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獅子奮迅の松本幸四郎。

 七月十六日木曜日、毎日新聞の夕刊に歌舞伎関連の記事が3本並んだ。
 いずれも、長年、この新聞で大劇場を担当してきた小玉祥子記者によるものだ。
 なかでもトップに掲げられた松本幸四郎のインタビューは、歌舞伎役者の危機感をよく写している。四月はメンテナンスのために、歌舞伎座は休止の予定だった。休み明け、五月から七月までの團十郎襲名興行の中止は、大きな影響をもたらした。
 襲名披露興行は、言葉を換えれば、歌舞伎界の総力をあげての興行を意味する。この三か月のどこかには、自分の出番があるはずであった。その出番がなく、お給金も滞ったことは、ネットでの歌舞伎役者の発言からも想像が付く。
 コロナウィルスの影響が深刻化し、再開のめどが立たないなかで、歌舞伎役者たちはさまざまな動きをとった。
 なかでも幸四郎は、日本俳優協会と伝統演劇保存会の「歌舞伎ましょう」で、歌舞伎の化粧を実演してみせたのを皮切りに、ネット配信を前提とした『図絵歌舞伎』、日本舞踊の踊り手をリモートで結んで収録するなど、獅子奮迅の活躍である。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。