうな芝居を観た。

 文学座有志による自主企画『Someone Who`ll Watch Over Me〜
私を見守ってくれる人〜』(フランク・マクギネス作 常田景子演出)の舞台は、レバノンの捕虜として、理由なく捉えられた三人の男性を描いている。アメリカ、アイルランド、英国出身の三人が、極限状況にいる姿を活写しているが、演出の松本祐子にブレはない。鎖で足を繋がれ、自由を奪われるとはどんなことか。執拗なまでに、肉薄している。



 ガザ地区に、あるいはイスラエルに囚われた現実の人々が容易に浮かぶが、その捕虜たちの生活に対して、私たちが、いかにリアルな視点を欠いているかがあきらかになる。母国は、あなたを見捨ててはいないか。人間にとって、家族や肉親とはなにか。迫真力のある問いを突きつけている。

 この舞台がすぐれているのは「正しいだけの芝居」ではなく「悪臭に満ちた人間」から目をそらさないからだ。

 出演は、木津誠之、川辺邦弘、成田悠生。この三人の個性が屹立してすばらしい。この舞台にかかわった人々は、みな「私の代表作です」と胸を張りたくなるに違いない。二十九日日曜日まで。文学座アトリエ。


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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。