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尾上菊之助の春秋 その壱 春

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尾上菊之助さんの話題が中心のマガジンです。筆者の長谷部浩は、『菊之助の礼儀』(新潮社)を以前、書き下ろしました。だれもが認める実力者が取り組む歌舞伎、その真髄について書いていきま…
有料記事をランダムに投稿します。過去の講演など、未公開の原稿を含んでいます。アーカイヴが充実すると…
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#博多座

【劇評230】博多座の菊之助二題。『与話情浮名横櫛』と『身替座禅』の出来やいかに。八枚。

【劇評230】博多座の菊之助二題。『与話情浮名横櫛』と『身替座禅』の出来やいかに。八枚。

 博多へと旅立つ 六月博多座大歌舞伎、緊急事態宣言下の博多を訪ねた。

 飛行機を予約するときから、現在が「緊急事態」であると知れた。羽田、福岡は、幹線だと思うが、大半の便がのきなみ欠航となっている。そのため、登場した便は、空席などなく、満員御礼の三密状態で、航空会社が極限まで追い詰められているとわかった。

 ホテルにつくと、カフエテリア以外のすべてのレストランが閉鎖されている。オールデイと名の

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『菊五郎の色気』を書いたあの頃。

『菊五郎の色気』を書いたあの頃。

 歌舞伎について、本格的に取り組むようになったのは、文春新書のために 『菊五郎の色気』を書いてからです。調べ物も多く、困難な書き下ろしだったけれど、今となっては懐かしい。

 出版したのは、2007年の6月だから、もう13年が過ぎてしまった。
このころは、折に触れて、菊五郎さんとお目にかかる機会があった。

 思い出に残っているのは、四度ある。

 はじめに、この企画を進めるに当たって、新書の局長

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